276:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:35:26.47 ID:UnTjGLwD0
「自分にとって大切なもののためだけに、アンタを心配する。ね? 私達、すっごい自己中でしょ」
「自分勝手な考えだし、良いわよ、私達の心配を面倒に、鬱陶しく思っても。そのせいで私達を嫌いになっても」
「姿を暗ましたいなら水瀬財閥が手伝ってあげるわ。地球の裏側で新しい人生をやり直すくらい余裕よ?」
「でも」
一拍おいて、水瀬さんは再び猛禽類のような鋭い目つきになった。
これ以上譲歩はしないという、決意の瞳。
「私達のためを思って、とか、迷惑をかける、とか」
「そんな頼んでもない下らない理由で私達の想いを、願いを否定することは許さない」
「絶対に、許さない」
「否定するならせめて、アンタ自身のためでありなさい」
言葉はとても静か。
身振りもなく、ただ静かに言われただけ。
なのに水瀬さんの言葉は鋭く研ぎ澄まされたナイフのようで。
「……はぁ、仕事したわけでもないのになんか疲れたわ」
そう言うとまるで何事もなかったかのように、いつもの表情に戻った。
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