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真・恋姫夢想【凡将伝Re】5
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257 :
赤ペン
[sage saga]:2023/02/10(金) 16:21:15.22 ID:0GS8gwnB0
乙でしたー
>>253
>>紀霊と個人的な関係と武力を背景にのし上がった成り上がり。 意味は分かりますが
○紀霊との個人的な関係と武力を背景にのし上がった成り上がり。 もしくは【個人的な関係と、武力を背景に】でもいいかも
>>誰に譲れるものではないのですぞ!」 違和感というほどでもないですが
○誰かに譲れるものではないのですぞ!」 もしくは【誰に譲れるものでもないのですぞ!」】とかどうでしょう
>>「あ、あれ?恋の相棒は自分だってここは怪気炎をあげるとこじゃないの?」 【怪気炎】…威勢が良すぎて真実味が無いほどの意気込み
○「あ、あれ?恋の相棒は自分だってここは気炎をあげるとこじゃないの?」 仲間に言うことじゃないしいくら本郷でもそうは言わんじゃろ…言っとるやろがい!って言われたらどうしようもないが
>>変幻自在、とい言葉では言い表せない、 【い】を間違えただけなのか
○変幻自在、等と言う言葉では言い表せない、 こうかな?
>>呂布は単騎にて最強。それは確定的に明らかなことである。 日向は木の葉にて最強!を幻視した…恋は別に強さをアッピルなどしてはいないが
○呂布は単騎こそ最強。それは問答の余地のないことである。 むしろ単騎以外だとデバフかかる仕様なら【こそ】の方がしっくりくるかな?
>>254
>>反董卓連合に於いて、足止めを食らいました。ですから、陳宮さん。貴女には恋さんが率いている如く、 あの頃の劉備達って恋と相対してたっけ?…というか足止め?
○反董卓連合に於いて、その武は知れ渡りました。ですから、陳宮さん。貴女には恋さんが率いているが如く、 恋が率いる部隊がいるってなったらそこに全力出すよね
>>そして、その用兵は敵陣形を太極から見下ろして手持ちの戦力を配置するというもの。 誤字なのか誤字じゃないのか迷う
○そして、その用兵は敵陣形を大局から見下ろして手持ちの戦力を配置するというもの。 普通なら全体を見る感じの【大局】なんだけど風ちゃんは太極図模様の座布団の上で瞑想()してそうだから困る
>>だからこそ、彼女が戦場においては馬岱という存在を切り札にしていた。 彼女が【】を切り札にしていた。だと文脈が変かな?
○だからこそ、彼女は戦場においては馬岱という存在を切り札にしていた。 の方が良いと思います
>>眠たげな表情はいつものこと。そして、くすり、と笑む。 上の文で【そして】を使ってるのでちょっとこねくって
○眠たげな表情はいつものこと。そこに、くすり、と笑みが浮かぶ。 彼女からすれば二郎以外の思考パターンは大体読めるんだろうな…二郎の影響受けてる奴らは別だけど
読み返してたら【騎兵の戦い】で二郎が言ってたわ…一番怖いのは呂布単騎の夜陰特攻って
ところで劉備陣営はこの場にいるはずなのに一言も話していない人がいますね…やっぱりお前ら本郷がトップ名乗れば?
【勝てばいいのだ】おっ袁家鉄の掟の結論インスパイア()かな?(名推理
風ちゃんの見えているものが違い過ぎて…とはいえそれを見る為には優秀な耳目とそれらを統率する人たちが必要で…やっぱり数は力なんやなって、ねえ兄貴
258 :
青ペン
[sage saga]:2023/02/12(日) 09:22:09.10 ID:ytu1Zgjqo
>>255
ひっさしぶりの乙乙の乙。
【理論と実践〜足元に潜む罠〜】
で。
259 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/02/13(月) 05:56:40.52 ID:VrmOeDZ40
>>256
どもです!
風ちゃんが今回とんでもなく扱いづらいw
※褒めてます
>>257
赤ペン先生ありがとうございます!
>読み返してたら【騎兵の戦い】で二郎が言ってたわ…一番怖いのは呂布単騎の夜陰特攻って
読み返していただいておりましたかw
恋姫の呂布は武人でも群れのボスでもないですからね・・・
>風ちゃんの見えているものが違い過ぎて…とはいえそれを見る為には優秀な耳目とそれらを統率する人たちが必要で…やっぱり数は力なんやなって、ねえ兄貴
たいていのことは解決しますからね(ロシアの方を見ながら)
>>258
どもです!
>【理論と実践〜足元に潜む罠〜】
候補ありがとうございます!
本文仕上げることに全力でタイトルとかめちゃ忘れてましたw
感謝
260 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/02/13(月) 23:02:16.92 ID:VrmOeDZ40
>>113
備忘録
これは大事
261 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/15(水) 21:04:26.46 ID:B3O05t3l0
夜の帳(とばり)が落ちて、人の手による灯りが闇を照らしていく。
つまり、そういうことだ。
恋が来るとしたらこういう夜だ。それは間違いない。
かつてあった反董卓連合では、そこいらへんをうまく調整できていたんだけどね。
阿吽の呼吸、まではいかないまでも詠ちゃんとは離れていても通じ合っていたと確信している。いた。
あちらにしたって、昼夜問わずの継戦は不可能だったろうから。
そしてこちらとしても、慣れぬ夜戦、築けぬ連携のもとでは犠牲はとんでもないことになっていたはずだ。
まあ、感傷というやつかもしれない。
「まあ、二郎が鬱々としているのも分かるのだけれどもね。
どうせなら火酒くらい用意しといてほしいものね。
豪奢な盃を手に、注がれるのが白湯(さゆ)とか興醒めもいいとこよ」
「そうは言うがな華琳、いざというときに前後不覚とかありえんだろうよ」
「何を言っているのかしらね。どうせ呂布が来たら、二郎が酔っていようが素面(しらふ)だろうが大して違いはないわよ」
それはそうなんだろうけどなあ。流石に流琉と凪が張り詰めた感じで警戒している前で飲んだくれるわけにもいかんだろ。
そして、流石にこれでも武人の端くれである。という思いもあったりする。
いや、本当に端くれではあるという自覚はあるのだけれどもね。
「夜陰にまぎれて、というのが一番怖いというのには同意するわ。
でもね、おそらくそれはない。だからさっさと寝ときなさい。
まあ、私の推察にどう信を置くかは興味深いけどね」
そう言いながら曹操は横になることなく、その時を迎える。
特等席でありながら、参戦者。
滾る覇気を隠そうともせずにその時を迎える。
この時曹操に特に論拠や確信があったわけではない。単に獣は夜には眠るものだろうという浅い推察があっただけである。
そして、多少なりとも軍を率いた経験があるのならば、思いつかないことでもある。
そう、呂布の動きとはそういうものであるという認識。
そしてそれは現実となる。
呂布、来たる。
262 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/15(水) 21:05:29.89 ID:B3O05t3l0
ちょっと短いですが以上です
かんそうとかくだしあー
あとすこしですがそれがしんどいが
どうせ四月からはもっとしんどいから筆を乗るようにもってきます
263 :
赤ペン
[sage]:2023/03/16(木) 10:49:57.58 ID:nAc7HR7d0
乙でしたー
>>262
>>そう言いながら曹操は横になることなく、その時を迎える。
>>特等席でありながら、参戦者。
>>滾る覇気を隠そうともせずにその時を迎える。
この後から真名じゃなくて普通の呼び方にしたのは第三者視点に切り替えたからですかね?上では流琉とか凪とか呼んでるんで視点変更がちょっと急な感じが
○曹操はそう嘯きながらも、横になることもなく静かに杯を傾けていた。
特等席でありながら、参戦者。
○滾る覇気を隠しもせずにその時を迎える。
ちょっと整えて曹操の視点に変わったっぽくしてみる
>>そしてそれは現実となる。
これだと曹操の考えた通り夜陰に紛れてじゃなかったふうに読めるけど、実際どうだったんだろ?
でもそう言いながら横にならずに〜って書いてるし、
夜明け前が一番暗いんだ、とか言うしそのタイミングだったりしたとか?分からん
ちょっと次回投下と合わせて読み直し採点します(先生感
264 :
赤ペン
[sage]:2023/03/23(木) 14:15:07.96 ID:UFlvJoE00
262じゃなくて261だった
265 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/27(月) 21:06:32.02 ID:MvAKtx4F0
静まりかえった場に、ひたり、と足音が響く。
なるほど、流石に恋だ。
ここまで辿り着くのに消耗が感じられない。
諦観、というやつである。
それは反董卓連合の時からあったもの。
当時はきっと詠ちゃんが止(とど)めてくれたもの。
つまり、恋の最高の、最低の使い方は単騎特攻ということである。
266 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/27(月) 21:07:46.05 ID:MvAKtx4F0
◆◆◆
楽進は驚くほど静かに相手を見やる。
事前に聞かされていた以上に、その存在感は無に近く、それでいて無限大。
つまり、それこそが呂布であるのであろう。
丹田から気を練り上げ、万全の体勢を整える。満たされた今が最高潮。その確信で備える。
傍らで備える相棒――典韋は更に昂ぶっていて。
吠える。吠えた。
「うわああああああああああああああああああああああああ!!!」
瞬で高まり、突撃する。
場の誰もが虚を突かれたそれは、まさに絶妙。そして必殺。
獣を仕留める必殺の呼吸。
得物を振りかぶり、最大最強の一撃を食らわせんとす。
その動きに楽進は連動する。
典韋が動いたのだ。
それは、機なのだ。
ならば連動し、場を整えるべし。
いやさ、討ち取るべし。
既にこの場にいる、対敵が呂布であることを疑うべくもなく。
「行け、乾坤圏!」
発された拳から放たれるは神器。かの封神演義で幾多の活躍をした神器である。
放たれて尚、その威力からか不規則な鋭角を描き呂布を襲う。
そしてそれを追って、楽進は気を練り上げ、放つ。
「断空砲!乱れ打ちぃ!」
双の拳から無数に放たれるそれ。
一撃でも必殺の威力に流石の呂布が身を躱す。
「そこおっ!」
典韋の渾身の一撃。
常の呂布であれば片手で受け止め、片手で処していたろうが。
「ちいっ!」
死角からの乾坤圏を方天画戟で弾く。
それを好機とみて典韋は渾身にて挑む。
挑もうとする。が。
「それはもう見た。遅い」
瞬の隙で返した拳が典韋を襲い、一撃で意識を奪う。
それでも、典韋は残された意識で呂布の腕を掴む。それはまさに執念。
自然、気を取られたその刹那。
「断空光牙拳!」
渾身の一撃が呂布を襲う。
「くうっ!」
その声に楽進は更に歩を進める。
必殺の一撃。
「させないっ」
繰り出す前に捕まれた拳。
爛々とした眼光で獰猛に笑む呂布。
ぎちち、と軋む拳。
「断空砲!零式!」
咄嗟に放った溜めなしの気弾。
直撃したはずの呂布が笑う。
「つかまえた・・・・・・」
ぎしり、と握られた腕は振り払うこともできず。
腹を貫通した一撃で沈む。
267 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/27(月) 21:14:24.75 ID:MvAKtx4F0
◆◆◆
とどめをさすか、本命を刺すか。
呂布は逡巡し、本命を選ぶ。
「私を無視するとは、いい度胸ね」
虚勢である。
曹操はそれでも胸を張る。
痩身、矮躯と後世に伝わるが、現時点での曹操の戦闘力は純粋に紀霊を上回るほどのものである。
剛柔併せ持ち、まずは達人と言っていいほどの腕前。それもで鎧袖一触とはこのこと。
数合打ち合うわけですらなく腹を蹴られて失神する。
「やれやれ、困ったものだな。
恋よ、まさかお前とこうなるとはね」
苦笑気味に紀霊は呟く。
「大丈夫、二郎。痛くしないから。
安心して」
そうじゃねえんだよなあ、と紀霊は苦笑する。
「だがまあ、ただでやられるわけにもいかねえしな、とは言えだ。
恋よ、お前は大丈夫か?おなか減ってないか?
干し肉とか味気ないだろう、なんなら鍋で美味しいとこ作ってやるぞ?」
緊張なぞない仕草で紀霊は手元の鍋に火をおこす。
カチ、カチと火打ち石が火花を散らし、それは来(きた)る。
◆◆◆
凪いだ戦場に、ちり、と焦りを覚える。
程立はどちらかと言えば謀士寄りの軍師である。
それを紀霊に重用されているのであるが、いざ戦場となれば経験不足は否めない。
それを互角以上に保てているのはひとえに紀家軍の分厚い陣容である。
もっと言えば、程立の用兵はいわば適材適所。必要な場所に必要な兵力を配置するというものである。
机上の空論ともなりそうな彼女の用兵を支えていたのは紀家の分厚い陣容である。
もっと言えば中級指揮官の充実であった。
紀家軍、その中核はかつて梁剛という女傑が築いたもの。それを拡充した韓浩と雷薄。
だからこそ、紀家軍は強い。強くある。
対して、陳宮の用兵は単純である。
いかにして勝つか、そして呂布の不在を隠すか、である。
本来戦場の経験では数段上である陳宮の用兵、それはこのたびだけは程立に読まれていた。
戦場に翻る呂の旗、それが五つ。
「つまり星ちゃん、流琉ちゃん、二郎さん以下略に分けてこちらの戦力を分散したいということですね。
つまりここで一番重要なのは・・・」
「分かった、私は行くぞ、行くとも」
物見台から身を翻し趙雲は愛馬に跨がる。
「行くぞ烈風、今こそ危急存亡の秋(とき)というやつだ」
委細承知、烈風は無言で疾風怒濤。
そして間に合うのだ。間に合ったのだ。決定的な瞬間に。
268 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/27(月) 21:15:37.84 ID:MvAKtx4F0
とりま以上です寝る
269 :
青ペン
[sage saga]:2023/03/28(火) 01:20:22.74 ID:v2zRauUzo
>>268
乙ーい。
【対峙〜餓狼 対 凡人〜】
とでも。
あとは赤ペン先生の添削を待とうか
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/03/28(火) 11:38:18.71 ID:0pDkSgoMO
乙したー
うひぃ呂布だああああああああ
間に合ったんだな!間に合ったんだな!!!?
