275:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:31:38.57 ID:UnTjGLwD0
「別にアンタは答えなくていいわよ、わざわざ聞く気もないし」
こめかみに力が入り始めたところで、水瀬さんはあっけらかんと言い放った。
「でも、“アイドルになる”こと自体は目的でもゴールでもない。アイドルになって、“欲しい何か”があったんでしょう?」
「高揚感でも、人々の笑顔でも、自己顕示でも、復讐でも、新しい自分でも」
「アイドルは、それらを得るために選択した手段、ってだけのはずよ」
私は何故あの事務所に入ったのだろうか。
春香に後押しされたことは覚えてる。
でも私はアイドルになって、一体何を得ようとしていた?
「勿論、今だってトップアイドルは諦めてないわ。到達すべき具体目標よ」
「けれど私は、家族を見返すことよりも人気の上でふんぞり返るよりも、“もっと大切なもの”を見つけた。見つけてしまった」
「だから私には……ううん、私達には、その大切なものこそが仕事よりも優先すべき第一なのよ」
そう私に言った水瀬さんは、何かが吹っ切れたように誇らしげだった。
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