星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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28: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:00:54.85 ID:Sev9O2YP0
ふらふらと、一人歩いた彼女は公園にたどり着いた。
ちらりと中を覗いたが誰もいない。
彼女は足を踏み入れ、ベンチに腰を下ろした。
ベンチは木陰になっていたが、それでもとてつもなく暑い。
むしろ木のそばにいる事で、蝉の鳴き声がいっそう近くで鼓膜を震わせた。
以下略 AAS



29: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:02:58.88 ID:Sev9O2YP0
「やあ、『星輝子』」

ゆっくりと輝子の隣まで歩くと、彼女の顔を覗き込んだ。
輝子は横を見ない。見れない。
暑くて、怠くて、顔を動かせない。
以下略 AAS



30: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:04:42.05 ID:Sev9O2YP0
「お前は、トモダチを捨てたんだ」

輝子を嘲り、見下す『それ』から目を離す事ができない。

「最近のプレイリスト、J-POPで埋まってるじゃないか。最後にメタルを聴いたのはいつだ?」
以下略 AAS



31: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:05:31.79 ID:Sev9O2YP0
「そうだよな。こんな気持ち悪い趣味があるって知られたらドン引かれちまうもんな」

「だから、必死に趣味から距離を置いてたんだよな。自分にとってどうでもいいものになって欲しかったんだよな」

「可哀想になあ。せっかくお前みたいな奴と仲良くしてやってるのに、当の本人が全く心を開いてないんだから」
以下略 AAS



32: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:06:25.42 ID:Sev9O2YP0
彼女は夢を見た。
ドロドロと、気持ち悪いものが自分の脚にまとわりついていた。
不安には思ったが無視してそのまま歩き続けていると、それはどんどん自分の体を登ってきた。
胴を這い、腕を固め、首を伝う。そしてとうとう頭まで完全に覆いつくした。
動けない。息ができない。じたばたと芋虫のように必死にもがき、口を大きく開こうとするが意味はない。
以下略 AAS



33: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:07:30.59 ID:Sev9O2YP0
そこで、彼女は目覚めた。頭に響く鈍痛とともに、意識を取り戻した。
最初に視界に映ったのは白い天井だった。
首を動かして横を見ると、白いカーテンがあった。
ぼーっとした思考で状況を整理し、今自分がいる場所が病院である事に気付いた瞬間、
一人の男が自分の元に駆け寄ってきた。
以下略 AAS



34: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:08:38.42 ID:Sev9O2YP0
『分かるか?その優しい親友とやらも匙を投げるほどの社会不適合者なんだよ、お前は』
『誰からも好かれない。会う人全員に嫌われる。永遠に独りだ』

彼の顔を見ると、ガチガチと歯が震えた。
恐い。寒い。辛い。誰か、助け……
以下略 AAS



35: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:10:37.89 ID:Sev9O2YP0
戻っていったナースを見送り、プロデューサーは輝子に話しかける。

「親切な人が倒れた輝子を見て救急車を呼んでくれたみたいでな。
輝子の鞄に入ってた俺の名刺を見て、俺に連絡を入れてくれたんだ」

以下略 AAS



36: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:11:49.39 ID:Sev9O2YP0
「輝子」

プロデューサーは呼び掛けると、彼女はまたビクンと小さく跳ねた。

「一つ、思い付きがあるんだ。お前の力がいる」
以下略 AAS



37: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:13:44.30 ID:Sev9O2YP0
結局彼女は当日で退院し、自宅に帰る事が出来た。
彼女は家のベッドに座っている。夜中だというのに、明かりも点けずに真っ暗な部屋で膝を抱えている。
辛い、辛い、辛い、辛い、辛い。
顔から血の気が引いているのが分かる。
唇の感覚がなく、漠然とした絶望感が頭の中に充満している。
以下略 AAS



38: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:15:23.24 ID:Sev9O2YP0
アイドルは……楽しかった。
自分のメタルは、ファンの皆を楽しくさせられた。
そう思っていた。
楽しかった。
楽し、かった。
以下略 AAS



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