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/03/29(水) 13:04:28.04 ID:e5Xc0M0D0
乙でしたー
>>266
>>楽進は驚くほど静かに相手を見やる。 明鏡止水?このままでも良いですが、どことなく息をひそめてるようにも読める
○楽進は驚くほど穏やかに相手を見やる。 心がさざ波立ってない、とか殺気立ってないならこの方が良いかな?
>>つまり、それこそが呂布であるのであろう。 つまってるかな?どうだろう
○成程、あれこそが呂布ということだろう。 【それ】というほど近くない気もしますので【あれ】でどうでしょう
>>吠える。吠えた。 あくまで好みの話ですが
>>「うわああああああああああああああああああああああああ!!!」 【覇】とか【嗚】とか【喝】とかになりそうな雄叫びが好みです
○吠える。吠えた。 繰り返すことで強調するなら
○「っっっ!!!」 とか【「―――!!!」】で声を表現するか
○その昂ぶりを抑えることも無く、吠える。 【抑えきれずに】ではなく自分の意思で爆発させる感じで
○「はあああああ!!!」 とか【「うおおおおお!!!」】とか【かああああああ!!!】の方が良い気がする
>>瞬で高まり、突撃する。 万全の体勢で最高潮に満たされていたのでは?
○気勢に乗り、突撃する。 それとも【高まり、限界を知らぬとばかりに突撃する】とかで最高を更新したかな?
>>一撃でも必殺の威力に流石の呂布が身を躱す。 癖みたいなものって言ってたし気にしない方が良いかしら
○一撃でも必殺の威力に流石の呂布も身を躱す。 ただ別に呂布ってアキレスとかジークフリードみたいに頑丈が売りってわけでもないんだよなあ
○一撃でも必殺の威力に流石の呂布も足を止める。 いつもなら弾いて躱して前進するのを、足を止めて迎え撃つ感じかな
>>瞬の隙で返した拳が典韋を襲い、一撃で意識を奪う。 【瞬の隙】ってちょっと聞かないですね
>>それでも、典韋は残された意識で呂布の腕を掴む。それはまさに執念。 奪ったのか残されてるのか
○瞬く隙で返した拳が典韋を襲い、一撃で無力化する。 もしくは【一瞬の隙で】とか
○それでも、典韋は朦朧とする中で呂布の腕を掴む。それはまさに執念。 それとも【一撃で意識を奪う。〜典韋は半ば無意識に呂布の腕を掴む。】とかどうでしょう
>>その声に楽進は更に歩を進める。 声…声かあ
○その呻きに楽進は更に歩を進める。 それとも【苦悶の声に】とかどうでしょう
>>直撃したはずの呂布が笑う。 上で【獰猛に笑む】してるから
○直撃したはずだ……が、その笑みは翳らず。 ところで【零式】ってどこに打ち込んだんだろう…拳を捕まえた手かな?
>>「つかまえた・・・・・・」 漢字かどうかは呂布だから分からん
○「つかまえた……」 何故か私のだと(さんてん)の変換で出るけど(・・・)だと出なかったりする
>>腹を貫通した一撃で沈む。 方天画戟で貫通したなら致命傷だな
○腹部を撃ち抜いた一撃で沈む。 零式を撃った距離だし拳だとは分かるんだけど、より分かりやすく
>>267
>>それもで鎧袖一触とはこのこと。 ケアレスミスですね
○それでも鎧袖一触とはこのこと。 【それすら】とかもいいかも?
>>数合打ち合うわけですらなく腹を蹴られて失神する。 ひょいッと躱されて蹴られて終わったのかしら
○まともな打ち合いすらなく、腹を蹴られて失神する。 【いとも容易く見切られ、腹を蹴られて】とかもいいかも?
>>「だがまあ、ただでやられるわけにもいかねえしな、とは言えだ。 この後の文と違和感が
○「だがまあ、ただでやられるわけにもいかねえしな、と言うかだ。 突然の飯の話への転換だったらこんな感じでどうでしょう
>>つまりここで一番重要なのは・・・」 上で既に【つまり】は使ってるので
○となるとここで一番重要なのは……」 とかどうでしょう
風ちゃんが陳宮の策を読んだということは、5つ全て偽と読んで、星を二郎の所に行かせたってことだな
反董卓連合の時は馬を倒して自分の足で走らせて武将大量投入してそれでも…だったよなあ。ウッ頭が
272 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/31(金) 21:31:29.84 ID:b/O/LXTw0
>>269
どもです!
タイトル今回考えてなかった!
実にありがたいしありがとうございます!
>>270
どもです!
今回は(!!!!!!)間に合いました(ネタバレ)
>>271
赤ペン先生ありがとうございます!
やったぜ
>風ちゃんが陳宮の策を読んだということは、5つ全て偽と読んで、星を二郎の所に行かせたってことだな
ここだけの話、風ちゃんはこの選択のために色々切り捨てておりました、ということ。
つまりそういうことです。
>反董卓連合の時は馬を倒して自分の足で走らせて武将大量投入してそれでも…だったよなあ。ウッ頭が
あと、食料劣化とか供給減らすというデバフもモリモリでございました。
それでアレです。
呂布はまあ、そういう存在です。
来週はずっとお泊まりお仕事なのでお察し下さい
273 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/11(火) 21:01:10.60 ID:bM0kMje80
ちまちまやってます
が
やべえ、GW完結は無理そうですね
次回作はまた来年になりそう
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/04/12(水) 22:52:20.66 ID:b1gKCLk20
【空気中のスパイクタンパク汚染に気をつけましょう】
スギ花粉や様々な化学物質に対して過敏な方がおられるように
スパイクタンパクに対し過敏な方がおられます
特に二価ワクチンを接種された方に遺残した
オミクロン対応の
mRNAから生成されるスパイクタンパクは
従来の武漢対応のものと比べ
60〜70倍人体に結合しやすくなっており
シェディング被害は甚大なものになっています
また一部の方に感じる臭いに関しても
酸化したPUFAの代謝産物であるアルデヒドの可能性も否定できません
科学的証明は難しい案件ですが
徹底したシェディングング対策や
イベルメクチンやグルC点滴などで
改善することから
臨床的に起こっている事案は
化学物質過敏症やスパイクタンパクそのものでしか説明できないものばかりです
スパイクタンパクが体内に侵入すると
自覚症状が無くても
徐々に毛細血管レベルでは
血栓を形成する恐れがあり
酸素や栄養素が
細胞全体に十分行き渡らなくなる可能性があります
これは老化の促進を意味し
新たな病気が発生する素因にもなります
既接種者で
コロナ後遺症やワクチン後遺症になった方は
非接種者に比べ
シェディング被害を被りやすくなっています
そのため治療が難渋している可能性もあることに留意してください
275 :
青ペン
[sage saga]:2023/04/17(月) 13:43:31.85 ID:Zx5PJu/do
>>273
エエんやで
完結させることを第一義で
276 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/17(月) 20:32:03.71 ID:I1dnye540
火をおこす。
手持ちの食材を漁る紀霊は哀しみにいた。
呂布に背を向ける、それはいい。どうせ相対しても稼げる時間は数秒程度だろうから。
諦観、それもある。
いざ呂布と向かい合うと、武力では勝てないという事実がのしかかる。持てる全てを尽くしても届かない。
それだけ隔絶している。実際に手合わせしたからこそ紀霊はそれを理解していた。
だがしかし、現実はいつだって非情で、近寄る呂布の足音に紀霊はなにもできない。
ここまでか、とため息一つ。
「大丈夫、二郎。痛くしないから」
「せめて俺の作る飯くらい食べてからにしてほしかったなあ」
「ごめんね、二郎」
ただ一つの活路、食への執着すら通じず。
「すまんな、詠ちゃんからも恋にはよろしくしてくれと頼まれていたんだが。
実際何もできてなかったな。
詠ちゃんに、何か伝言あれば承(うけたまわ)るよ」
その言葉に初めて呂布の足が止まる。
無言、無音、静謐。
数瞬、数秒、或いは数分。
その沈黙の後に呂布は口を開く。
「よく、わからない。
でも、ごめんね、二郎」
そして呂布は得物の方天画戟を振りかぶる。
そして赤い閃光が走った。
◆◆◆
飛ぶが如く。
駆ける、駆ける。全速力とはこのこととばかり。愛馬烈風もこの時が全てとばかりに疾走する。
間に合う、という不思議な確信がある。程立から託された言葉。
「風は最善を尽くしました。そして辿り着きました。後は星ちゃんのお仕事です。
こればっかりはお任せするしかないですからね〜」
脳裏に浮かんだ親友の声。
そして馬上に立ち、舞う。
蝶のように舞い、蜂のように刺す。
趙雲を評した紀霊の言である。
「貫け、龍牙!」
投擲された愛槍は閃光となり呂布に向かう。
まさに必殺の一撃。
そう、必殺の一撃であったはずである。
標的が呂布でなかったならば。
◆◆◆
ギィン、と金属音が響く。
飛来した槍を呂布が弾いた音である。
それを理解した紀霊は手元の三尖刀を投げる。
無論、駆けつけた趙雲に。
それを華麗に受け取り一振り、二振り。そして得心したとばかりに笑み、構える。
万夫不当と一騎当千。
それがいよいよ相対するのだ。
277 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/17(月) 20:32:56.52 ID:I1dnye540
◆◆◆
コォォォォ、と音響を立てて趙雲は息を吐く。
それは後世、息吹と呼称されるもの。
呼気を落ち着かせ、改めて呂布と向かい合う。
畏れは、ない。昂ぶりも、ない。
ただ、十全なのを自覚する。
明鏡止水(ゾーン)。
落ちる水の一滴すら明瞭に見えるそのままに歩を進める。
そして無造作に尽きだした一撃が呂布の腹を貫く。
「無拍子、というやつだ。ふむ。辿り着いてみれば、どうということはないものだな」
あらゆる予備動作、気の動きすら遮断して。無造作に襲うその一撃は武の極み。
相手の動向を捉え超反応する呂布にはいかにも相性が悪い。いや、致命的と言っていいだろう。
だが、それでも。
「ご主人様……」
急速に抜けていく力。流れ出す血流。だが、あと二撃奉天画戟を振るえばそれで済む。
ぐい、と腹に食い込む三尖刀を掴む。
「ぬ?」
「捕まえた……」
そして、容赦なく奉天画戟を趙雲に振るう。これで一撃。そしてもう一撃を紀霊に振るえばそれでいいと。
だがそうはならなかった。
「ふぅ……。硬気功がなかったら危なかったな……」
呂布の渾身の一撃を趙雲は防ぐ。こともあろうに素手で!
それでも武器さえ与えなければ趙雲とて徒手空拳。どうとでもなる。
だが。そうはならなかった。
「四十八の殺人技の一つ、地獄突き」
喉を趙雲の手刀が貫く。そしてその苦痛に思考回路が追い付かない。
同じく無拍子で放たれた一撃を呂布は防ぐどころか反応することが出来ない。
「ご……ほ!」
いかなる鍛錬でも克服できない。故に、急所と言う。
「裏、四十八手――菩薩掌」
ぱぁん、と音が響き、ぐらりと世界が揺れる。呂布は知らない。それが鼓膜が破れる音だと、感覚だと。脳が揺れ、世界が歪む。
五感の鋭さで世界に君臨した呂布がその寄る辺を喪い、途方にくれる逡巡。
「そして、十二の禁じ手が一つ。
――裸締め」
いわゆる、スリーパーホールド。呂布の後ろに回り込み、その首を締め上げて――。
ごきり、と鈍い音が響く。
「あ――」
呂布が、最期にその眼に見たのは、透きとおるような蒼天であった。
278 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/17(月) 20:37:09.08 ID:I1dnye540
本日ここまですー
感想とかくだしあー
いやあ、呂布は強敵でしたね(ガチ)
何やっても身体能力で殺されるよマジで
そして星は頭がいいから割と諦めるのですよね
武の極みを目指さないで降りる
そんな彼女を追い込んだ今作です
武の極み、というやつに向けて頑張ってもらいました
恋姫二次でも聖ちゃん最強はないはず
ないはず
※仮面は置いとく
あんなギャグでなくても真面目にやればワンチャンあったはずなんですよね
多分目指さないでしょうけど
ただ、凡将伝の星ちゃんは目指しました
そういうことです
279 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/17(月) 20:39:29.53 ID:I1dnye540
一番しんどいとこは乗り切った感あります
がんばれGWまでに完結ワンチャンあるやで(自分に、向けて)
※今期から増えたお仕事は見ないものとする
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/18(火) 08:39:55.32 ID:1QLxAPbko
乙したー
新たなる武力100の誕生やあああああああああ
戈を止めると書いて武と読むならば、そら未来知識のチート技の連発もやむなしですな
281 :
赤ペン
[sage]:2023/04/18(火) 17:18:26.86 ID:rKXOTcKf0
乙でしたー
>>276
>>手持ちの食材を漁る紀霊は哀しみにいた。 間違いと言うほどではないですが
○手持ちの食材を漁る紀霊は哀しみの中にいた。 もしくは【悲しみにくれていた。】とかどうでしょう
>> そして呂布は得物の方天画戟を振りかぶる。 【そして】は一つの方が良いと思います
>> そして赤い閃光が走った。 あと【得物の方天画戟を】ってちょっとくどいかな?
