53: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:09:06.71 ID:9YnfOZCp0
(四日ぶりか。なんだかひどく久しぶりな気がするなあ)
俺は立ち上がってスーツに着替える。もうその必要はないのかもしれないが、なんとなくあの花屋に行くときはスーツじゃないといけない気がしていた。
電車で片道二十分ほどの距離。よく考えると、これほどの距離をよくもまあ歩いたと思う。実際にはずっともっと歩いているのだから、自分の健脚ぶりに思わず笑ってしまいそうになるな。
そうこうしているうちにいつの間にやら目的地の駅へとついた。駅から歩いて五分ほど。学校帰りの学生たちに混ざればすぐに花屋が見えてくる。
いつも通りなら今日も彼女はアルバイトをしているのだろう。時間的には学校が終わってすぐに、ということだから相当に真面目か、あるいは何か理由があるのかもしれない。いや勝手な想像だけれど。
「また来たんだ。……別にいいけどさ」
そして俺が店に入った瞬間、やはり彼女はいた。しかも誰がやってきたかを一瞬で気付いてそんな声。……レーダーの感度が高すぎるんじゃないかな。よほど嫌われているのだろうか。もしそうならちょっとヘコむ。
『いやぁ……ははは。今日は買い物に来たわけじゃないんですけどね』
そう言いながら、俺はケータイを取り出す。
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