78: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/21(火) 02:04:51.92 ID:n4bVmGDB0
ガチンッ
ガチャッ
「!?」
鍵を解錠する音と、扉を開ける音で闇に沈み込んだ意識は浮上し、自然と瞼があがる。
(……辺古山が出て行って、時間はそう経ってねーはずだが…)
見上げて時計をみれば、HRがはじまる時間だ。
(……忘れものでも取りに帰ったのか?)
顔をあげると、部屋に入ってきた辺古山と目があう。俺をみた辺古山は幸せそうな笑顔で俺の元に駆け寄る。はじめてみる辺古山の満面の笑顔に驚いて思わず固まってしまう。
辺古山 「ああ、よかった! やはり夢ではないのだな…!」
辺古山 「実はこれまでのことは夢で、扉を開けたらお前はいないのではないかと、不安だったぞ」
呆然としているところを持ちあげられ、抱えられる。これまで動物に触れたくても触れさせてもらえなかったせいか、触れても逃げない存在が現れたことを、なかなか現実のできごとだと信じきれていないようだ。そんな辺古山に少し同情する。
ㅤ舞い上がっていることが恥ずかしくなったのか、辺古山はすぐに俺をおろす。
辺古山 「起きていたのか? それとも起こしてしまったか?」
辺古山 「起こしてしまったのなら、すまない」
体を丸めなおしている俺に、申し訳なさそうに謝る辺古山。意味が伝わるかは解らないが、尻尾を揺らして問題ないことを示す。その動きをみて、辺古山の頬と目許が、これ以上は緩まないだろうというくらいに緩みきる。
(しかたないとはいえ……これは……崩れすぎだろう……筋肉が崩壊しているレベルだぞ……)
ㅤ幸せそうなのはいいことではあるんだが……これほど俺が猫になったことで、辺古山に多大な影響を与えるとは思わなかった。
辺古山 「私はだいじなことに気付いたのだ。私がいない間の、お前の食事やトイレについてだ」
(……なるほど)
90Res/117.39 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20