真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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254 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2023/02/09(木) 20:22:09.95 ID:X6hTzre10
◆◆◆

「――なんだ。恋は軍を率いない方が強いんだ」

だから陳宮は素直に頷く。その声に。その、定義する前提に。
陳宮は実際この男は好かない。だが、そんなのは些事だ。

「そして、ねねは恋がいなかったら、もっと色々できるんじゃないのか?」

「悔しいですが、恋殿は単騎で最強なのですぞ」

自分についてはどうなのか、陳宮にも分からない。判断なんてできない。自分は呂布の傍にいるだけの、それだけの。それでよかったのに。
そう、それだけで、よかったのに。

そしてその表情を見て北郷一刀は諸葛亮に何事かを囁く。

「なあ、恋が単独で最強。だったな」

「当たり前なのですぞ」

「だったら、そうしよう。それならば勝てるだろう?」

「――そう、ですね……」

呂布は単騎にて最強。それは確定的に明らかなことである。

「ですが、それを相手に気づかれたらよくありませんね。
 反董卓連合に於いて、足止めを食らいました。ですから、陳宮さん。貴女には恋さんが率いている如く、無敵の騎馬軍を率いてもらわないといけません。
 恋さんがいなくても、無敵の騎馬軍。できますでしょうか?」

諸葛亮の言葉。それに応じたのはなぜだったのだろうか。そう、陳宮は思う。託されたのは北郷一刀の小細工一つと匈奴兵。
だが。

「一つだけ。恋さんが陣頭にいないというのが知られたらそれで仕掛けは崩壊します。
 恋さんがいない。それを不自然に感じさせない仕掛け、それだけは貴女のお仕事です……」

諸葛亮の声に陳宮は思索の海に沈む。

「恋殿は地上最強なのですぞ。そしてそれを補佐できるのは、この、ねね、だけなのですぞ……」

牙門旗。それで釣ろう、それは実は天の御使いの示唆である。威信、栄光、どうだっていいという彼の思考。勝てばいいのだ、と。

◆◆◆

程立はどちらかと言えば謀士寄りである。むしろ本領は謀士であるだろう。
そして、その用兵は敵陣形を太極から見下ろして手持ちの戦力を配置するというもの。当意即妙な、或いは変幻自在な用兵の妙は持ち合わせていないし、戦場に赴いた数も少ない。
だが、それを埋めるのは紀家の中級指揮官たち。歴戦の彼ら。中華でも屈指の戦歴は伊達ではない。戦場の理不尽、それを受け止めるのはいつだって現場の、最前線の彼らなのだ。
つまり、現場の尽力でこの戦局は支えられているのである。
――本来ならば趙雲が実戦指揮官として辣腕を振るい、補完するはずであった。或いは雷薄、韓浩のような古参の武将がいれば話は違っていたろう。
曹操や郭嘉、或いは陸遜のように戦略と戦術双方にて輝くことのできる存在が本来はありえないのである。
 だからこそ、彼女が戦場においては馬岱という存在を切り札にしていた。
 しかしこの場に彼女はいない。
 そして、決断の時が迫る。
 眠たげな表情はいつものこと。そして、くすり、と笑む。

 想定通りですね、と。
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