50: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:07:45.73 ID:9YnfOZCp0
『ああ、いや。その話をするつもりはない……わけじゃないですけど。でも今日は普通に花を買いに来ただけで。このアネモネ……っていうのかな? 思いのほか彩りがあって。花のある生活っていいものなんですね』
そういうと、彼女はぽかんとした表情をする。……うん? その反応は予想していなかった。ところで初めて花の名前を知った。アネモネとはあまり聞いたことのない名前だな。日本原産ではなさそう。
あの青紫色の花を見ながらそんなことを思っていたら、彼女がじっとこちらを見ていた。なぜか刺々しいものが減っている気がする……。なんでだ。
『……あ、そういえば。この花、二日ぐらいでだんだん元気をなくしていっちゃうんですけど、何かいい手立てはないですかね』
ふと、頭に過ぎった質問を聞いてみる。もしかすると答えてもらえないかもしれないけれど、でも、なんとなく。そう、なんとなく答えてくれるような気がした。
「……アネモネが二日で? それはおかしいよ。ちゃんと水は替えてる?」
『ええ、一応毎日。衝動買いだったから花瓶はペットボトルですけど』
「ペットボトルって……」
彼女は呆れてものも言えない、といった様子で額に手をやる。やっぱり花屋からするとそうなるだろうな、と俺は苦笑しかできない。
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