○ 呂布は得物を振りかぶる。 前の文で方天画戟って言ってるし
○ そして赤い閃光が走った。 銀線じゃなくて赤いってことは朱塗りの武器?それとも燭台やらの火の灯が光源?
もしくは
○そう言って呂布は武器を振りかぶり―――赤い閃光が走った。 とかどうでしょう
>>277
>>そして無造作に尽きだした一撃が呂布の腹を貫く。 胸は…装甲が厚かったか?
○そして無造作に突きだした一撃が呂布の腹を貫く。 ところで【貫く】だと貫通して先っぽが背中から生えてるイメージなんですが、合ってます?
○そして無造作な一撃が呂布の腹を突き刺した。 腹筋で抑え込んでる感じからするとこうかな?
>>急速に抜けていく力。流れ出す血流。だが、あと二撃奉天画戟を振るえばそれで済む。 その単純な考えで腐れ儒者どもをやっていれば
○急速に抜けていく力。流れ出す血流。だが、あと二撃方天画戟を振るえばそれで済む。 一刀とかの視点なら正解だけど呂布の視点からもそれで勝てると思えるのか
>>そして、容赦なく奉天画戟を趙雲に振るう。 そりゃ二郎相手ならともかく味方としていたことないしなあ
○そして、即座に方天画戟を趙雲に振るう。 得物を掴まれて対応する間もなく…的な感じでこれでどうでしょう(対応できたけど
>>同じく無拍子で放たれた一撃を呂布は防ぐどころか反応することが出来ない。 【同じく】は腹貫いた一撃にかかってるのかな?
○またしても無拍子で放たれた一撃を呂布は防ぐどころか反応することも出来ない。 槍の間合いから素手の間合いに入り込めるとかヤベエ
>>いわゆる、スリーパーホールド。呂布の後ろに回り込み、その首を締め上げて――。 裸締めで通じるんじゃないかな…
○淀みなく流れる水のように。呂布の後ろに回り込み、その首を締め上げて――。 一つ一つの技も、それらの組み合わせも、積み重ねたんだろうなあ、と
ところで裸締めで首の骨折ったんか…締め技で折れるの?教えてエロい人
関係ないけど48の殺人技表裏と12の禁じ手…煩悩の数108か
星にはぜひとも夜の寝技48手の伝承者になってもらわねば…12の禁じ手?子づくりしない子づくりとかじゃないかな(適当
蒼天…夜中ではなく明け方に奇襲かけたのかな?
282 :
青ペン
[sage saga]:2023/04/20(木) 12:26:33.46 ID:A0c4/3K+o
>>278
こうなるのは予期してたけど…ヤルセナイ
【星が纏うは叢雲の衣〜儚き恋の行方】
とでも
283 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/20(木) 20:28:30.22 ID:2QSBg0pz0
>>280
やりました
とだけ
>>281
赤ペン先生ありがとうございます!
>ところで裸締めで首の骨折ったんか…締め技で折れるの?教えてエロい人
餓狼伝リスペクトです
グレート巽VSサクラ戦
なお、プロレススーパースター列伝と修羅の門もリスペクトしております
>関係ないけど48の殺人技表裏と12の禁じ手…煩悩の数108か
俺の必殺技(?)は108まであるぞという伏線がどっかにあったはず(うろ覚え)
>蒼天…夜中ではなく明け方に奇襲かけたのかな?
恋ちゃんは野生動物なので夜寝てます
なので戦場から星ちゃんが間に合いました
>>282
どもです!
いつもながら叙情的なセンスが凄い
星ちゃんはこれにて作中最強になりましたので盛っていきたいですね!
284 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/20(木) 21:51:43.87 ID:2QSBg0pz0
「星、お前こそ天下無双の名にふさわしい英傑だ」
その言葉はするっと出てきた。
圧巻であった。
まさか恋相手にあそこまで一方的に勝ちを決めるとは想定していなかった。
ブッチャーばりの喉への手刀から、鼓膜破り、最後はスリーパーホールドからのトドメである。
いや、あの恋を相手に、だよ。
そりゃあもう天下無双と言っていいよ。俺が認める。征夷大将軍が認定しちゃうよ。
そういや星は毎日の鍛錬も欠かさなかったものな。最近サボりがちな俺と違って。
毎日誰や彼やと手合わせしてたもんなあ。
などと感慨深いなあと思っていたのだが。
「主よ、そう評価されるのは嬉しいがちと早い」
などと言いよる。
つまりどういうことだってばよ。
「まだだ、まだということだよ。
その評価は嬉しいがね、かの覇王は、項羽は戦況をその身で」
ふう、と一息。
「勝利を、軍に与えたからこその無双だろう?
私はそういう意味ではまだ何もなしとげていない。
まだ無念夢想でしかない」
指笛一つ。
愛馬烈風を呼び寄せ、去って行った。
なにそれ超かっこいいんだけど。
◆◆◆
戦況は膠着している。
いや、やや優勢といったところかと程立は思いを馳せる。
ただ、決め手がない。
とは言え、歴戦の指し手である陳宮相手に保つこの優勢は重畳。
じわりとこの優勢を推し進めるのが最善であろうと程立は断じる。
そして。
ここに、この膠着にも近い状況を打開、あるいは一変させる存在が到着する。
◆◆◆
「風」
ゆらり、と現れた趙雲。
想定よりも早い。早すぎる。嫌な予感にさしもの程立も身を震わせる。
「せ、星ちゃん。どうしたのですか!」
纏う空気が違う。にや、と笑う表情は不敵で無敵な趙子龍のそれ。
だが纏うその空気に流石の程立が言葉を喪う。
「ま、まさか二郎さんが……?」
趙雲は苦笑する。
心配をかけたな、と僅かに内省しながら。
「大事ない。呂布も討ち取った」
この凄味。どうしたのだ。
程立は戸惑いを、違和感を。
そして至る。
あった事象に。
「星ちゃん。すぐにお馬さんを準備しますから、なんだか溜め込んだもの、ぶつけてきたらいいと思うのですよ」
その声に超雲は苦笑する。
「ああ、流石は風だ。そう、これは八つ当たりに過ぎんからな。そう、八つ当たりだ。
だから馬はいらんよ。烈風は休ませてくれ。
ちょっと敵陣を撹拌してくる」
「は?星ちゃん?星ちゃん?」
撹乱するならば連携を!と叫ぶ程立を背に。
――天下無双の名を背負う竜が顕現した瞬間であった。
宣言通りに、彼女は戦局を単騎で一変させたのである。
285 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/20(木) 21:52:32.19 ID:2QSBg0pz0
本日ここまです
かんそうとかくだしあー
どんどこやっていきたいところ
最難関は越えたし越えたし越えたし
286 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/20(木) 21:57:50.30 ID:2QSBg0pz0
みんな大好き撹拌です
撹拌ネタは解説いらないですよね?
絶対にやりたいじゃないですか撹拌なんて
287 :
青ペン
[sage saga]:2023/04/20(木) 22:07:23.26 ID:A0c4/3K+o
>>284
連打投稿乙
【星の煌めき、そよぐ風〜龍は天へと登り行く】
とりまこんな感じかね
288 :
青ペン
[sage saga]:2023/04/20(木) 22:09:46.24 ID:A0c4/3K+o
>>283
(実はこっそり呂布の死も暗示しとるんやで…あまり明確には記載したくないけど、書いとかないとなんかしっくり来なくてさ)
289 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/20(木) 22:11:06.93 ID:2QSBg0pz0
>>287
相変わらずのお素敵倶楽部
星の煌めき、素敵やん・・・
ここから加速したい
だってお仕事増えるの確定してたけどここから更に積まれそうだものね
やってやるぜと言いたい
出来れば連休までに完結させてあげたいのよね
290 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/20(木) 22:11:40.09 ID:2QSBg0pz0
>>288
!!!
マジかまじだったわすげえな
291 :
赤ペン
[sage]:2023/04/22(土) 15:27:06.65 ID:WFjRdn1Z0
乙でしたー
>>284
>>纏う空気が違う。にや、と笑う表情は不敵で無敵な趙子龍のそれ。 纏う空気…たたずまい?
>>だが纏うその空気に流石の程立が言葉を喪う。 すぐ上でさしもの程立って言ってるしちょっとくどい感じが
○雰囲気が違う。にや、と笑う表情は不敵で無敵な趙子龍のそれ。 【彼女のそれ】とか【親友のそれ】とか言い換えてもいいかも?
○だが纏う気配に流石の程立も言葉を喪う。 【動】より【静】な気がするから軍師な風には分かりにくそうな気もするけど…二郎の心配してるってことはより静かに沈まってるのか
底抜けか天井知らずでなけりゃ謀殺不可避の存在よな…軍を相手取る個
包囲殲滅しなきゃ(なろうかん
まあ夜は二郎を包囲殲滅しようとして返り討ちにあってそうだが(おっさんかん
292 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/04/24(月) 21:09:34.56 ID:fZPGpmOy0
>>291
赤ペン先生ありがとうございます!
>底抜けか天井知らずでなけりゃ謀殺不可避の存在よな…軍を相手取る個
たった一つの冴えたやり方ってやつですねw
>まあ夜は二郎を包囲殲滅しようとして返り討ちにあってそうだが(おっさんかん
身体能力のスペック的に、かなり二郎ちゃんは不利じゃないでしょうか・・・
百合を導入して消耗させないと保たないような気がします
ヨシ!百合だ!
293 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/01(月) 22:16:23.46 ID:qYo/1kB30
「流石に、固いのですぞ……」
馬防柵に空堀。戦場のそこかしこに仕掛けれた、小細工と言っていいそれらの備え。流石だと陳宮は内心感嘆する。
進軍が思うようにいかないが、それでいいと陳宮は判断する。自分の役目は時間稼ぎ。呂布が敵陣にて紀霊を討ち取るまでの偽装。それが役目。
「恋殿……」
陳宮は確信している。いや、疑う余地はないとまで思っているそれは信仰と言ってもいい。
彼女――万夫不当たる呂布――であれば単身で敵陣に潜入しても目的を果たして帰参できるだろう。その絶対的な信頼がある。本気の呂布はそれほどまでに埒外なのだ。小賢しい戦術なぞ単身塗り替えるその武。まさに地上最強。
彼女が出馬するだけで戦場の空気は凍りつき、敵兵は地を舐めるのだ。
いつだってそうだった。
だからこれからもそうなのだ。
だから、陳宮はやや優勢であった戦況が動いたことは認識してもその原因については理解できない。いや、したくなかったと言うべきか。
轟音が戦場に響く。匈奴の騎兵が次々と中空に舞い上がる。非現実的な光景。だがそれは陳宮にとっては見慣れた光景。ただし、その被害は常に彼女の敵にもたらされていたものだ。
ああ、と思う。呂布と向かい合った敵はこんなにも理不尽に蹴散らされていたのかと。
そして、理解する。きっと呂布はもうこの世にはいないのであろうと。
心が折れる音というのはこういうものか、と陳宮は力なく笑う。
「恋、どの……」
それまで戦局を優位に運んでいた陳宮の指示が途絶え、戦場の音が様相を変える。そう、幾度も味わった負け戦の音だ。陣が崩壊し、連携が崩れる音だ。
常ならば、優しい暖かさに包まれてその場を去っていたのだが。
「あ……」
いつの間にか眼前に迫っていた死の象徴。白い装束を纏った竜の化身。
「成敗!」
陳宮が最後に目にしたのは、透きとおるような蒼天。奇しくも彼女が主と慕う……呂布が目にしたのと同じ光景であった。
294 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/01(月) 22:16:50.47 ID:qYo/1kB30
◆◆◆
やることがないです。
はい、二郎です。
目下、恋にズタズタにされた陣容を再建しようとしてたんですけど、恋ってば本当に身一つで潜入していたようで、軍的には特に損害なかったみたいなんですね。
ぬるっと、大軍の陣構えに潜入して将官だけ首狩りするってやべーですぞ。
いやマジで。
あれだね、今更ながらあの時に一番警戒してた恋単独での夜襲というのはある意味最適解だったね。
いや、それをさせないためにこちらも必死だったんだけどね、割と本気で。
などと虚空を見つめながら置物と化しております。
いや、護衛とついでに――からかうと面白いけど――華琳が戦闘不能になっている現在。
これは俺が無傷でいるのがちょっとだけ後ろめたい感じの思いだってあるという現象。
何もさせてもらえないけどね。
酒精なぞもってのほか。やるなら女を抱けとばかりにあてがわれてもね。流石にそれはない。
まあ、暇つぶしには命絶え絶えで弱っている華琳にご協力いただきました。
命に別状がないとしても、重症というか重傷は間違いなくあってね。
スペックが割と落ちているし、高熱にうかされてからどうせ忘れるだろうしあれこれ楽しく語ったものである。
まあ、いつもの傲然とした感じでない華琳が話しやすかったというのもある。
それとね、献身的に看病的な見舞いをしとけば華琳の部下もそこまで責めてこないんじゃないかなって思ったりもした。
ただ、そのような――。
◆◆◆
「おや、随分と元気そうなご様子。何よりです」
現れたのは稟ちゃんさん独りで、拍子抜けする。
「なんですかその顔は。私では不満ですか?」
なんでも、全員が押し寄せたら混乱するし話は進まないであろうということで稟ちゃんさんが代表で来たそうな。
つまりどういうことだってばよ。
「まあ、文醜殿は大いに異を唱えられてましたがね」
星が抑えてはいますが、とこともなげに言い捨てて此方を見据える。
「さて、今後のことをご相談せねばなりません」
「おう。基本追撃すべしと思うんだが。それにしたって白蓮や蒲公英の動向にもよるしな。
いずれにしろ、あちらさんは一旦襄平に引っ込んで再編するってのが妥当じゃないの?」
そうなるとまた兵力が補充されて厄介極まりないんだがな。
「公孫賛殿、馬岱殿。共にご無事とのこと。公孫賛殿は馬超率いる騎馬兵を打ち破り、馬岱殿は張飛が護衛する補給部隊。その護衛を釣ったあげく物資にも損害を与えたとのこと。
なお、文醜殿、顔良殿は関羽率いる軍を封殺。
有り体に言って、二郎様以外は大勝利です」
「なんと。
なんとなんと」
これは誇らしいですねえ。ってそうじゃなくて。
「なら、蜀軍はやっぱり襄平に引っ込むだろ。まずくね?襄平に充ててた蓮華たちも挟み撃ちにされるし、さ」
一度こっちも体勢を整えないと。
「ああ、そのことでしたらご心配なく。
襄平は孫家によって陥落させられたとの報せがありました」
なん、だと……。
◆◆◆
「交渉、ねぇ……」
襄平を囲む孫家からの使者が来たとの報に黄忠は首をかしげる。
今更何を交渉するというのか。
むしろ、あの程度の兵力で自分が守る襄平を落とせると思っているのか。だが。
「多少の時間稼ぎにはなるかしら……」
金城鉄壁を地で行く黄忠であるが、消耗が少ないにこしたことはない。物資は十分に蓄えているし、兵卒の充当も問題なく、士気も軒昂この上ない。
「まあ、会うだけ会ってみましょうか」
敵将の気性を知るのも貴重な機会だ。寄せ手である孫家の陣容、見極めてやろうと黄忠は決意する。
295 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/01(月) 22:17:23.08 ID:qYo/1kB30
◆◆◆
「無血開城こそが私の望みにして全てよ。
降伏しなさいな、黄忠」
挨拶もそこそこに、孫権から放たれた言葉は黄忠の想定外。
そのように高圧的にくるとは全く思っていなかった。
「あら、降伏する理由はこちらにはないわね。襄平が欲しければ力ずくできなさいな?
