千早「賽は、投げられた」
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264:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 11:40:21.99 ID:m2Fax+Wi0

言われて見てみると、星井さんの手元に何か包みがある。

バッグに入れた手は、それを取り出そうか迷っていたようだ。


「千早に渡すんでしょ?」

「そ、それは、そう、だけど……」

「まどろっこしいわねぇ、あなたらしくもない。照れてないでサッと渡せばいいのよ」


そう言うと秋月さんは私に手招きをして、星井さんの手を取ろうとした。

その時。


「……これは、千早さんにあげるモノなの!」

「み、美希!?」


星井さんはバッグを抱き込み、大きく後ずさった。


「如月さんにあげるものなんて、何もない!」


そう叫ぶと、星井さんは背中を向けて事務所へと走り出した。


「あ、ちょっと、美希!」


私と秋月さんは、呆然と星井さんの後姿を見ていた。

星井さんが階段を駆け上がる音は、とても乾いていた。


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