620: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:45:18.10 ID:HC/e3twa0
もう一度、振りかぶる。
投げる。
621: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:45:59.19 ID:HC/e3twa0
きっと、次が最後。
ねえ、春香。
622: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:46:33.30 ID:HC/e3twa0
私は、全ての力を振り絞って。
全力だったさっきよりも、さらに全力で。
623: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:46:59.58 ID:HC/e3twa0
さいころが、壁に当たる。
物音一つ立てず、壁に当たる。
624: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:48:04.81 ID:HC/e3twa0
静かに、水が壁面を伝うように。
細いひびが、波紋のように広がって。
625: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:48:32.46 ID:HC/e3twa0
ガラスの壁は砕けて、崩れ落ちた。
626: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:49:35.45 ID:HC/e3twa0
そうだ。
もう嫌な過去を振り返らない。
627: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:50:04.20 ID:HC/e3twa0
私の部屋の光が。
淀んだもう一つの部屋へと流れ込んでいく。
628: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:50:31.75 ID:HC/e3twa0
投げつけたさいころが宙を舞う。
出る目は果たして、なんだろうか。
629: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:50:57.80 ID:HC/e3twa0
630: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:52:29.30 ID:HC/e3twa0
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631: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:53:19.34 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
喉の奥から、腹の底から。
632: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:54:13.58 ID:HC/e3twa0
ああ、そうだった。
歌うことって、こんなにも心地良いものだったんだ。
633: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:54:40.07 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
全ての人に届くように。
634: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:55:06.56 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
一曲、また一曲と歌い上げる。
635: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:55:38.54 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
マイクもいらないかもしれない。
636: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:56:19.44 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
会場も熱気を増していく。
637: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:57:09.16 ID:HC/e3twa0
息が上がる。
気付けばもう、次が最後の歌だった。
638: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:57:48.54 ID:HC/e3twa0
「次で、最後の歌です」
「この新曲は、ある大切な親友に捧げる歌です」
639: ◆on5CJtpVEE[saga]
2020/08/13(木) 00:58:14.19 ID:HC/e3twa0
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640:名無しNIPPER
2020/08/13(木) 07:05:57.11 ID:7lwtGD1n0
お待ちしてました
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