73: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 18:07:45.33 ID:Yn/S07zg0
良くないことをしている自覚からの罪悪感と、猫に触れている興奮で、心臓は今にも爆散して臓物をぶち撒けてしてしまうのではないかと、危機感すら覚えるほど荒々しい。呼吸も喉で詰まるようでままなっていない。
猫 「にゃー」
私は……私はなにをしているのだろうか?
今、私の腕の中にある柔らかくて暖かい、心を至福に満たしてくれる生きた毛玉を……猫を……衝動に任せて部屋に連れ込んでしまった……。
猫 「にゃー」
この学園の寄宿棟は、動物に関する才能を持つ者以外のペット飼育は禁止されている。私の才能は《超高校級の剣道家》……自分が動物から嫌われていることを合わせても、ペットを飼うなど縁遠い。
(だが! 手離したくない!!)
猫 「ゔにゃーッ!」
私を見つめている猫を抱き締める。力が入ってしまったのか、苦しそうに猫が身じろぐ。
「す、すまなかった」
ハッとして猫を床へとおろす。すると、猫は背筋を伸ばして、両足を床に着いてちょこんと座り込む。
可愛い。存在がもう可愛い。
(まず形からして反則だ! この全体的に丸く、頭から尾にかけてしなやかな曲線!! 耳の形なんて最高ではないかっ!!)
(はっ!)
私になにか訴えかけているのだろうか? 先ほどからずっと、私と目を合わせてくる。
(ご飯か? トイレか?)
どうして私には田中のような才能が備わっていないのだ……猫の気持ちがまるで解らない……。
しかし、猫の目線が私の後ろに向いた。私の背後には扉しかない。それはつまり──
「外に出たいのか?」
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