1: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/29(日) 23:35:32.95 ID:19LdPABY0
HATSUTOUKOUです
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2: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/29(日) 23:36:00.11 ID:19LdPABY0
『ねえPさん、知ってる?自然の雪って、一つも同じ形の結晶にならないらしいわ』
俺は窓の外を見ながら、いつか彼女に言われたことを思い返していた。外はちらちらと雪が降っていて、予報の通りであれば明日には何センチか積もるらしい。街灯に照らされて、ひらひらと夜空から舞い降りる雪をぼんやりと眺める。
3: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/29(日) 23:37:15.97 ID:UMuyyOtY0
あの話をされたのは、確か彼女と会ってから、初めて一緒に迎えた夏の日だったと思う。その日は、少しでも体を動かせば汗が噴き出てしまうほどの全国的な猛暑の日だった。
なにぶん3年ほど前のことなので日付はよく覚えていないが、どういう場面かはよく覚えている。
4: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/29(日) 23:37:51.10 ID:UMuyyOtY0
どうして俺はあの雪の話をとても鮮明に覚えているのだろう。彼女から聞いた話のなかには、もっと衝撃的で、もっと面白い話が多くあるはずなのに。
こうして降っている雪を見る度に、またあのカップアイスを買う度に、俺はさっきの話の一部始終を思い返す。彼女は雪が不思議な存在だと言ったが、俺はこのエピソードを根強く覚えている自分と、そうさせた彼女が不思議でたまらない。
5: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/29(日) 23:39:32.93 ID:UMuyyOtY0
◆◇◆
しばらくして。
6: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/29(日) 23:40:25.20 ID:UMuyyOtY0
テレビ局に着き、玄関から駐車場まで車を回そうとしていたら、内ポケットに入れておいたスマートホンが震えた。運転中で出ることが出来ないが、十中八九奏からだろう。
少し遅れてしまい催促されているのか、それとも「今終わったから送迎を求む」という旨のメッセージか。後者であって欲しいと思いながら、前者であろうそれの言い訳を考えながら車を動かす。
7: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/29(日) 23:42:07.90 ID:UMuyyOtY0
今日はここまでです、続きはまた
前作まではpixivやツイフィールにまとめてあります
twpf.jp
https://www.pixiv.net/member.php?id=10858200
8:名無しNIPPER[sage]
2017/10/30(月) 03:35:24.74 ID:/t5XQKfFo
おつおつ
9: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/10/31(火) 00:08:57.03 ID:sbzOyKS+0
申し訳ありません、今日の分の投下を断念します
明日はちゃんと投下します
10: ◆U.8lOt6xMsuG
2017/11/01(水) 00:13:33.99 ID:au7VzF580
再開します
短いですすいません
11: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/01(水) 00:23:57.14 ID:au7VzF580
俺はどうにも、彼女に口で勝つことが出来ない。何歳も年が離れた彼女にもてあそばれることもしばしば。情けない話だ。
しかも、奏はこの3年でさらに口が立つようになった。会話において、俺がマウントを取れたようなことは本当に少ない。…しかしまあ、だからといって、特段困るようなこともないのだが。
12: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/01(水) 00:25:51.21 ID:au7VzF580
三年。俺にとっては短く過ぎていった一瞬のようなその時間は、隣の彼女にとっては長すぎたらしく。そして、一人の少女を、大人の女にするにはきっと十分すぎるほどに長い時間なのだろう。
「変わった…な」
13: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/01(水) 00:26:29.59 ID:au7VzF580
今日はここまでです、続きはまた
短くてすいません、明日明後日までには完結させます
14:名無しNIPPER[sage]
2017/11/01(水) 20:05:45.51 ID:NIcHmsyuo
期待
15:名無しNIPPER[sage]
2017/11/01(水) 22:33:12.85 ID:UF/OgM5lo
乙
16: ◆U.8lOt6xMsuG
2017/11/02(木) 01:50:04.56 ID:VDLHcmoz0
再開します
今回で終われ
17: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/02(木) 01:50:48.17 ID:VDLHcmoz0
機嫌が直った奏に、今日の収録の事を聞いた。ドラマの番宣役としてバラエティに出演し、中々に手応えがあったと言うことだ。
それを聞いて少し安心した。奏は、バラエティ番組などをあまり好まない…一度共演した、どこの誰ともしれないともしれない馬の骨のような芸人にセクハラまがいのことをされたことがきっかけだろうが。
しかし、今ではそれを軽く足払えるようになった。むしろ相手をダシにして自分の魅力を再アピールする様なこともしている。今では奏に恥をかかせられたくないと、調子に乗った発言をふっかけるような輩は少なくなった。
18: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/02(木) 01:53:29.63 ID:VDLHcmoz0
◆◇◆
「送ってくれてありがとう、じゃあまた」
19: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/02(木) 01:54:39.75 ID:VDLHcmoz0
奏の部屋の前に立ち、チャイムを押す。そして呼び鈴の下にあるカメラに映り込むようにドアから身体を離した。
『はーい、今…なに、Pさん?どうしたの?』
20: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/02(木) 01:55:38.29 ID:VDLHcmoz0
「…それがお気に入りなのは、三年前からか?」
「ええ、勿論。いままで着けてきてるのがいい証拠よ」
21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/02(木) 01:56:46.48 ID:VDLHcmoz0
◆◇◆
私が玄関に座り込んでから、どれくらいの時間が経ったのだろう。
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