モバP「持たざる者と一人前」
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56: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/17(土) 18:10:31.07 ID:9YnfOZCp0
『それが、俺の“アイドル”なんだ』

 言ってから、俺もまたのぞき込むようにその動画を見る。何度見ても見飽きない。ずっとずっと、俺の中の目標であり続ける人。

 泡のはじけるような、心地よい歌声。決して動きは大きくないけれど、だからこそ動きの一つ一つが丁寧な振り付け。

 くるっとターンするときに少しよろけるけれど倒れることはなくて、それで少しはにかみながら舌を出している茶目っ気のある素振り。

 もう消しても消えないほど聞き込んだ曲の盛り上がり、ぴょん、と飛び上がるようにステップを踏んで、それからばちっとポーズを決める。

 満面の笑みを浮かべて両手を振って、感謝の挨拶をする姿。それが最後、俺のほうを向いたところで――ほんの数十秒のそれは終わった。ほう、と息を吐いて顔をあげる。

 どうも俺のほうが食い入るように見てしまっていたらしく、彼女は俺のほうをじっと見ていた。が、目が合った瞬間逸らされてしまう。ただ逸らした先には俺のケータイがあって、動画がリピート再生されている。



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