モバP「持たざる者と一人前」
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46: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:34:36.58 ID:p4U+w2zG0
『……アルバイト、行くか』

 ラフな格好に着替えながら時計を見る。時刻は午後五時ちょっと過ぎ。シフトは午後十時からだからまだ余裕はある。少し仮眠をとるために布団へ横になり、目を瞑る。浮かぶのはやはり、彼女のあの凛とした姿だった。

 俺自身のその有様に、思わず苦笑しつつひと眠りをする。目が覚めた時にはすっかり夜の帳が落ちきり、ネオンに負けない強い星の瞬きがいくつか空にあった。
以下略 AAS



47: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:35:21.67 ID:p4U+w2zG0
本日はここまでになります。
休みの終わりも近づいてきましたし、続きは明日にでもと思います。
ありがとうございました。


48: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:06:45.23 ID:9YnfOZCp0
□ ―― □ ―― □




以下略 AAS



49: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:07:19.00 ID:9YnfOZCp0
『それじゃあ、また』

 そう言いながら俺は花屋を後にしようとする。たぶんまた来ることになるだろう。花に詳しいわけじゃないので、買った花はだいたい二日くらいで元気をなくしていってしまうのだ。

 初回に至っては水を替え忘れていたというのもあって、もう半分枯れかかっている。特に今は夏場だし、ちゃんと毎日水を替えても長持ちはしてくれない。
以下略 AAS



50: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:07:45.73 ID:9YnfOZCp0
『ああ、いや。その話をするつもりはない……わけじゃないですけど。でも今日は普通に花を買いに来ただけで。このアネモネ……っていうのかな? 思いのほか彩りがあって。花のある生活っていいものなんですね』

 そういうと、彼女はぽかんとした表情をする。……うん? その反応は予想していなかった。ところで初めて花の名前を知った。アネモネとはあまり聞いたことのない名前だな。日本原産ではなさそう。

 あの青紫色の花を見ながらそんなことを思っていたら、彼女がじっとこちらを見ていた。なぜか刺々しいものが減っている気がする……。なんでだ。
以下略 AAS



51: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:08:12.85 ID:9YnfOZCp0
 それから数秒ほど彼女はそのままだったが、

「たぶんペットボトルはそこまで関係ないと思う。水切りのやり方は知ってる?」

『水切り?』
以下略 AAS



52: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:08:39.85 ID:9YnfOZCp0
□ ―― □ ―― □



 さてもさても、効果は抜群だった。
以下略 AAS



53: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:09:06.71 ID:9YnfOZCp0
(四日ぶりか。なんだかひどく久しぶりな気がするなあ)

 俺は立ち上がってスーツに着替える。もうその必要はないのかもしれないが、なんとなくあの花屋に行くときはスーツじゃないといけない気がしていた。

 電車で片道二十分ほどの距離。よく考えると、これほどの距離をよくもまあ歩いたと思う。実際にはずっともっと歩いているのだから、自分の健脚ぶりに思わず笑ってしまいそうになるな。
以下略 AAS



54: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:09:35.22 ID:9YnfOZCp0
「あっ、その携帯電話って」

『はは……君に拾ってもらった奴です。その節は本当にお世話になりました』

 などと言いながらぷち、ぷちとボタンを押す。何度かそれを繰り返せば、画面に映っているのは――。
以下略 AAS



55: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:10:03.29 ID:9YnfOZCp0
「それにしても、意外と普通なんだね、お客さんって。急に“アイドル”とか言い出すからちょっとヤバい人なんじゃないかって思ってたけど」

「あはは……」

 その評価に苦笑することしか俺はできなかった。超ごもっとも。俺だってそう思うよ。ただちょっとだけ、お客さんと呼んでくれたことにはガッツポーズをしたい気分だ、なんて思いながら言葉を返す。
以下略 AAS



56: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:10:31.07 ID:9YnfOZCp0
『それが、俺の“アイドル”なんだ』

 言ってから、俺もまたのぞき込むようにその動画を見る。何度見ても見飽きない。ずっとずっと、俺の中の目標であり続ける人。

 泡のはじけるような、心地よい歌声。決して動きは大きくないけれど、だからこそ動きの一つ一つが丁寧な振り付け。
以下略 AAS



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