399: ◆/D3JAdPz6s[saga sage]
2023/09/17(日) 00:52:57.41 ID:IYrmd6hRo
それから、その横で腕を組んで立つ女がいる。
この女のことも当然、知っていた。
少なくともこの街に住んでいて、彼女を知らない者もまたいるまい。
その二人と自分、両方から同じくらいの距離を取って佇む、きれいに禿げ上がった男。
さっきまで自分のノートを奪い取ろうとしていた相手だ。
どこの誰なのか知らないが、あまり関わりたくない部類の人間だと思っていた。
荷物は事務所に押しつけてきたのか、その禿げた男も今は手ぶらだった。
そうやって周囲を観察でもしていないと、内臓が口から飛び出してきそうだった。
前者の二人は、いわばもっとも身近な雲の上の存在だ。
本来ならば、自分のような半人前が気楽に会話できるはずもない。
トレーナーとしての道を邁進することさえやめた自分には、なおさらそう思えた。
いずれにせよ、連行されたコソ泥のように、レンジャーはひたすら膝を握り続ける他なかった。
シッポウジムリーダーの手元に置かれた、自分のノートにやきもきしながら。
アデク「おい、話を聞きたい相手を怯えさせてどうするんだ」
圧力の強い声が顔の横をかすめていく。
あれをじかに浴びたら気絶しそうだ、とレンジャーは思う。
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