ただし、貴方達ごときに落とされるほど甘くはないわよ」
その言を受けて、くすくす、と陸遜が笑う。
「何がおかしいのかしら?」
「いえいえ。流石は皇室の流れを汲む劉表殿に長年仕えられたのだな、と思いまして」
「それで?」
口舌の徒と舌戦なぞしてやらない。交渉においても黄忠は金城鉄壁。
つけ入る隙なぞ見せはしない。
のだが。
「でもですね。思うのです。一体全体、どうしてそんなに一生懸命なのかなー、って」
無邪気に――表面上は、である――小首を傾げる陸遜に黄忠は本能的に警戒を二段階上げる。こいつは、危険だ。と。
「そもそも、貴女はどうして幽州に来てしまったのでしたっけ?」
黄忠は沈黙で応える。先ほどまでとは打って変わって、緊迫した空気がちり、ちりと神経を焼く。
「お嬢さんの教育のため、でしたねぇ。ほんと、可愛らしくも聡明なお子様です……」
くすくす、と笑う陸遜に黄忠は激昂する。
だが、それすら予定調和。
否応なく巻き込まれる。巻き込まれた。
そのことに黄忠は人知れず涙を流すのであった。
296 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/01(月) 22:18:37.32 ID:qYo/1kB30
本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
流石にこの連休での完結は無理ですね
ワンチャンあるかもしれませんが、多分無理ですね
リアルがアレであれなのえす
おやすめ
297 :
赤ペン
[sage]:2023/05/02(火) 14:02:38.71 ID:eGuDVqpp0
乙でしたー
>>293
>>馬防柵に空堀。戦場のそこかしこに仕掛けれた、小細工と言っていいそれらの備え。流石だと陳宮は内心感嘆する。 【仕掛けれた】だと陳宮が仕掛けたように読めるので
○馬防柵に空堀。戦場のそこかしこに仕掛けられた、小細工と言っていいそれらの備え。流石だと陳宮は内心感嘆する。 陳宮側が攻めてる描写からしてもこうですね
>>彼女――万夫不当たる呂布――であれば単身で敵陣に潜入しても目的を果たして帰参できるだろう。 【帰参】だと一度精神的に分かれた(破門とか勘当とか)のが戻ってきたような印象があるので
○彼女――万夫不当たる呂布――であれば単身で敵陣に潜入しても目的を果たして帰還できるだろう。 もしくは【生還】とか【帰投】とかどうでしょう…軍としてはこれかな?
>>陳宮が最後に目にしたのは、透きとおるような蒼天。 間違いではないです
○陳宮が最期に目にしたのは、透きとおるような蒼天。 好みの問題に近いですね
>>294
>>まあ、暇つぶしには命絶え絶えで弱っている華琳にご協力いただきました。 心臓止まったりしてそう
○まあ、暇つぶしには息も絶え絶えで弱っている華琳にご協力いただきました。 慣用句としてはこれですね
>>スペックが割と落ちているし、高熱にうかされてからどうせ忘れるだろうしあれこれ楽しく語ったものである。 接続詞に違和感が
○スペックが割と落ちているし、高熱にうかされてるからどうせ忘れるだろうしあれこれ楽しく語ったものである。 もしくは【高熱に浮かされたから】かな?
>>有り体に言って、二郎様以外は大勝利です」 護衛の娘たちにも流れ矢がいくからやめーやwww
将と兵の力量で圧倒して、相性で翻弄して、将の数で負けない戦いをして…隙が無い戦いするね、唯一の勝ち目も竜で潰したし
そして黄忠は産地チェックに成功するのか!?(配点、裏平
298 :
青ペン
[sage saga]:2023/05/02(火) 15:03:17.99 ID:arZfakX2o
>>296
乙い乙い
さてと…。
【襄平戦線異常あり〜潮露に濡れる桔梗】としとくか
299 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/15(月) 19:38:50.90 ID:+mgD/ox/0
「何を!何を言うのよ!」
「あらー、そんなに取り乱すことはないと思うのですがねー」
くすり、と笑って懐から取り出したのは黄色い髪留め。
ピン、と弾いて回転させる。
「それは。それは!」
見間違えようもない。
愛娘のお気に入りの髪留めである。
「ええ、とっても素直ないいお子さんだと思いますよ?」
その、挑発的な声に黄忠は却って冷静になる。むしろ苦しいのは相手でないか?
その思考を遮り、陸遜は微笑む。
「ああ、確かに貴女の家人たちはしっかりしていたようですね。
ですが、いいえ。だからこそご息女を喜んで預けてくれました」
くすくす、と。
陸遜は心底おかしげに、楽しげに微笑む。
「……何を言うのよ」
そうですね、と陸遜は笑みを深める。
「徐庶さん、でしたっけか。
あの方の知り合い、と言ったら是非もなく引き渡してくれましたよ」
300 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/15(月) 19:40:43.90 ID:+mgD/ox/0
ぎり、と歯を食いしばり黄忠は陸遜を睨みつける。
「この……!
卑怯者!娘は関係ないでしょう!」
「笑止千万、とはこのことですねぇ。
貴女は何を言っているのですか?私たちはこれから殺しあうのでしょう?
だったら何をすれば敵将の心を折れるか、とかは当たり前の布石です」
「……なるほどね」
ハッタリであろうと断じようとする。
だが、その黄忠に孫権が口を開く。
「言っておくけどね。うちの子は優秀よ?
厳戒態勢にある後宮に馳せ参じて玉体を守護するくらいには穏行も、武も、ね」
そう。周泰は警戒が厳しい禁裏に単身踏込み、玉体を守りきったのだからして。
その実績は嘘偽りないものである。
虚実混ぜる陸遜の言を見極めようとしていた黄忠。だからこそ、真実しか話さない孫権の言葉に項垂(うなだ)れる。
「さて、問うわ。正統なる漢朝に降るや否や。
と言っても貴方達には言葉が届かないかもね。
だからもっと卑近な例で問いましょう。
女としての貴女、武将としての貴女、そして母としての貴女。
一体、どの貴女が決断するのかしらね」
くすり、と孫権は笑う。
「母としての貴女、武将としての貴女に言っておくわ。今貴女が抱えている苦しみ。無辜の民を死地に追いやることを理解しているのでしょう?
だって、貴女はとっても理性的だものね」
黙り込む黄忠に優しく孫権は微笑む。
「荊州に帰ってきなさいな。孫家は貴女を将として抱える準備があるわ」
当然、娘の助命もしてあげる。
住み慣れた荊州。そして動乱に巻き込まれた幽州。どちらで娘と共に生を歩むのかしら、と。
「じ、時間を……」
苦しげに口に出したのは時間稼ぎ。或いは逃避の一言。
「いいわよ。明日の払暁まで待ってあげる」
くすくす、と笑う孫権に場が支配されている。
その事実に歯噛みしながらも黄忠は。
そして、襄平は日の出を合図に無血開城するのであった。
攻めるは心。そして戦わずにして勝つ。
孫子の兵法の、つまりは真髄であった。
301 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/15(月) 19:43:21.90 ID:+mgD/ox/0
本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
いやあ、孫家を敵に回すって、ヤバいですわよ
※当初のラスボス枠でございました。
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/05/16(火) 00:14:22.85 ID:O/qKvAVvo
乙したー
さっすが当代の政治100&孫子ぱうあーやでぇ
娘を人質にとられちゃあ降伏もやむなしですな
タイトル案は「孫子曰く、」で
303 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/16(火) 05:41:16.53 ID:l68RjYHN0
>>302
どもです!
汚い流石孫家汚いと罵詈雑言が来ると思っておりました
実際卑怯ですが勝てばよかろうなのだ
>タイトル案は「孫子曰く、」で
これは本当に言ってるやつですからこれでよかろうかもしれません
ありがとうございます!
304 :
赤ペン
[sage]:2023/05/16(火) 10:27:09.40 ID:p4QMt4Sy0
乙でしたー
>>300
>>ハッタリであろうと断じようとする。 【あろうと断じよう】だとあやふやな感じが
○ハッタリだと断じようとする。 もしくは【ハッタリであろうと断じる。】?でもこれだと黄忠の心が強くてちょっと違うか
>>そう。周泰は警戒が厳しい禁裏に単身踏込み、玉体を守りきったのだからして。 【踏み込み】だと力強い気がします、警察の確保―!みたいな?
○そう。周泰は警戒が厳しい禁裏に単身潜り込み、玉体を守りきったのだからして。 警備の隙を縫って潜入してるしこちらの方が良さげ
>>「荊州に帰ってきなさいな。孫家は貴女を将として抱える準備があるわ」 お荷物みたい…間違ってないけど
○「荊州に帰ってきなさいな。孫家は貴女を将として迎える準備があるわ」 勧誘してるしこの方が良さげ
>>住み慣れた荊州。そして動乱に巻き込まれた幽州。どちらで娘と共に生を歩むのかしら、と。 幽州で生きる道があるんですか?
○住み慣れた荊州。それとも動乱に巻き込まれた幽州。どちらで娘と共に生を歩むのかしら、と。 というか幽州選んだ場合娘は生きていられるのかしら
人質取って将を寝返らせるのはよくあることでは?
罵詈雑言浴びせるなら騙して悪いがして親子の感動の対面()して笑いながら親子仲良く天国に送ってあげるくらいしないと(2度裏切った以上仕方ないね)
305 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/16(火) 19:28:23.19 ID:l68RjYHN0
>>304
赤ペン先生ありがとうございます!
>人質取って将を寝返らせるのはよくあることでは?
その通りwではありますねぇ
ただ、恋姫無双ではあまり見ないかな?
