265:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:41:15.03 ID:m2Fax+Wi0
如月さん。
そう言われた時、どこかがとても痛んだ。
階段を登る足音が、空っぽな私の頭の中で反響する。
かんかんかん。
かんかんかんかん。
私から逃げるように去っていく音は、響くたびに私を軋ませた。
何らかの理由で至る所にひびが入った私の身体。
軋むごとに、ボロボロと劣化した欠片が剥がれ落ちる。
星井さんの足音だけではない。
秋月さんの瞳。
私を見つけた時の輝いた瞳と、直後に一瞬だけ見せた暗い瞳。
輝いた瞳の中にいたのは、私ではなかった。
暗い瞳の中にいたのは、私だった。
揺らぎは最早、揺らぎというには大きすぎた。
うねりが、幾重にも重なって広がっていく。
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