12: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/11/01(水) 00:25:51.21 ID:au7VzF580
三年。俺にとっては短く過ぎていった一瞬のようなその時間は、隣の彼女にとっては長すぎたらしく。そして、一人の少女を、大人の女にするにはきっと十分すぎるほどに長い時間なのだろう。
「変わった…な」
「私が?」
「ああ」
変わったよ。本当に、見違えるほどに。
言動も、行動も、立ち振る舞いも、三年前のあの夏の日と比べ大きく変わっている。大人びている、から大人になっている。もう二度と、あの時のようなある種まだ子供のような奏に会えないと思うと、少しノスタルジックな気持ちになる。
「ねぇ…あなたは三年の間で、何か変わったりはした?」
奏に聞き返された。しかし、俺にはこれと言って変わった点はない。三年前から変わったことなんか、年齢と、
「…徹夜が少し辛くなったくらいだ」
本当に、これくらいだ。悲しいことに、俺はこの三年でただ年をとっただけなのだろう。
「…年をとるって、悲しいことでもあるのね」
本当にな。
思い出話に花を咲かせる間に、奏の機嫌も少しなおったらしく、声色は明るくなっている。
その間、雪は絶えることなくフロントガラスにぶつかって、水へと変わって行っていた。
24Res/17.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20