71: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 12:27:44.20 ID:Yn/S07zg0
『……王馬、どういうつもりだ?』
獄原 「王馬君。星君がどういうつもりだって訊いてるよ?」
獄原 「寄りたいところにいってらっしゃいってことじゃないの……?」
72: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 12:28:24.56 ID:Yn/S07zg0
『王馬』
獄原 「あ、王馬君」
王馬 「ん? なに?」
73: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 18:07:45.33 ID:Yn/S07zg0
良くないことをしている自覚からの罪悪感と、猫に触れている興奮で、心臓は今にも爆散して臓物をぶち撒けてしてしまうのではないかと、危機感すら覚えるほど荒々しい。呼吸も喉で詰まるようでままなっていない。
74: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 18:08:23.56 ID:Yn/S07zg0
私の問いかけに、猫は“にゃー”と鳴いて答える。もしかして、言葉が解るのか? いや、解っていようといまいと、いきなりこんな知らない場所に連れ込まれたら、不安にもなるか。その気持ちはよく解る。解るのだが──
「私はお前を手離したくない…」
「できることなら、ずっと私の飼い猫として、ここにおいておきたい」
75: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/17(金) 23:17:27.39 ID:JYcML8FE0
辺古山が出ていってから、寝たフリをやめて目を開ける。
まず考えたのは、部屋で別れた獄原のことだ。
76: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/17(金) 23:18:52.76 ID:JYcML8FE0
(だが……)
ここに来るまでの間に蘇った、あいつがいて、テニスができさえすれば概ね満たされていた頃のような“生きている”と実感し、高揚したあの感覚──
全てが許された気がした
77: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/21(火) 02:04:04.61 ID:n4bVmGDB0
(私が猫を飼う…か)
今、こうしている間にも、自分の部屋で猫が留守番をしているのだろうと考えると、自然と頬と口許が緩んでしまう。
78: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/21(火) 02:04:51.92 ID:n4bVmGDB0
ガチンッ
ガチャッ
79: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/21(火) 02:05:20.07 ID:n4bVmGDB0
辺古山はクローゼットを開け、制服を脱ぎはじめた。着替えを見ないように顔を伏せる。衣擦れの音は耳を伏せても、どうしたって届いてしまう。深く考えもせずに、男である俺が居座ってしまっていることを申し訳なく思う。知らない内に、男を部屋に上げているうえに、一つ屋根の下なんざ、辺古山からしたら卒倒モンだろ。
辺古山 「心配になって戻ってきた。今日の授業は出ずに、今からお前のモノを買い揃えてこようと思う」
着替えを終えた辺古山はこちらにまで歩み寄り、俺と視線をあわせるように屈む。今日で何度めになるだろうか、頭を撫でられる。長年竹刀を握り続けたことでできているタコの硬さを感じとる。こいつからは何者にも負けてはならないという気概が常にみえる。テニスで常に上をみていた、あの頃の俺を思い出させる。
80: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/21(火) 02:06:40.05 ID:n4bVmGDB0
(あいつの名前を考えてやらねば……どんな名前がいいだろうか?)
81: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/21(火) 02:07:59.99 ID:n4bVmGDB0
辺古山 「お前の名前を決めたぞ」
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