398: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:51:32.99 ID:IYrmd6hRo
少し埃っぽい匂いが部屋に漂っている。
書庫のように林立した金属ラックには、大小さまざまな木箱やトレーが並ぶ。
399: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:52:57.41 ID:IYrmd6hRo
それから、その横で腕を組んで立つ女がいる。
この女のことも当然、知っていた。
400: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:54:03.32 ID:IYrmd6hRo
アロエ「別に怯えさせてなんかないってば」
腕を組むアロエが、肩を竦めながら返している。
401: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:55:22.48 ID:IYrmd6hRo
アデク「なにも、取って食ったりせんから、緊張するな」
不憫に思ったのか、アデクが宥める口調でレンジャーに声をかけた。
402: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:57:18.25 ID:IYrmd6hRo
レンジャーの誰何に、禿げた男は眉を跳ね上げて意外そうな顔をした。
なぜそんな反応を示すのか、レンジャーには理解できない。
403: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:58:22.42 ID:IYrmd6hRo
面白がっている声のアデクと違い、男はどこか上の空だ。
本当は、こんなやりとりを一刻も早く切り上げたいに違いなかった。
404: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:59:15.07 ID:IYrmd6hRo
意外そうな顔をするアロエに、アデクは笑って返す。
アロエは意外そうに口を「へ」の字に曲げた。
405: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 01:00:24.87 ID:IYrmd6hRo
カツラ「知っての通り、リーグ絡みの視察でホドモエに顔を出すことになった」
カツラ「だから、その『ついで』でここまで来たわけだ」
406: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 01:01:31.00 ID:IYrmd6hRo
仮にもチャンピオンだというのに、アデクの様子はまるで他人事だ。
アデク「わしはまだ、どうするか決めてはおらんがね」
407: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 01:02:37.15 ID:IYrmd6hRo
アロエ「ホドモエからここって、街ふたつは越えるでしょ」
カツラ「いや、この街まで来たのは、本当にたまたまだ」
408: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 01:06:12.04 ID:IYrmd6hRo
その一声だけで、まるで首を絞められたように息ができなくなった。
衣服の膝の部分を握りしめて、レンジャーはどうにか息を整える。
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