>罵詈雑言浴びせるなら騙して悪いがして親子の感動の対面()して笑いながら親子仲良く天国に送ってあげるくらいしないと(2度裏切った以上仕方ないね)
ヒェ
まあ、孫策なら普通にやるなと思ったりしました
断金コンビならばやらない理由はないし、実際孫権陸遜ラインはかなり穏当ですね
306 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/16(火) 19:33:55.65 ID:l68RjYHN0
まー余所様と比較してもしゃあないですしね
新機軸とか考えていなくて、自分が読みたい恋姫を突き詰めているので
ただ、星ちゃん最強は余所では見かけないなって
もちろん紀霊主人公は前提ですけども
頑張りまーす
307 :
青ペン
[sage saga]:2023/05/19(金) 03:23:11.26 ID:gOIffsZRo
>>301
うーん、そうねぇ
智才切り裂く鬼子母神〜母闘うは誰が為〜
とでも。
308 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/29(月) 21:36:54.49 ID:8jMCmvSB0
火を、灯す。
黎明にはまだ遠い。
未明の闇の中で覚醒する。
伸びをひとつ。
全身の疲労、そして損傷がないことを確認し、笑みを浮かべる。
貼り付けるにはまだ早い。
「よいしょっと」
整える。身体を整える。心は既に整っている。
伸ばす、縮める、可動を確かめる。全身で夜気を吸い、ゆっくりと放出する。
その息は、熱く、厚く。
内なる熱気を細く長く、吐く。
整える。
身支度。或いは儀式。
そして整えていく。馬良という存在に自身を染めていく。
確認していく。没入していく。
白粉で顔を覆い、分厚い眼鏡を手に取る。
そして仕上げは眉を白く染めること。
そうして馬良という人格は覚醒するのだ。
完成するのだ。
諜報員の上位者、統括者にとって諜報員の技術そのものは必須ではない。
だが、張勲はその技術についても卓越していた。
体術こそ弟に一歩譲るが、それこそ余技である。
つまり、やはり彼女は張家の最高傑作であった。
309 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/29(月) 21:39:37.64 ID:8jMCmvSB0
◆◆◆
草、という存在がある。
世代をまたいでの諜報。
馬良という存在はその一つ。
実在する存在になりかわることこそが成功の秘訣である。
だからこそ、成功は約束されていて、成功している。
張家の張り巡らした糸は、かように根深いのだ。
鏡の前で笑みを一つ。
そして、整える。
人格を更に整える。
白眉。名家たる馬家。そこで最も優れたる馬良としての人格を整える。
これよりは蜀の能吏にて忠臣。引っ込み思案で完璧主義者。
「そんな存在に私はなりたい」
その願望までが捏造。全てが捏造、借り物。
だからこそ、張勲はより深く人格を宿す。
馬良という人格を演じるのではない。
投影するのだ。
◆◆◆
「どうぞ」
黎明。執務室にて意識を断っていた諸葛亮。
書類によだれの跡が見える。なんと尊いことか。
慌てる彼女に馬良が差し出したのは火酒である。
馬良は信じて疑わない。起き抜けにはこれが一番だと。
「ささ、ぐぐーっとやってくださいませ。
眠気を払うにはこれが一番ですよ。
政務は、案件は待ってくれませんものね」
にこやかに杯に火酒を注ぐ。
「でもまあ、ちょっと口当たりがよくないですものね。
でもご安心ください!
これをこうして、こうすれば、どんどんいけますよ!」
そう言って柑橘の果汁を注ぐ。
にこやかに差し出す。
「どうぞ!」
よかれと思って。
310 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/29(月) 21:40:41.29 ID:8jMCmvSB0
◆◆◆
ぷはぁ、と吐息を一つ。
熱い吐息を続けて漏らして諸葛亮は続けて喉を炎に晒す。
その炎が意識を覚醒させてくれるのだ。
なるほど、火酒とはよく言ったものだ。その炎の明るさは日の光と同等に覚醒を助長してくれるのだ。
そして、柑橘の爽やかな香り。これは確かに段違いに飲みやすい。
馬良は流石だと思いつつ諸葛亮は目の前の書類に取りかかる。
意識を切り替える。蜀の丞相としての自覚。それは誰に言われるものでもない。
ごく自然なものである。
うずたかく積まれた書類に取りかかる。
半分は未決済書類。半分は書式の整っていない書類の修正確認。
これも馬良が身を尽くして整えてくれたものだ。
蜀は立ち上げて間もない未熟な組織である。
当然、官僚組織についても既存のものを流用するしかなかった。
多くの官僚は出奔したものの、その一部は残ってくれたのだ。
これは大きかった。
これこそ劉備の人徳、いやさ大徳の証明など思ったものだが。
だがしかし、その品質においては千差万別。もっと言えば質的には貧弱と言っていいだろう。
それを支えていたのは諸葛亮その人であると言っても過言でもない。
彼女は驚異的な処理能力を万全に発揮し、ありとあらゆる書類を最善な形で処理していたのだ。
流石に蜀という国家を運営するにあたっては、全てに目を通すことはできていなかったのだが。
ここにきて、それを整えてくれる存在がいる。いるのだ。
「おかわりですか?どうぞ」
苦笑し冷水を煽る。
甘い、果実の味わいと香りに癒やされる。
意識が広がる。指先まで、過不足なく動くのを感じる。
気力が満ちていく。
「お疲れであればお休みされた方がよいのでは」
そんな言葉。それすらも心地よく響く。
だが、それでも。
「そうもいきません。
ご承知の通り、劉家の戦況を支えるのは私達の献身なのですから」
311 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/29(月) 21:41:25.11 ID:8jMCmvSB0
◆◆◆
勇ましい宣言。
諸葛亮は流石と言うべきだろう。
日が傾く前に積まれた案件を全て処理していたのだ。
そしてそこからは馬良の時間である。
諸葛亮の指示を確認し関係各部署に伝達し即時の対応を迫る。
書面での不備は幾度でも糺(ただ)し、書式を美しく保つことも忘れない。
後で閲覧する人に対して、監査する者に対して、一切を明らかにするためである。
そう言われれば、そしてその言の論者が馬良ならば反論の余地はない。
かくして、蜀の内務は美しくその書式を整えており、
その一切を読み解くことが容易となっていた。
激務に入れ替わる官僚が問題なく対処するその体制。
質・量ともに貧弱であった蜀という体制を存続させたのは
諸葛亮という卓越した行政官と、それを支えた馬良の存在が大きいであろう。
◆◆◆
「いけません、ここの書式は揃えてください。
続いて、この表現は前段の表現と並んで諸葛亮様の推奨に置き換えて下さい。
ここ、誤字が酷い。貴方の書類は複数の担当に確認させて下さい。
勿論確認した責任者は書類に印を押すこと。
ああ、この書式は丁寧で素晴らしいですね。再現性も容易ですし。
君、この書式を明日からの書類に水平展開して。
十日程度を猶予期間として、この書式でない書類は差し戻しにするから。
ええ?諸葛亮様の裁可?
これからいただくけど、それが何か?
君は過去にしか興味が無いのだね、禍根でしかないね。
今蜀は新しい時代に向けて皆頑張っているんだよ君は何を立ち止まっているの?
もっと頑張って、熱くなって。
他人事じゃないだよ。他人事と思っているでしょ君は。
だってそうじゃないと合点がいかないじゃない。
そうじゃないならなにかで示してよ。
君が頑張っているって信じたいけど今君は何をしているの。
君は何をやっているの、君は何ができるの。
そう、提案がない理想がない知性がない品性がない速度もない何もない。
せめて形式だけは整えて、お願いだから」
馬良は能吏である。
きちんとした書類をきちんとした書式で運用させることに成功したのだからして。
だからこそ、後世においての評価が揺るぎないのである。
その評価。
ただ、「能吏」とだけ。
312 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/29(月) 21:42:02.24 ID:8jMCmvSB0
本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
いやほんと欲しい欲しい欲しいヨシ!
寝る
313 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/29(月) 21:43:33.71 ID:8jMCmvSB0
重曹ちゃんメインヒロインでやりたい現代物ヒーローものやりたい
くそう私に身体があと10個くらいあればなんかええ感じで色々できるのに
314 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/29(月) 21:54:49.05 ID:8jMCmvSB0
それはそれとして、お盆までには完結させたい。
やりとげたい。
始末をつけたい。
そんな感じです。
いえ、ご不満とかあるとは思いますけんども。
それでも反応ある限りやりますやります。
逆に観測なくなればその時はそういうことなんでしょう。
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/05/29(月) 23:52:03.14 ID:N2l8zYux0
なんで書き溜めないのかな?
書き溜めないでスレ立てする時の心情ってどーなってるの?
普通に友達関係や上下関係作ってる人で人間関係の最低常識が解ってる
人ならこんな非常識な事を出来無い筈なんだがな?
一応は読物で素人の発表場所で読み手をイライラさせるって
なに考えてるの?
確かに俺はお前に金銭を渡してる訳じゃない
お前もプロ意識なんてある訳じゃないと思う
でも、書き手と読み手が居たらそれは一つの作品なんだよ
これはお前の作品であり可愛い子供なんだよ
それをネットで流して俺みたいな奴からダメ出し受けて
悔しくないのか?
なんでその場凌ぎの子供を世間に晒すんだ?
ちゃんと考えて書き溜めしてからスレ立てして
恥ずかしくないお前の子供を世の中に送れよ
お前の意識の問題だぞ
316 :
青ペン
[sage saga]:2023/05/30(火) 04:50:53.10 ID:wjOQ2ABzo
>>312
最近は先に案出されてたからなぁ
『仕組みに染み込む蜘蛛の毒』
とでも。
317 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/30(火) 15:01:43.51 ID:pQt8bhj60
>>316
最近は本当に、リライトのね、書きたいとこでしたのでごめんねって
題名含めて年単位で練ってたやつなんですよ許してくれめんす
嘘です大体その場のノリです
>『仕組みに染み込む蜘蛛の毒』
いい!
だが何か足りず何か多い感があります
このお話は本当に七乃さんに幾度もダメ出し食らったので
できたらリテイクお願いしたいです
素材としては「白眉」「絡新婦」「埋伏」「ブラック企業」「仕込み」
このあたりのどれかがあったら嬉しいです
なお一ノ瀬案
「ドキッ!
白眉と持て囃される名家出身の秀才が私の職場に来たら、あらゆる書面をチェックしだして重箱の隅をつつく感じでうっとおしい!
でも言ってることは正しいし、反論したら10倍やること増えてぴえんだよう。
なお諸葛亮様はなんか満足しているようだから私の職場の労働環境がマジでやばい
畜生あの白粉ブス、死ねばいいのに。
と思っても言えない私の未来はどっちだ」
みたいな感じになります
318 :
赤ペン
[sage]:2023/05/30(火) 17:07:46.28 ID:baRAuvId0
乙でしたー
>>310
>>これこそ劉備の人徳、いやさ大徳の証明など思ったものだが。 本当に大徳があるならもっとやりようがあっただろうに
○これこそ劉備の人徳、いやさ大徳の証明などと思ったものだが。 もしくは【大徳の証明だなと思った】とかどうでしょう
>>311
>>他人事じゃないだよ。他人事と思っているでしょ君は。 何か某凡人の知識の中にある人物がいくつかインストールされてるような?
○他人事じゃないんだよ。他人事と思っているでしょ君は。 それとも上で【興味が無いのだね】って言ってるから【他人事じゃないのだよ。】の方が良いかな?
なん・・・だと・・・?今明かされる衝撃の真実!楽しかったぜエお前との同僚ごっこぉwwwwwwとなるのか?いや、闇に葬られて誰も知らずに胸の内か
ところで美羽様の守護は大丈夫なんだろうか…本当の意味で張勲が美羽様を預ける相手として信頼できるのは…と思ったけど如南大返しの時に取り立てた人もいるか
朝もはよから迎え酒して仕事…お体に障りますよ(サメ顔感
書き溜め無しでスレ立てスンナはせめて1スレ目で言う事なんよ…むしろ読み手が金銭渡してるプロなら書き溜めしてるなんて言うナイーブな考えは捨てろ
319 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/05/30(火) 20:54:07.02 ID:pQt8bhj60
>>318
赤ペン先生ありがとうございます!
やったぜ
>なん・・・だと・・・?今明かされる衝撃の真実!楽しかったぜエお前との同僚ごっこぉwwwwwwとなるのか?いや、闇に葬られて誰も知らずに胸の内か
どの口がどの口がどの口が!
はやってみたいシチュエーションではありますね
>ところで美羽様の守護は大丈夫なんだろうか…本当の意味で張勲が美羽様を預ける相手として
>信頼できるのは…と思ったけど如南大返しの時に取り立てた人もいるか
基本的に大丈夫なお立場なんですけども、七乃さんがそれを容認するかというとね
つまり、それだけ覚悟ガンギマリで今生のベストを尽くす感じであれこれ
風ちゃんが煽ったんだろうなって
頑張るぞいっと
320 :
青ペン
[sage saga]:2023/05/30(火) 23:43:06.79 ID:wjOQ2ABzo
>>317
リテイク了解なりよ
【闇の職場の絡新婦〜白眉が仕込むは甘美な毒】
321 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/06/06(火) 22:15:50.03 ID:JZ+/Gopd0
●一度これと決めたら主にはとことん尽くしますっ!敵からの勧誘なんて一蹴なのです!
●主が迷いなく己の道を突き進めるように道を整えておくのがNo.2のお仕事ですっ!
●主が一番でないと駄目なのです!そうです夢はでっかく!
●どんな逆境にも挫けず挑みかかります!泣きません、勝つまでは!
●中華の大半を敵に回しても、袁家のような数は暴力がモットーな敵を相手にしても手痛いダメージを与えるほどの軍の運営、補給はお任せくださいっ!そうです私は優秀なのですっ!
●先々まで見通して、後々のこともちゃんと考案しております!ご安心ください、何も心配はいらないのです。
●嫌なことも苦しいことも汚いことも知らないまま笑っていてくださればよいのです。全てこの私にお任せを。主の笑顔こそが私の幸せですっ!
