真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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277 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2023/04/17(月) 20:32:56.52 ID:I1dnye540
◆◆◆

コォォォォ、と音響を立てて趙雲は息を吐く。
それは後世、息吹と呼称されるもの。
呼気を落ち着かせ、改めて呂布と向かい合う。

畏れは、ない。昂ぶりも、ない。
ただ、十全なのを自覚する。
明鏡止水(ゾーン)。
落ちる水の一滴すら明瞭に見えるそのままに歩を進める。

そして無造作に尽きだした一撃が呂布の腹を貫く。

「無拍子、というやつだ。ふむ。辿り着いてみれば、どうということはないものだな」

あらゆる予備動作、気の動きすら遮断して。無造作に襲うその一撃は武の極み。
相手の動向を捉え超反応する呂布にはいかにも相性が悪い。いや、致命的と言っていいだろう。
だが、それでも。

「ご主人様……」

急速に抜けていく力。流れ出す血流。だが、あと二撃奉天画戟を振るえばそれで済む。
ぐい、と腹に食い込む三尖刀を掴む。

「ぬ?」

「捕まえた……」

そして、容赦なく奉天画戟を趙雲に振るう。これで一撃。そしてもう一撃を紀霊に振るえばそれでいいと。
だがそうはならなかった。

「ふぅ……。硬気功がなかったら危なかったな……」

呂布の渾身の一撃を趙雲は防ぐ。こともあろうに素手で!
それでも武器さえ与えなければ趙雲とて徒手空拳。どうとでもなる。
だが。そうはならなかった。

「四十八の殺人技の一つ、地獄突き」

喉を趙雲の手刀が貫く。そしてその苦痛に思考回路が追い付かない。
同じく無拍子で放たれた一撃を呂布は防ぐどころか反応することが出来ない。

「ご……ほ!」

いかなる鍛錬でも克服できない。故に、急所と言う。

「裏、四十八手――菩薩掌」

ぱぁん、と音が響き、ぐらりと世界が揺れる。呂布は知らない。それが鼓膜が破れる音だと、感覚だと。脳が揺れ、世界が歪む。
五感の鋭さで世界に君臨した呂布がその寄る辺を喪い、途方にくれる逡巡。

「そして、十二の禁じ手が一つ。
――裸締め」

いわゆる、スリーパーホールド。呂布の後ろに回り込み、その首を締め上げて――。

ごきり、と鈍い音が響く。

「あ――」

呂布が、最期にその眼に見たのは、透きとおるような蒼天であった。
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