1:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:07:15.70 ID:420CtvZa0
こちらはアイドルマスターのSSです。
以下の点に留意してお読みください。
1, この作品は『アニメ版アイドルマスター』の二次創作物です。
2, こちらは『アニメ25話以降で劇場版以前の時間軸』を想定しております。そのためアニメを観た後ですと、より楽しめる……かもしれません。
3, 地の文ありの一人称視点で話が進んでいきます。
以上です。
それでは、ゆるりと始めていきます。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage]
2018/06/12(火) 02:24:17.53 ID:hJfM0d0eO
二人をちゃん呼びってことは雪h(マッコマッコリーン)
3:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:26:25.86 ID:420CtvZa0
それは、とある夕暮れ時の事務所で起こった出来事でした。
「──ちょっといいかしら」
「……何かしら?水瀬さん」
4:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:28:28.83 ID:420CtvZa0
この頃は確か……765プロが一丸となって挑んだ『765プロ2ndライブ』が大成功に終わってちょっと経ったくらい、だったでしょうか。
みんなの人気が再び爆発的に高まったのと比例して、お仕事の量も一気にググーンと増えました。このまま順調にゆけば、全員がAランクアイドルになるのも夢じゃない……そんな所にまで来ていたんです。
皆の頑張りが認められ、沢山のお仕事をいただけて、それぞれが自分の夢に向かって走り続けていられる。
5:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:31:07.82 ID:420CtvZa0
この日も、溜まりに溜まった領収書を整理している私を除けば、事務所にいたのは千早ちゃん一人だけ。ぽつねんとソファーに腰掛け、何やら熱心に読み込んでいました。
ちょ〜っと気になったので、後でコーヒーを持っていきがてら聞いてみると、どうやら次の新曲の譜面だそうで。午前の打ち合わせ中に貰ったばかりで、家に帰るまで我慢できなかったみたいなんです。
それにしたって仕事とレッスンの間にポッカリと空いた時間を、休憩じゃなくて譜読みに使っちゃう所が、何とも千早ちゃんらしいわ♪ ──って、ほっこりしてたのはナイショにしておいてくださいね?
6:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:32:03.36 ID:420CtvZa0
あら、今日は確か来客の予定はなかったはずだから、宅配便?それとも……ウチの娘の誰かが戻ってきたのかしら?と、自問する間に、覚えのある声が聞こえてきました。
「戻ったわよー」
7:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:35:36.80 ID:420CtvZa0
伊織 「あら、小鳥。出迎えなんていい心掛けじゃない♪」
にひひ♪とこちらへ笑いかけていたのは、やっぱり伊織ちゃんでした。うんうん、あんな可愛らしい声を、私が聞き違えるなんてあり得ないもの♪
小鳥 「おかえり、伊織ちゃん。随分早く終わったのね」
8:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:39:27.78 ID:420CtvZa0
さぁて、ここからもう一頑張りといきますか!ぐいーっと背筋を伸ばしながら、領収書の山が待つ机へと体を戻しましょう。
伊織 「あら、千早もいたのね」
千早 「おかえりなさい、水瀬さん」
9:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:40:58.87 ID:420CtvZa0
そこからしばらく、二人の間ではゆっくりとした時間が流れていたことでしょう。
ペラペラと雑誌か何かを捲る音、時折交わされる一言二言の短いやり取り、ちょっと恥ずかしそうな、小さな笑い声──きっと街外れの隠れ家めいた喫茶店が似合うに違いありません。今度のグラビア案に、って律子さんに提案してみようかしら……。
10:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:41:43.72 ID:420CtvZa0
ところが、その時間は唐突に終わりを告げたのです。
11:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:43:32.65 ID:420CtvZa0
“それ”が起きたのは、領収書の山がようやく三分の一くらいは減ったかなぁという頃合いでした。
伊織 「──ちょっといいかしら」
12:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:44:29.69 ID:420CtvZa0
それでなくたって、普段は見れない二人の、とーっっっても貴重な絡みなんです。それを放っておいて仕事に戻るなんて、そんなもったいない事できますか!?いいえ、私にはできません!
それに、もしもですよ?もしも万が一にも気まずくなったりしちゃったら、間に入って何とかするのが、お姉さんである私の義務でしょう!?えぇ、義務でしょうとも!
13:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:48:02.52 ID:420CtvZa0
さて、そ〜っとパーテーションの陰から覗きみると、ちょうど楽譜を置いた千早ちゃんが、伊織ちゃんの方へと向き直った所でした。
ふ〜良かった〜、初めからじっくりと見れちゃうわね。ちょっと不謹慎ですけど、だんだんワクワクしてきちゃいました。この胸の高鳴りが聞こえちゃわないか心配なくらいです……なんて♪
14:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:50:38.74 ID:420CtvZa0
千早 「………………ぇっと」
それは千早ちゃんも同じだったみたいです。目を真ん丸にしてましたけど、すぐに気を取り直して話しかけます。
15:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:52:40.75 ID:420CtvZa0
勿論、そんな私を他所に話は続きます。
千早 「……貴女が突然そんな事を言い出した理由を、聞いてもいいかしら?」
伊織 「理由?そうね……」
16:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:54:15.73 ID:420CtvZa0
さっきまでの私のワクワクは、これから一体どうなっちゃうのかしらというハラハラに変わっていました。
ああ、お茶でも持って行って間に入るべきかしら、それとも、もう少しこのまま様子をみておいた方が……と、焦り逡巡する私を余所に、当事者である二人はどこまでも落ち着いていました。
17:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:54:56.89 ID:420CtvZa0
それを見て私は、
──何だかいつもの伊織ちゃんらしくないな。
漠然とではありますけど、そのように感じました。
18:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:56:24.86 ID:420CtvZa0
伊織 「……ああ、そうそう。それともう一つ」
指を一本ピンと立てて、いかにも『今ちょうど思い付いた所だけど──』みたいな体で言葉を続ける伊織ちゃん。
19:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 02:57:52.44 ID:420CtvZa0
うふふ、やっぱり伊織ちゃんは伊織ちゃんでした。
問題は、千早ちゃんが気づいたかどうかですけど……優しい彼女の事です、きっと大丈夫でしょう。
この言葉を聞くと、千早ちゃんはひとつ大きく頷き、ゆっくりと顔を上げました。
20:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:00:15.59 ID:420CtvZa0
千早 「ねぇ、“水瀬さん”」
伊織 「……何よ」
──“水瀬さん”。
21:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:01:13.21 ID:420CtvZa0
顔を逸らしたまま目線だけを送る伊織ちゃんと、
逸らす事なくまっすぐに見つめる千早ちゃん。
そんな二人の根比べはすぐに決着がつきました。
46Res/28.75 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20