ロリ軍師って素晴らしいですね
これは国宝ものですよ実際
なんとなくの備忘録
いやあ、諸葛亮様って健気でかわいいですわよね
完結も近い。。。
お盆であちら完結が現実的かな
322 :
赤ペン
[sage]:2023/06/07(水) 08:46:19.32 ID:q8YnJo980
劉備のことは主として認めてないのか…むしろ自分が上と認識してるのか
主(一刀)が一番、自分がNo2
323 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/06/26(月) 21:46:35.61 ID:w7bT4XqC0
「襄平が落ちた、だと……?」
何かの聞き間違いだろうと関羽は再度問いただす。だが、もたらされる応えは変わらず。
「馬鹿な!紫苑は歴戦の名将だぞ!それがなんで……!いや、言っても仕方がないな。
朱里を呼べ……いや、こちらから行く。朱里はどこだ!」
関羽は舌打ちをする。既に蜀陣営にて軍師――というか事務全般を取り仕切ることができるのは諸葛亮くらいとなっている。関羽も幾らかは手伝おうとするが到底及ぶところではない。書式や言い回し、いつの間にか洗練されたそれについていけていないのだ。
即物的な意味でも鳳統、そして陳宮の死というのは蜀陣営にとってこれ以上ない痛手であった。
「朱里、襄平が落ちたそうだ。どうする」
その言葉を発してから関羽はそれを後悔する。問い詰める諸葛亮は頬が痩せこけていて、傍目から見て分かるほどに憔悴している。
この様子、尋常ではない。
「そうですか……」
諸葛亮は関羽の問いに、あっけないほどに平淡な口調で応じる。そこに動揺の欠片もなく、思考の海に沈みこんでいく。
「朱里……?」
問うても応えはない。
見れば、意識を混濁させているような瞬間、煽るのは火酒。それにより辛うじて意識を保っているようなものだ。
流石にこの惨状が、どうしようもないというのは関羽にだって分かるのだ。一言で言えば。
「詰んだ」
という現状。兵站は機能せず。
軍を維持する食糧こそ、付近の義倉や村落から用立てているが、いかんせんじり貧というやつである。
324 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/06/26(月) 21:47:04.94 ID:w7bT4XqC0
◆◆◆
「愛紗、ここにいたのか」
「あ、ご主人様……」
「襄平が落ちたって?」
そう。だから兵を充足することもままならないのだ。
帰る拠点すら失い、彷徨(さすら)うのが蜀軍の現状である。
「申し訳ありません。雛里ちゃん、恋さん、陳宮さんを喪ってなお目的を達せられておりません」
後一歩。いや、半歩及ばなかったと諸葛亮は歯噛みする。そう、あと半歩あれば。紀霊さえ討てば、と。
「もうさ、いいよ、朱里。そんなに頑張らなくてもいい」
「ご主人様……?」
「桃香の言ってたこと。大事にしよう。みんなが笑って暮らせるように、って。
それはここじゃなくてもいいと思うんだ」
「と、仰いますと……?」
「うん、ここで言う天の国。それか蓬莱。そこに行かないか?
国ってやつはさ、人がいないと成り立たない。国は人がいないと成り立たない。でも、人は必ずしも国を必要としない。
だから、皆が笑って暮らせる世界。それを天の国で実現しないか?」
「…はい。ご主人様の仰(おっしゃ)る通りです。その通りににいたしましょう。
お任せください。万事滞りなく勤めて見せます……」
満足そうに頷く北郷一刀。そしてその命に従う諸葛亮。そして関羽は何故か双眸から溢れる涙。
「朱里、朱里。それでは身が持たないだろう。少し、休め……」
くすり、と諸葛亮が微笑む。かつてふっくらとしていた頬は痩せこけ、双眸はそれでも鋭く光を放つ。
「いえ、ご主人様がそう決めたのです。それは果たされなければなりません」
どうして、こうなったのだろう。関羽はそう、思う。
皆が笑って暮らせる、そのために頑張ってきたのに。そのために頑張ったのに。
「ばーーっかじゃねえの?」
そんなお気楽な声が脳内に響く。うるさい、黙れとばかりに関羽は内心で吠える。それすら今の蜀軍では禁忌。ぎり、と歯を食いしばる。
「どうしろというのだ。どうしたらよかったというのだ。
何ができる。何をすればいいのだ。どうしたって、もう……」
手遅れではないか。
そして、関羽はその言葉を口にすることができなかったのである。
「天の国、だって……?」
失意の帰陣。その馬超を待ち受けていたのは思いもよらぬ報せであった。
馬超としては、だ。
彼女――馬超――は負けた。負けたのだ。騎兵を率いて白馬義従に負けたという事実を認めている。更に中華でも屈指の軍師――鳳雛――を随伴して、だ。
どこか緩いところのある蜀。それを引き締める意味でも一罰百戒。どのような沙汰でも受けようと思っていたのだ。それが、思いもよらぬ展開である。
「ちょっと、待ってくれ。一刀、流石になにがなんだか分からない。
いや、それよりだ。あたしは二郎を討ち取るどころか、雛理をも死なせてしまったんだ。
その沙汰はどうなる」
信賞必罰、武家においては欠かせないものだ。これまでの馬超の言動もそれは全て戦場での勝利があったからこそのものであったのだ。
「雛里については、とても残念だった。本当に悲しい。
でもさ、翠が駄目だったならば、誰であっても駄目だったんじゃないかな。
いや、もっとひどいことになってたかもしれないよな?」
それはそうだ。騎兵の扱いについては今でも中華で一番であるという自覚と自負が馬超にはある。
だが、だが、である。
「それでも、私は負けた。負けたんだ。
いけない。いけないよ、一刀。
私は行けない。いけないよ。
あたしにその資格はないし、やっぱりね。そんなに、捨てられないよ。
父上が身を挺して守ろうとしたもの。それが何だったのか。
それはまだ分からないけど、きっとここにあるんだと思う。
だから、行けない。あたしは、父上は。
父上は自由に生きろって言ってくれた。言ってくれたけど。
だけど、ううん。だからこそ、かな」
325 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/06/26(月) 21:47:35.36 ID:w7bT4XqC0
行けない。
この、中華から去ることはできない。
「ごめんな。でも。やっぱり、できないよ。あたしは……」
悄然と馬超は呟く。闊達な常とは違って、それでも、いやだとばかりにかぶりを振る。
そんな中、それでも。
くしゃり、と撫でられる感触に馬超は暫し耽溺してしまう。
「翠がそう決めたんだったら、仕方ないさ。寂しいけど、さ。
でも、翠が言う、行く末ってやつ。きっと大変だと俺は思う。
だからさ、だから、な。
いつでも歓迎するよ翠のこと。
逃げる、ってさ。そんなに悪いことじゃないと思うよ。
生きていればこそ、だと俺は思うよ」
「一刀……!」
ごめん、と。否、やっぱり一緒に行く!と。様々な思いが駆け抜ける。
そこでの決め手は思いかけず。
「なんだ。翠はだらしないのだ。鈴々はお兄ちゃんと、もちろん、お姉ちゃんと愛紗。
みんなと一緒にいくのだ」
無垢なる言説。張飛の言葉に馬超は身を引き裂かれるような決断を下す。
「ごめん、一刀。あたしは、やっぱり。
一緒に、いけない」
「いいさ。翠の選択だもの。
誰も咎めはしないよ」
「あ、あ。
一刀……」
そのやり取りに諸葛亮は、ほう、と息を吐く。
これでいい、これでいいのだと。これが最善なのだと。
北郷一刀、そして劉備の両名さえ存命ならば、どうとでもなると。
そして再び書類の山と向かい合う。
如何に主たちを逃すか。そして逆襲するか。それらは諸葛亮の脳髄に既にある。
「足掻いて、みせます。いえ、そうじゃないです。
ええ。やり遂げてみせませす」
北上して匈奴の支配域から東を目指すもよし、真っ直ぐに東進するもよし。
主導権はこちらにあるのだからして。
迫る袁家軍。その進軍速度すら諸葛亮にとっては手の内なのだ。このままでは追いつかれてしまうだろうが、進軍するその道いっぱいに民がいればどうか?
まさかに、民草を蹴散らしはしないだろう。そうなれば暴動だ。まともな進軍なぞできなくなる。
窮地に追い込まれて尚、諸葛亮は三日月模様に口元を歪める。
けして、自らの主には見せられない表情だなあという思いと、それを窘めてくれたであろう友人を思って。偲んで。
そして、彼女が自分を訪ねるのも想定内。どうやら今回は、とことんそりが合わなかったのだが、これまでその関係が破綻しなかったのは率いる主のおかげなのであろう。
そう思いながら喉に液体を流し込む。
揺蕩っていた思考を炎にまとめて、向き合う。
「すまんな、多忙という言葉では足りないくらいほどに忙しいことは理解しているのだが」
だったら来るな、とは思っても言えない。劉備の股肱にして親友。その存在を軽んじることは出来ない。ただ、今は時間が惜しい。そう思っていたのだが。
関羽からもたらされたのは思いもよらぬ提案。
「殿(しんがり)、私が受け持つ」
民草を守る。魔王紀霊の追撃から守る。
その言に諸葛亮はしばし…、目を細めて考え込むのであった。
326 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/06/26(月) 21:48:26.49 ID:w7bT4XqC0
本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
なんとかお盆までに献血じゃない完結したいですわよね
327 :
赤ペン
[sage]:2023/06/27(火) 12:48:58.59 ID:O8bA/ZO50
乙でしたー
>>324
>>「…はい。ご主人様の仰(おっしゃ)る通りです。その通りににいたしましょう。 【致しましょう】を漢字にした方が分かりやすいかな?
○「……はい。ご主人様の仰(おっしゃ)る通りです。その通りにいたしましょう。 そこで悪い奴(紀霊)に騙されてる多くの人たちを見捨てて【皆】が笑って〜とか言うのは笑い話にもならないんだわ…なんか言えよ飲んだくれ
>>お任せください。万事滞りなく勤めて見せます……」 【勤めて】にかかってる補助動詞なので
○お任せください。万事滞りなく勤めてみせます……」 の方が良いと思います【勤めてみます】の変形と見ればわかりやすいかな?
>>そして、関羽はその言葉を口にすることができなかったのである。 この間に場面転換があるような気がするんですが、同じ場所で話してるんですかね?
「天の国、だって……?」
○そして、関羽はその言葉を口にすることができなかったのである。 一刀と一緒に入ってきてこの話をしてるなら直す必要はないですが
◆◆◆ 失意の帰陣して沙汰を下すような謁見の場じゃなくて参謀室みたいな所に来るかしら
「天の国、だって……?」
>>騎兵を率いて白馬義従に負けたという事実を認めている。更に中華でも屈指の軍師――鳳雛――を随伴して、だ。 【更に】のかかり先が分かりづらいかな
○騎兵を率いて、更に中華でも屈指の軍師――鳳雛――を随伴した上で白馬義従に負けたという事実を認めている。 もしくは
○騎兵を率いて白馬義従に負けたという事実を認めている。それも中華でも屈指の軍師――鳳雛――を随伴して、だ。 倒置法的にこっちの方が負けた事実が強く出るかな?
>>それはそうだ。騎兵の扱いについては今でも中華で一番であるという自覚と自負が馬超にはある。 お前負けた事実を認めているはどこ行った…軍師が雑魚だったから負けて自分だけなら勝ってたとか言う気か?
○それはそうだ。騎兵の扱いについては今でも中華で屈指であるという自覚と自負が馬超にはある。 張遼とかいるし…というのは置いといても明確に格付け済んだ奴いるんだからそこは自覚しろ
>>「それでも、私は負けた。負けたんだ。 頭は揃えた方が読みやすいかな
いけない。いけないよ、一刀。
私は行けない。いけないよ。
あたしにその資格はないし、やっぱりね。そんなに、捨てられないよ。
父上が身を挺して守ろうとしたもの。それが何だったのか。
それはまだ分からないけど、きっとここにあるんだと思う。
だから、行けない。あたしは、父上は。
父上は自由に生きろって言ってくれた。言ってくれたけど。
だけど、ううん。だからこそ、かな」
○「それでも、私は負けた。負けたんだ。
いけない。いけないよ、一刀。
私は行けない。行けないよ。 ここは漢字で統一した方が良さそう
あたしにその資格はないし、やっぱりね。そんなに、捨てられないよ。
父上が身を挺して守ろうとしたもの。それが何だったのか。
それはまだ分からないけど、きっとここにあるんだと思う。
だから、行けない。あたしは、父上は。
父上は自由に生きろって言ってくれた。言ってくれたけど。
だけど、ううん。だからこそ、かな」
>>325
>>「翠がそう決めたんだったら、仕方ないさ。寂しいけど、さ。 悩んだ末に決めたことは結局後悔する!だから、今楽な方を選びなさい!
でも、翠が言う、行く末ってやつ。きっと大変だと俺は思う。
だからさ、だから、な。
いつでも歓迎するよ翠のこと。
逃げる、ってさ。そんなに悪いことじゃないと思うよ。
生きていればこそ、だと俺は思うよ」
○「翠がそう決めたんだったら、仕方ないさ。寂しいけど、さ。 嫌なことからは逃げればいい、逃げるのは負けじゃない!逃げるが勝ちと言うのだから!
でも、翠が言う、行く末ってやつ。きっと大変だと俺は思う。
だからさ、だから、な。
いつでも歓迎するよ翠のこと。
逃げる、ってさ。そんなに悪いことじゃないと思うよ。
生きていればこそ、だと俺は思うよ」
>> ええ。やり遂げてみせませす」 酒の飲み過ぎで呂律回ってないぜえw
○ ええ。やり遂げてみせます」 脳髄に火酒がだいぶ回ってらっしゃる
>>窮地に追い込まれて尚、諸葛亮は三日月模様に口元を歪める。 模様って言うと何か違和感が
○窮地に追い込まれて尚、諸葛亮は三日月の様に口元を歪める。 もしくは【三日月の形に】とかどうでしょう
>>「すまんな、多忙という言葉では足りないくらいほどに忙しいことは理解しているのだが」 【くらいほど】は片方で良さそうかな
○「すまんな、多忙という言葉では足りないほどに忙しいことは理解しているのだが」 そういや桃色髪のあの娘は何してるんだろうか…一般兵の慰撫(傾世元禳)に忙しいのかな
民草が略奪されるならまだしも追撃される?妙だな
国を興しといて滅亡の危機になるや国なんて必要ない!とかやべーよ
お前らが蜀とか言い出さずに公孫?の下で皆が幸せになるよう努力してればこんなことにならなかったんやぞ
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/06/27(火) 13:09:51.66 ID:q1SLZeNbO
乙したー
コイツ本当に現代から来た一般人か???
