19:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:23:43.81 ID:3RPf7FsGO
食事を終えると瑞穂、母さん、俺の順番で風呂に入った。
浴槽に張ったお湯を抜いて、軽く掃除をしてから寝支度を済ませ、自室に向かうと今日も瑞穂はまだ起きているようだった。
「おやすみ」
20:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:30:04.87 ID:3RPf7FsGO
夜の港に瑞穂が立っていた。
「私は幽霊なの。カズくんを海の底に導く幽霊」
そう言って微笑んだ。今までに見た、子どもっぽい笑顔とは違う、暗い笑みだった。
21:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:31:19.50 ID:3RPf7FsGO
エラー起きまくってスレ3つも立ててしまってました……すみません。
このスレを更新していきます。
22:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 23:20:33.13 ID:YmYytpA6O
「カズくん! 起きろ〜!」
目の前には、水原の顔がアップで映り込んでいた。昨日といい今日といい、聞きなれない声で目覚めるものだ。
水原の後ろには瑞穂が立っていて、彼女は今日もしっかりとよそ行きの格好になっていた。
23:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 22:09:20.22 ID:whXTmqj1O
そんなことはない、と二人の声が重なって、愉快そうに瑞穂はもう一度声を出して笑った。その笑顔からは、とても昨日の夢で見たようなことをしでかすようには思えなかった。
朝ご飯を食べ終えて、水原に急かされて家の外に出た。
「で、今日はどうすんの」
24:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 22:27:06.62 ID:whXTmqj1O
「佐々部ぇー、いるー?」
「あー……水原ぁ?」
だらけた返事が家の中から聞こえてきた。夏休み二日目にして自堕落な生活を過ごしているのは俺だけじゃないらしい。
25:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 23:46:46.13 ID:whXTmqj1O
「そう、その尾関」
「何で? ていうか、え、お前らは何、どういうこと、何なの」
いきなり落ち着きのなくなった佐々部に、訳が分からなくなった俺たち二人は、三人そろって瑞穂に視線を送った。
26:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 23:59:39.15 ID:whXTmqj1O
「つまり、幽霊探し中にカズが観光目当ての瑞穂ちゃんを見つけたと。で、お前んちに泊まっている?」
やけに説明調で、どうにか平静を取り戻した佐々部が言葉にした。
「そういうこと」
27:名無しNIPPER[saga]
2019/08/16(金) 00:14:15.25 ID:doqPoyp4O
ただ、芸能人だというのであれば、彼女の美貌も何となく納得がいく。少なくとも、島外でもこの美しさが平均的なものであるということではないらしい。
「何だよ、幽霊なんかよりよっぽど楽しい思いしやがって」
拗ねたようにぼやく佐々部に、水原が「あんたのとこにも紹介しに来てあげたでしょ」とあやすように話しかけていた。まるで母親みたいだ。
28:名無しNIPPER[saga]
2019/08/16(金) 02:15:01.52 ID:doqPoyp4O
なるほど、と感心する二人を横目に、改めて疑問が浮かんできた。
瑞穂は母さんに言われるまで祭の存在を知らなかったはずだ。なのに、それを目当てとは一体。
頭に浮かんだそれは口にせずにしまっておいた。
29:名無しNIPPER[saga]
2019/08/16(金) 03:11:25.72 ID:doqPoyp4O
「いつまでも尾関さん、じゃ何だし。瑞穂で良いよ」
横から覗き込むように瑞穂が言った。
「えーと、うん、わかった」
34Res/35.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20