21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/02(木) 01:56:46.48 ID:VDLHcmoz0
◆◇◆
私が玄関に座り込んでから、どれくらいの時間が経ったのだろう。
簡単なスリッパを履いただけの足先がどんどん冷えていくのが体験できる。でも、それ以上に顔が火照っていて熱い。
その間にも、彼から浴びせられた言葉の数々は、止まることなく私の脳内を駆け巡り、全身を支配し、息を荒くさせる。
マフラーに顔を埋めて、呼吸を整えようとしても、それは無駄に終わってしまう。鼓膜の中で、血流が忙しく騒ぐ。心臓の音は、彼にキスをねだったときよりもうるさい。
不意打ち。
まさしく不意打ちだった。彼の言葉は、一瞬で私の考えていた事を真っ白にして、そしてまた一瞬で思考全てを彼一色に書き換えた。
言葉に出せてこなかった彼への三年分の思いが、私の中から湧いて出てくる。変わることなかった一つの彼への認識を、強く再確認させられる。
ずっとしゃがみ込むわけにはいかないと、それからまたしばらくして思い立ち上がり、それでもどうすればいいか分からず家の中をうろうろとしていると、いつのまにかいつも使っている化粧台の前に座り込んでいた。
鏡に映り込んだ顔は、耳までお気に入りのマフラーと同じ色をしていた。
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