精神構造おかしいよ・・・・・・
329 :
赤ペン
[sage]:2023/06/27(火) 15:23:38.92 ID:O8bA/ZO50
きっと現代では2ちゃんでレスパしたり、回転寿司で醤油さし舐めたりしてたんだよ(適当
330 :
赤ペン
[sage]:2023/06/28(水) 12:43:53.62 ID:swvCOeBU0
蜀の国民はやればできる!できる子たちなのだから、うまくいかなくてもそれはあなたのせいじゃない!上手くいかないのは袁家が悪い! を入れるの忘れてた
未来に笑ってるか分からないから今だけでも笑おう!は…劉備なら言いそうか?
331 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/06/28(水) 20:38:40.55 ID:+a/EAW1f0
>>327
赤ペン先生ありがとうございます!
>なんか言えよ飲んだくれ
草
>ここは漢字で統一した方が良さそう
ここはあえて統一してないやつです
>お前らが蜀とか言い出さずに公孫賛の下で皆が幸せになるよう努力してればこんなことにならなかったんやぞ
それはそう。
でもそうはならなかったし多分できなかったし何千何万回やってもそうはならないんだろうなと思います。
>>328
>コイツ本当に現代から来た一般人か?
戦場に出たことなく、童貞なのです。
>>330
>蜀の国民はやればできる!できる子たちなのだから、うまくいかなくてもそれはあなたのせいじゃない!上手くいかないのは袁家が悪い!
うーんこの水の女神教徒感w
そこまではっちゃけれたら、色々とまた変わってきたと思います
>未来に笑ってるか分からないから今だけでも笑おう!は…劉備なら言いそうか?
そんな、未来に不安をもたらすようなことは、言わないんじゃないかなって思います
頑張る
332 :
赤ペン
[sage]:2023/06/29(木) 11:17:20.23 ID:yAqzr1Z70
じゃあ逆に
>>「それでも、私は負けた。負けたんだ。 ここを
いけない。いけないよ、一刀。
○「それでも、私は負けた。負けたんだ。 に変えてみるか?どうだろう
いけない。行けないよ、一刀。
アクシズのあれって明日どうなってるか分からないから今を全力で楽しもう!みたいな…宵越しの銭は持たねえ的な教義じゃないかな
今日後回しにした辛いことは明日の私が何とかしてくれるでしょう…という全力でだめな人の考え方の可能性?それはそう
333 :
青ペン
[sage saga]:2023/06/30(金) 02:10:58.33 ID:YhnUOKqBo
>>326
めちゃくちゃ難しいな、今回のサブタイ…。
カクゴと、覚悟
〜敗けで気づくものと対話で気づくこと〜
かなぁ…。
334 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/07/17(月) 19:58:46.09 ID:deQqUpEU0
三者三様
20時からやりますやります
335 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/07/17(月) 20:01:37.05 ID:deQqUpEU0
「二郎殿はこれより先、進むに及ばず。お疲れであろう、御身の養生をのみお考えください」
「は?」
稟ちゃんさんから放たれた言葉。それに俺は言葉を失う。何言ってんの?、と。
「呂布の単騎特攻。邪道と言って貶めるのは容易いですが、その有効性は確定的に明らかなもの。
蜀なぞと標榜する武装集団。そこには未だ関羽、張飛、馬超という傑出した武人がおります。そして蜀勢が狙うのは二郎殿の首ひとつでありましょう。
既に逆賊の狙いは明らか。洛陽にて療養していただくのがよいと愚考いたします。
なに、華佗殿も洛陽に向かわれていますし……」
「まて。
ちょっと待って」
「ああ、身辺の警護については典韋殿、李典殿、陳蘭殿を充てます」
不足ですか?と首を傾げてくれる。
無論。
「気に食わないな。これは俺の喧嘩だ。俺の戦争だ。
ここで引けとかありえんだろうが」
そして、いっそ冷たいばかりの視線を。
「感傷、という奴ですか。
相手の勝利条件は二郎殿の首級。であればそれを避けるのは必然。
お気に召さずとも聞いていただきますとも」
淡々とした言葉、だが俺の神経を逆撫でるそれにしみじみと思う。
なんか、ありがたいなあ、と。諫言、有難し。
だが、それはそれ、これはこれである。
「風、蜀勢の動きについて現状報告!」
「はい〜。その軍勢を集結させ東へ向かっていますね。襄平は既に孫家によって落とされていますからねぇ〜。
なお、近隣の村落を扇動し、引き連れている模様ですね〜。
既に数千の民が同行。ほどなく数万に膨れ上がるかと〜」
どこぞの笛吹き男かよ!
まあ、それも想定内である。つまり。
「民の歩みの遅さ、その分厚さに追撃が困難ということだろう?」
ぴく、と稟ちゃんさんの鉄面皮が揺らぐのを見て。笑う。
「民を肉の壁となしての逃亡。厄介この上ないだろう?
追撃するならば民を馬蹄の犠牲にせんといかんだろうさ。
そして、その汚名を背負うのは俺の仕事だ。
そう、その通り。そして自称天の御使いたる北郷一刀を。蜀なぞという幻想に生きる蒙昧どもを教育してやろうじゃないか。そうさ、つまり」
――魔王からは逃げられないのさ。
336 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/07/17(月) 20:02:05.40 ID:deQqUpEU0
◆◆◆
「征夷大将軍たる俺の決定だ。
異論は認めない。各員の奮闘に期待する」
ニヤリ、と笑い紀霊は指をぱちり、と打ち鳴らす。その合図に典韋は付き従う。見送るのは軍師二人。
「風!どうして貴女は二郎殿を止めなかったのですか!」
ふわりとした笑みを浮かべて程立は応える。
「これはしたり。ですねえ。当然のこと。二郎さんがそれを望んだから。
或いは望まなかったからですが〜」
くすくす、と程立は柔らかく笑う。
「やはり、分かっていたのですね」
「勿論です〜。風は二郎さんの軍師ですからして〜」
くふふと笑みを漏らす程立に郭嘉はぎろ、と視線を強める。
「分かっているでしょう。的を狙う英傑には関羽、張飛、馬超と一騎当千が揃っています」
「だからこそ、ですよ。二郎さんを後ろへ下げる。そこに集中的にそのお三方が殺到したらどうしようもないですよ」
ですから、と笑う。
「もっと言えばね、一番安全なのは星ちゃんの傍ですよ。
保証します。既に階梯が違いますよ、今の星ちゃんはね……。
まさに、絶対無敵、国士無双というやつなのですよ……」
わが身の智謀、搾りだした謀略なぞ児戯の如く薙ぎ払うであろう。
戦術なぞ、趙雲一人で事足りてしまうのだ。
目の前で見た程立はそう確信している。
「そのへんにしてもらいたいものだな。
我が軍の誇る軍師たちが言い争うなぞ、ぞっとせんよ」
ゆら、と身を揺らして趙雲が笑う。
「今から、戦後について語るとは随分余裕だな?」
趙雲は手にした愛槍龍牙を軽く振るう。風を切り裂くその音響。そして音量、音色。
超一流の武人が奏でる、猛々しい舞曲。
「……これは星ちゃんに一本とられたのですよ〜。
……ですが、戦略戦術において如何に激論を交わし、譲らぬことがあっても、です。
目指す方向は同じですし、別に友誼に影響があるわけでもありません。単に、目的地に赴く。その道程の違いだけなのですし。
ね?稟ちゃん」
くふふ、とほくそ笑む程立。その様子に超雲はやれやれとばかりに。
「なんだ。風と稟がいつになく険悪だから、と思ったが余計なことだったか」
こういうのは、向いていないのかな、と首を傾げる趙雲に郭嘉は憮然とする。
「星にまでそのようなことを言われるとは心外の極みですね。一体私はどういう風に思われているのか一度聞いておきたいくらいに」
ニヤリ、と趙雲が応える。
「無論。鬼算の戦術家、神謀の戦略家だとも。だからこそ悔しいな。
風が言ったがな。如何に関羽、張飛、馬超がいようとも最早主に毛ほどの傷もつけさせんよ。
そして、彼奴(きゃつ)ら……。
ズタズタにしてやるぞ……!」
刹那、獰猛な笑みを漏らす趙雲から吹き出す、圧倒的な覇気。殺意の波動とでも言うべき禍々しい奔流に郭嘉は言葉を失い、程立はくふふ、と笑う。
「どっちにしてもです。蜀軍がどこに逃亡するのか。それを見極めないといけません。
どうせ稟ちゃんも星ちゃんも。
無論私もですが、此度の不首尾、責任を負うつもりなのでしょう?
で、あれば功績を被せる方は近くにいた方がいいのではないですか?
流石にここから二郎さんを洛陽に帰参させた上で完勝して、それを二郎さんの手柄にするのは苦しいでしょうし」
くふふ、と程立は笑う。
まずは勝つ。それは三者の合意。
そしてその功績は主の物である。
くふふ、と。ニヤリ、と。そして無表情に。
三者三様に必勝を期す。今度は、今回こそは完膚なきまでに叩き潰す、と。
337 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/07/17(月) 20:03:41.70 ID:deQqUpEU0
というわけで以上です!
本日ここまですー
感想とかくだしあー
今回の題名は
「三者三様」
かなって
勿論鋭い題名は大歓迎ですよ→誰か
なんとかお盆までには完結したいですわよね
338 :
赤ペン
[sage]:2023/07/20(木) 18:07:00.49 ID:q5wYUbnR0
乙でしたー
>>335
>>お疲れであろう、御身の養生をのみお考えください」 凛ちゃんさんってこういう子だったっけ?
○お疲れでしょう、御身の養生をのみお考えください」 【であろう】って上から目線というか、一応上司相手だし、こうかなって思う
>>その有効性は確定的に明らかなもの。 破壊力バツ牛んだったよな
○その有効性は明らかなもの。 あるいは【その有効性は無視できるものではありません】とかどうでしょう
>>336
>>ゆら、と身を揺らして趙雲が笑う。 上で【見送るのは軍師二人】って言ってるしこれ入ってきたんですよね?
○するりと、当然のようにそこにいた趙雲が笑う。 それとも一緒にいたけど黙して語らずだったのかしら
○ゆら、と立ち上がり趙雲が笑う。 二郎が襲われてなければメンマ片手に酒飲んでそう
>>「今から、戦後について語るとは随分余裕だな?」 えっと…行間で終わったらどうやって可愛がられるかとか子供は何人欲しいとか話してたの?
○そうしてどう勝つか、の段に来ているのだと話している所に割って入る こんな感じの一文を入れた方が良いと思います。
○「今から、戦後について語るとは随分余裕だな?」 (どう勝つか≒勝った後の名声やら土地やら人やらを考えてる感じで)
>>「無論。鬼算の戦術家、神謀の戦略家だとも。だからこそ悔しいな。 謀神とかは聞くけど神の謀りと聞くとろくでもなさそう(ギリシャ感
○「無論。神算の戦術家、鬼謀の戦略家だとも。だからこそ悔しいな。 神算鬼謀(しんさんきぼう)というしこの方が良いと思います
二郎を安全圏に引っ込めようと説得する理論武装の時に滅茶苦茶早口で喋ってそう…立て板に水とはこのことかってぐらい
命の危機だったし生存本能刺激されてそうな二郎…典韋と二人っきりでどこへ行ったのかは知らぬ
魔王は悪名全部被ってフェードアウトするつもりか、勇者もいないし姫様が攫われても仕方ないね。って来るぞ
339 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/07/24(月) 20:52:32.04 ID:hcIxN0TV0
>>338
赤ペン先生ありがとうございます!
