見崎鳴「教室で脱糞してみる」榊原恒一「……は?」
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1:名無しNIPPER
2018/06/02(土) 00:03:35.35 ID:PmuEES8m0
その日の昼休み。
僕と鳴はいつも通り、屋上で昼食を済ませた。
屋上には僕ら以外に誰もいない。当然だ。
僕達が通う中学にまことしやかに伝わる現象を回避するべく、僕と鳴はいないものとして扱われているのだから。だから、2人ぽっち。
鳴「ご馳走様。美味しかったよ」
空っぽの弁当箱の蓋を閉めつつ、鳴はお礼を口にした。そして空の弁当を手渡そうとして、何やら躊躇している。
恒一「口に合ったなら良かったよ」
いつだか約束していた手料理を振る舞う約束。
それを果たし、賞賛を受けた僕は照れ臭さと嬉しさを誤魔化しつつ、弁当箱を受け取ろうとしたのだが、鳴はなかなかそれを渡そうとしない。
鳴「やっぱり、洗って返すね」
決心したような、有無を言わさぬ口調。
そういうところにはわりと無頓着かと思いきや、変なところで律儀さを発揮するようだ。
僕としては別にそのまま返してくれても構わないのだが、本人が決断した以上、それに対してとやかく言うのは無粋だろう。
恒一「わかった。それじゃあ、教室戻る?」
鳴「そうね……戻ろっか」
そろそろ昼休みが終わる。
授業前に教室に戻るのは当たり前だが、その当たり前が今の僕達には当て嵌らない。
いないものとして扱われている現状、クラスメイトにとっても僕らが戻らない方が都合がいいからだ。
そうすれば、いないふりをしなくて済むから。
鳴「ねえ、榊原くん」
恒一「ん?」
屋上から校舎の中に戻ろうとする僕のワイシャツの袖を摘み、引き止められた。
何事かと振り向くと鳴は片目を覆う眼帯をひと撫でして、脈絡なく、こんな提案をしてきた。
鳴「教室で脱糞してみる」
恒一「……は?」
ごごごごぉ……と、雷鳴が遠くで轟いた。
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2:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:06:30.99 ID:PmuEES8m0
場面は変わって、教室内。
僕と鳴は午後の授業に少し遅れてやってきた。
もちろん、それに対するリアクションは皆無。
生徒はおろか、教師でさえ、反応を示さない。
3:名無しNIPPER
2018/06/02(土) 00:06:47.71 ID:dS2m8MdOO
anotherのss久しぶりだな
4:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:10:25.78 ID:PmuEES8m0
三神「……他に、誰かいませんか?」
三神先生は鳴の挙手に応じず、無視をした。
それが、このクラスの決まりだ。
他の生徒も、そして正担任である久保寺先生もまた、見崎鳴の存在をなきものとして扱う。
5:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:15:02.80 ID:PmuEES8m0
恒一「やめろ、鳴ッ!!」
堪らず怒鳴ったことを、覚えている。
普段、僕は見崎鳴を下の名前では呼ばない。
なんとなく、気恥ずかしいからだ。
6:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:18:43.42 ID:PmuEES8m0
恒一「うん念って、駄洒落じゃないんだから……」
鳴「とにかく、試してみる」
恒一「だから、やめろって!!」
7:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:20:44.97 ID:PmuEES8m0
鳴「信じて、榊原くん」
恒一「……そんな目で見ても駄目だ」
鳴「……お願い、恒一くん」
8:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:24:41.54 ID:PmuEES8m0
ぶちゅっ!!
ぶりゅりゅりゃりゅりゅっ!!!!
恒一「鳴っ!?」
9:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:26:26.96 ID:P1Ziotsh0
久々のAnotherSSがクソSSとか…
10:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:27:59.52 ID:PmuEES8m0
恒一「鳴……なんて、馬鹿なことを……」
鳴「大丈夫。もう、終わったから」
泣きじゃくる僕をあやす鳴。
11:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:30:33.73 ID:PmuEES8m0
いきなりそんなことを口にした久保寺先生。
突然のことに困惑していると、鳴が囁く。
鳴「気をつけて」
12:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:35:38.92 ID:PmuEES8m0
久保寺「皆さん、申し訳ありません……!」
絶句する一同に汚れた尻を見せつけながら謝罪する久保寺先生。三神先生は唖然としている。
いったい、いつから漏らしていたのか。
てっきり、鳴の脱糞が現象の始まりだと思っていたが、どうやら既に『始まっていた』のだ。
13:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:40:33.67 ID:PmuEES8m0
久保寺先生が気絶して、騒乱は一旦収まった。
ほとんどの生徒は教室から逃げ出し、犠牲となった。廊下には便に塗れたクラスメイト達の啜り泣きがこだましている。まさに地獄絵図だ。
残ったのは、僕と鳴。
そして、勅使河原直哉、風間智彦、望月優矢、赤沢泉美。あとは、副担任である三神先生だけ。
14:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:45:58.92 ID:PmuEES8m0
赤沢「次はあたしの番って、どういう意味……ッ!?」
疑問を口にした赤沢泉美に異変が現れた。
腹を抱えて、何やら苦しそうだ。
鳴はそんな彼女を見下ろして、呟く。
15:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:48:37.69 ID:PmuEES8m0
恒一「勅使河原ッ!!」
勅使河原「合点承知!!」
僕は赤沢泉美のすぐ近くにいた勅使河原直哉の名を呼んだ。それで、彼には伝わったらしい。
16:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:52:03.89 ID:PmuEES8m0
勅使河原「これで、粗方片付いたな」
一仕事終えて、満足げな勅使河原。
彼は風間智彦とは幼馴染らしい。
なんだか居た堪れなくなって、頭を下げた。
17:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:55:15.64 ID:PmuEES8m0
三神「も、望月くん……!」
望月「先生、褒めてください!」
三神「ひっ!? ち、近寄らないでっ!!」
18:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 00:58:58.80 ID:PmuEES8m0
恒一「め、鳴……僕は、もう……!」
鳴「ええ、わかってるわ。あとはこっちでやっておくから、恒一くんは楽にしなさい」
腹痛に喘ぐ僕に、楽にしろと言う鳴。
19:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 01:06:28.73 ID:PmuEES8m0
意識して、深呼吸を繰り返す。
その度に、肺が軋みを上げた。
経験のある、気胸特有の独特な痛みが走ったが、逆にそれで冷静になることが出来た。
恒一「……わかった」
20:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 01:10:01.88 ID:PmuEES8m0
三神「こ、恒一くん、やめて……!」
眼下で懇願する怜子さん。
目尻には涙すら浮かんでいる。
鳴は排泄は生者の証と言っていた。
21:名無しNIPPER[sage]
2018/06/02(土) 01:13:42.22 ID:PmuEES8m0
恒一「うっ……ここは……?」
水野「おや? やっとお目覚めかい、ホラー少年くん。やっほー久しぶりだね」
目を開けると、そこは病室。
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