46: ◆v0AXk6cXY2[saga]
2019/08/15(木) 16:34:36.58 ID:p4U+w2zG0
『……アルバイト、行くか』
ラフな格好に着替えながら時計を見る。時刻は午後五時ちょっと過ぎ。シフトは午後十時からだからまだ余裕はある。少し仮眠をとるために布団へ横になり、目を瞑る。浮かぶのはやはり、彼女のあの凛とした姿だった。
俺自身のその有様に、思わず苦笑しつつひと眠りをする。目が覚めた時にはすっかり夜の帳が落ちきり、ネオンに負けない強い星の瞬きがいくつか空にあった。
軽くシャワーを浴びてから早めに行って、パントリーの掃除でもしよう。そう思っていたけれど、シャワーの最中も掃除中も、ずっと思い浮かべるのは彼女のことだった。
シフトに入ってレジを打っている時も、パントリーでドリンクの補充をしている時も、それは変わらなかった。お陰で少しミスをした。明日、店長に怒られるんだろうなあと、少し憂鬱になる。
明け方、シフト終わりに朝番のおじさんと交代しつつ、廃棄の弁当を貰って帰る。アパートの部屋の鍵を開ければ、出迎えてくれるのは名も知らない花だけ。
だが、存外悪くない。
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