> 破壊力バツ牛んだったよな
ぎゃあ
>二郎を安全圏に引っ込めようと説得する理論武装の時に滅茶苦茶早口で喋ってそう…立て板に水とはこのことかってぐらい
それをご理解いただけるというのは本当にありがたいことなんだなって
>命の危機だったし生存本能刺激されてそうな二郎…典韋と二人っきりでどこへ行ったのかは知らぬ
なおこれは想定外
知らんw
>魔王は悪名全部被ってフェードアウトするつもりか、勇者もいないし姫様が攫われても仕方ないね。って来るぞ
これはアリ路線ですね次世代的に考えて
なお魔王にははおーがおっっちんしそうなんですがそれは
※はおーはいつでも覇王にクラスチェンジできます
340 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/07/25(火) 20:28:26.16 ID:gQuqb1my0
天神祭、今年は涼しくて最高やん・・・
341 :
青ペン
[sage saga]:2023/07/31(月) 06:01:18.22 ID:maqD02Eko
>>337
ほむほむ
【鬼算神謀天下無双〜想う道筋は違えど終着地はひとつ〜】
かな。
ちょいと長いが…。
342 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/10(木) 21:22:25.75 ID:mNy5Y1D80
お盆でやりとげたい・・・
が、正直過去イチボロボロなのよね
いやまあ、頑張りまーす
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/08/11(金) 06:03:30.94 ID:/RgnKfesO
普段書き込まないけど見てる人間はいるから
ガンガレ
壊れない程度に超ガンガレ(無責任)
344 :
赤ペン
[sage]:2023/08/11(金) 10:04:10.19 ID:TvFM0u1k0
頑張れって言うけど既に頑張ってるんだよ!という人もいるけど
頑張れって言う人と言わない人だったらいう人の方が善人じゃないかと思う今日この頃
言わない後方理解者面より言う無責任…理想は言う理解者だろうけど
345 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/11(金) 14:51:14.70 ID:Y1pxDFPw0
ウッス頑張りますココカラッス
346 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/11(金) 20:55:19.47 ID:Y1pxDFPw0
愚痴とか見苦しいとこすんませんした
やります
結果だけでやりますやります
347 :
青ペン
[sage saga]:2023/08/12(土) 06:04:31.97 ID:pjKTkfWuo
>>346
牛歩でもエエのよ
最終的に完結まで持ち込むことが出来れば(語弊はあるけど)作者の勝ちやねん
たとえどんな評価になろうとも、完結させたという事実は重いのよ
348 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 15:41:13.64 ID:x8Kt1Aqa0
昏い。
暗い執務室に墨をする音が響く。かつては丹精込めて自らしていたそれを、それをすら。
諸葛亮は他人に譲るほど、時というものを惜しんでいた。
傍らで一心不乱に墨をするのは馬良。眼鏡と覆面で覆い、表情は見受けられない。
ただ、墨をする。
ごくり。
諸葛亮が煽るそれは火酒。
柑橘を浮かべたそれを煽り、瞬間の活力を得る。
訪れる眠気は陰気。それは火酒の陽気により振り払われる。
煌々として、諸葛亮はその命を燃やしているのだ。
349 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 15:43:21.05 ID:x8Kt1Aqa0
◆◆◆
日輪の蔭りを見上げ、諸葛亮は再び手元の書類に目を落とす。
目は落ちくぼみ、頬はこけ、唇は潤いを失っている。幾日眠っていないか、それを考えるリソースすらが惜しい。
東へ。ひたすら東へ。どうせ民が主君を追うのだ。転進したルートは隠しようもない。であれば少しでも速度の稼げる漢朝内――皮肉なことにその街道を整えたのは紀霊である――をひたすらに。
頭痛が激しい。それは幸いである。意識が覚醒するから。食欲がない。それは幸いである。目の前の書類に専念できるから。
そうして、諸葛亮は数日のうちに蜀軍とそれに付き従う民の目指すルートを選定し、その道程を導き、必要な物資を算定し供給計画を策定してのけた。伏竜の面目躍如というレベルではない。
「朱里ちゃん、大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。私は正常に機能していますから……」
既に限界を超えてなお諸葛亮は最適解を弾き出そうとする。それを北郷一刀は抱きしめる。
「もういい、休め。朱里……。
休んでくれ……!」
その言葉に諸葛亮は素直に、弱弱しく頷く。
「はい。流石の私も少し、すこしだけ。
すこしだけ、たぶん疲れてしまいました」
はわわ……と付け加えて、諸葛亮はよろよろと起き上る。歩こうとしてごろり、と転がってしたたかに頭をぶつける。
なに、どうということもない。内なる頭痛が外からも、もたらされただけだからして。
そう思い立ち上がろうとするも上手く四肢が動かない。なるほど、筋肉が劣化したか、と思う間もなく。
「はわわ……」
北郷一刀は諸葛亮の華奢な身体を抱き上げて宿に向かう。辛うじてとれたその寝台に諸葛亮を寝かせて、苦笑する。
「まあ。少し朱里は頑張り過ぎてたからな。ちょっとここで休んでくれよ」
「はい。一応ご主人様たちの行程表については策定しましたので、それを参照して頂ければと思います。それで、大丈夫ですから。
私も、少し休んだら追いかけますが、先を急いで下さい。ご主人様たちが進まねば道は拓けません」
乾いた声で諸葛亮は言の葉を連ねる。
幾つも湧き出る。いつもの策を、その奔流を止められない。
もっと、もっと高みへと。研ぎ澄まされた思考。動かない肉体。
その齟齬に戸惑いながらも、ひとまずは横になる。
もっと、もっとできるのに、と思いながら。
◆◆◆
「分かった。じゃ、朱里。天の国で待ってるからな」
そう言って北郷一刀は横になった諸葛亮をきゅ、と抱きしめる。その抱擁。その温かさに諸葛亮は熱いものが双眸に込み上げるのを感じる。
ぎゅ、と閉じた瞼から漏れるそれを見せぬために布団にもぐりこむ。眠いのだ、と言わんばかりに。
その様子を見て北郷一刀は苦笑を一つ漏らし、その場を後にする。
その、温かい気配が消えうせてから諸葛亮は嗚咽を漏らす。肺腑から、魂魄を吐き出すように。
そして、急速に四肢が弛緩し、五感が遠ざかるのを感じ、誰とはなしに微笑む。
傍らには馬良のぬくもりがいて。あって。
「わたし、頑張ったよね……」
「ええ、これ以上はないくらいに」
その声に諸葛亮は安堵する。
「きちんと書類は無謬にて運用しました。貴女には一厘の間違いも残されません。
ええ、残された書類に誤字脱字一文字すらないことは確かですとも。
きちんと、間違いなぞ残していませんとも」
慈母の笑み。
毒婦の笑み。
そして満足する。やりとげたと。
それでも至らない。
間違いのない組織。その恐ろしさ。
無謬という状態の不健全さに。
そうして、諸葛亮は満たされ、やりきったという意識。
幸せなままに意識を手放した。
絡新婦に抱きしめられて。
そうして、二度と目覚めることはなかったのである。
350 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 15:44:03.89 ID:x8Kt1Aqa0
本日ここまですー
かんそうとかくだしあー
お盆のうちにいけるとこまえでいきたい案件でうs
351 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 15:45:32.40 ID:x8Kt1Aqa0
七乃さんがやっべーのよ
352 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 15:58:16.35 ID:x8Kt1Aqa0
多分風ちゃんと七乃さんが一番すき
優遇はしないけどね
後は割と関羽が好き
頑張る人が好きなのです
353 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 21:56:42.34 ID:x8Kt1Aqa0
今日もやるぜ。
色々やるのよ。
354 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 22:18:56.63 ID:x8Kt1Aqa0
風が砂塵を舞い上げる。踊るように四方に飛び散るその様は何故か郷愁を掻きたてる。とはいえ、前に進むと決めたのは俺だ。俺なのだ。
白蓮も蒲公英もなんか鬼気迫る表情で自ら斥候として駆け回っている。個人的には民がぞろぞろと進む先に彼奴らはいると思うのだがね。
これには稟ちゃんさんと風も同意はしてくれた。だが、それを目くらましにして逃亡を図るという可能性もあるとのことだ。まあ、流石に自分らを勧誘した奴が行方をくらましたら暴動か逃散だと思うのだけどね。
「もうすぐ、最後尾に追いつきます。どうするのです?本気で民を蹴散らすのですか?」
「荒地やら森を進むわけにもいかん。できるだけ陣を細くして進むしかないだろう。気は進まんがな。」
なんという桶狭間フラグ。言っててまあ。どんより、である。
いや実際、灌木やら草木生い茂るとこを進むわけにもいかん。何より物資を運ぶ馬車が通れんわ。メインストリートの整備はしたが、流石に迂回路とか!
「まあ、常識的に考えて二郎殿を狙うならば好機ですね。
ですが今回は星をお傍に置けます。ねえ、星?」
「無論。幾千幾万の軍勢来ようとも鎧袖一触。主に毛ほどの傷もつけさせんともよ」
キャーセイサーン!素敵!抱いて!
「まあ、星が傍にあるならば千人力さね」
頼りにしてるよ、と笑う前に報せが。
「ほう……?」
流民の最後尾にあった関羽がその道程の河川。その橋梁の上で仁王立ちしているという報せである。
そして、淡々と数を頼りに押しつぶしてしまおうという稟ちゃんさんの献策に俺は苦笑する。
「そりゃあ、恋ほどじゃないけども関羽も一騎当千というやつさ。無駄な血は流したくない。
ここは、俺が出る」
「これは……。寝言は寝ているからこそ許されるというものです。いいから貴方はひっこんでてください」
おいおい、そりゃあ、あんまりな物言いだろうよ。
「別に丸腰で行くわけじゃない。星、いけるか?」
「無論」
……不敵で無敵。天下無双たる星が傍らにあるのだ。そうだな。もう、なにもこわくない。
355 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 22:19:22.04 ID:x8Kt1Aqa0
◆◆◆
「じゃあ、行こうか」
と言って現場に来たのだが、これはすごい。マジか。マジだった。
「おお、ほんとに単騎で踏ん張っているのだな」
関羽である。青竜偃月刀を構え、腰に差しているのは七星刀かな?
そして天下無双たる星は容赦なく、関羽に言の葉の連撃を浴びせかける。
早い、早いよ星ちゃん!いいぞもっとやれ!
「おお、愛紗。そのように単身立つのはみっともないな。いや、兵卒に見限られたというのであればそれはそれでいいのだが。
にしても、夜鷹のように単身殿方を誘うのは如何なものと思うぞ。
仕える主筋の品位というものが、知れるからな」
ニヤリ、と挑発する星の言葉にも関羽は、その程度の挑発では身じろぎ一つしない。
黙然というやつである。
「この身は、ご主人様の武威の顕現。押し通るならば言葉は不要。千が万の軍勢であっても退けてくれよう」
そして星は歩みを止めない。
「ほお、面白い。言ったな。吐いた唾、後悔させてくれよう。
思えば愛紗よ。武においてどちらが勝るか、結論はお預けだったな」
ゆらり、と星から気炎が昇るのを感じ。
「やめんか」
「む、主よ、なにをするか」
ぽこん、と星の形のいい臀部に軽く一撃を加えて俺は関羽に向かい合う。
「よお、久しぶりだな、関羽よ。息災そうで何より」
その言葉に関羽はくしゃり、と表情を歪める。決壊する。
「貴方は、貴方がいたから!貴方のせいで!」
フン、とばかりに関羽のそんな惰弱を切り捨てようじゃないか。
追いつめられた顔の彼女、狙い撃ちである。
「あぁ?お前のせいだろうが。お前が劉備を甘やかした。見過ごした。そうだろう?
更には北郷一刀だ。天の御使いと名乗る匹夫さ!
厄介ごとを持ち込みやがって!」
反論しようとした関羽を見て猪々子が叫ぶ。
「ふざけんな!ふざけんなよ!お前らが何をしたか!何をしたか分かってるのかよ!
アタイにだって分かる。お前らは余計なことしかしてない!
アニキがどれだけ頑張ってたか!それを台無しにして!あんとき、刺し違えても前に進むべきだったて後悔してるよ!」
今にも飛び出そうとする猪々子の背をぽん、と叩いて落ち着かせる。どうどう。
「で、だ。何か言いたいことはあったりするのかな?」
「……。
ここは通行止めです。他を当たってください」
その物言いにカチン、とくる。
いや、これで最善を尽くそうとしているのだろうけどさ。
「あ?なんつった?聞こえないな」
「ここは通行止めだ、と言ったのです」
ざわ、と殺気が立ち昇る。ニヤリ、と笑う星から。ハァ?と獰猛にその身を臨戦な猪々子から。くすり、と笑う斗詩から。無言の流琉から。
「まあ、そう言うなよ、どうせ分かっているだろう?抵抗は無意味さ。
何せ、お前が守っている橋、それ無意味だからね」
「な、なにを言うのですか!
その手には乗りませんよ!」
まーね、普通だったらそうなんだけどね。
「関羽よ、君が幾日そこで粘れると想定しているか知らないが・・・。
こちらには母流龍九商会という存在がいてね。
申し訳ないが、数時間もあればお前の横に橋を架けることができるのだよ」
今すぐにでも作業にかからせろという視線は割と、俺でも無視できんくらいの圧力なのよ?
356 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/08/14(月) 22:21:56.22 ID:x8Kt1Aqa0
◆◆◆
「あのな。もっぺん言うぞ。健気だと思うがね。
身を挺しての通せんぼだけどな、それ無駄だし」
「まあ、そこでどんだけ頑張るつもりかね。一刻か、それ以上か?
言っとくが、一刻もあればうちの技術部はお前さんの横に橋をかけてしまうぞ?」
ちょっとさばを読んだかもしらんが真桜ならば一晩といわず一刻で浮橋くらいは楽勝だろうさ。多分きっとおそらくメイビー。
そして、動揺する関羽に一番聞きたかったことを聞く。
「で、だ。天の御使いは再起を期すのかね?叩き潰すのも面倒くさいのだけんども」
「――ご主人様は、天の国に旅立たれた。最早中華に興味は持たれていない」
――その言葉が聞きたかった。
「ふむ。じゃあ、関羽よ、なぜそこにいる?もう、北郷一刀は逃がしたのだろうよ、天の国へと。
どうしてそこにいるのかな?」
くしゃり、と秀麗な顔をしかめて関羽は黙り込む、口を開く。
「どうして……。どうして貴方はいるのですか!どうして、こんなにも貴方は私の心をかき乱す!
貴方さえいなければ、きっと。きっとご主人様の描く、皆が笑える世が!」
ほう。
なるほどね。
じゃあ聞こうか。
「皆、って誰さ」
その、俺の問いに関羽は黙り込む。下を向く。
「関羽よ。お前は何を守りたいのだ?ご主人様たちか?それとも無辜の民か?」
「そ、れは……。民だ。無辜の民を守りたいからこそ私たちは――」
苦しいところだよね。分かるよ。だが容赦せん。
「は、笑えるよな。その理想でどれだけの民が死んだか!理想を抱えてどれだけの民を溺死させたのか!戦に駆り出し、無駄死にさせ、寡婦と孤児を幾人作った!」
黙り込む関羽。俺は畳み掛ける。
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