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真・恋姫夢想【凡将伝Re】5
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267 :
一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.
[saga]:2023/03/27(月) 21:14:24.75 ID:MvAKtx4F0
◆◆◆
とどめをさすか、本命を刺すか。
呂布は逡巡し、本命を選ぶ。
「私を無視するとは、いい度胸ね」
虚勢である。
曹操はそれでも胸を張る。
痩身、矮躯と後世に伝わるが、現時点での曹操の戦闘力は純粋に紀霊を上回るほどのものである。
剛柔併せ持ち、まずは達人と言っていいほどの腕前。それもで鎧袖一触とはこのこと。
数合打ち合うわけですらなく腹を蹴られて失神する。
「やれやれ、困ったものだな。
恋よ、まさかお前とこうなるとはね」
苦笑気味に紀霊は呟く。
「大丈夫、二郎。痛くしないから。
安心して」
そうじゃねえんだよなあ、と紀霊は苦笑する。
「だがまあ、ただでやられるわけにもいかねえしな、とは言えだ。
恋よ、お前は大丈夫か?おなか減ってないか?
干し肉とか味気ないだろう、なんなら鍋で美味しいとこ作ってやるぞ?」
緊張なぞない仕草で紀霊は手元の鍋に火をおこす。
カチ、カチと火打ち石が火花を散らし、それは来(きた)る。
◆◆◆
凪いだ戦場に、ちり、と焦りを覚える。
程立はどちらかと言えば謀士寄りの軍師である。
それを紀霊に重用されているのであるが、いざ戦場となれば経験不足は否めない。
それを互角以上に保てているのはひとえに紀家軍の分厚い陣容である。
もっと言えば、程立の用兵はいわば適材適所。必要な場所に必要な兵力を配置するというものである。
机上の空論ともなりそうな彼女の用兵を支えていたのは紀家の分厚い陣容である。
もっと言えば中級指揮官の充実であった。
紀家軍、その中核はかつて梁剛という女傑が築いたもの。それを拡充した韓浩と雷薄。
だからこそ、紀家軍は強い。強くある。
対して、陳宮の用兵は単純である。
いかにして勝つか、そして呂布の不在を隠すか、である。
本来戦場の経験では数段上である陳宮の用兵、それはこのたびだけは程立に読まれていた。
戦場に翻る呂の旗、それが五つ。
「つまり星ちゃん、流琉ちゃん、二郎さん以下略に分けてこちらの戦力を分散したいということですね。
つまりここで一番重要なのは・・・」
「分かった、私は行くぞ、行くとも」
物見台から身を翻し趙雲は愛馬に跨がる。
「行くぞ烈風、今こそ危急存亡の秋(とき)というやつだ」
委細承知、烈風は無言で疾風怒濤。
そして間に合うのだ。間に合ったのだ。決定的な瞬間に。
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