265:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:41:15.03 ID:m2Fax+Wi0
如月さん。
そう言われた時、どこかがとても痛んだ。
266:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:42:45.11 ID:m2Fax+Wi0
秋月さんに紙袋を託して別れを告げ、病院へ向かう。
事務所から少し歩いてから、私を追いかける足音に気付いた。
267:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:43:50.71 ID:m2Fax+Wi0
「ねぇ、千早お姉ちゃん。心配することって悪いことかな? 真美達、迷惑じゃない?」
心配することそれ自体は、別に悪いことではないだろう。
268:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:44:41.82 ID:m2Fax+Wi0
再び思考の渦に呑み込まれそうになっていた時、双海さんが私の手を取った。
「ねね、千早お姉ちゃんって今仕事してないから、ニート状態っしょ?」
269:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:45:16.21 ID:m2Fax+Wi0
私は底なし沼に足を取られ、無様にもがいている。
考えても考えても、納得のいく答えが見つからない。
270:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:45:55.48 ID:m2Fax+Wi0
病室に着いても、私の心は波立ったままだった。
「ねぇ、春香……」
271:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:46:29.40 ID:m2Fax+Wi0
私の中は、空っぽになったものだと思っていた。
私の心は、あの事務所から離れたものだと思っていた。
272:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:13:45.46 ID:UnTjGLwD0
いつの間にか、面会時間の終わりが来た。
病院から出なければならない。
273:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:17:27.58 ID:UnTjGLwD0
「余計なお世話よ、ばーか」
水瀬さんの猛禽類のように鋭い眼光が、私を射抜く。
274:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:23:10.14 ID:UnTjGLwD0
「仕事なんて二番目なの、私達にとってはね」
「水瀬さんらしくない言葉ね。家族を見返してやるってあんなに言ってたのに」
275:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:31:38.57 ID:UnTjGLwD0
「別にアンタは答えなくていいわよ、わざわざ聞く気もないし」
こめかみに力が入り始めたところで、水瀬さんはあっけらかんと言い放った。
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