星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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31: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:05:31.79 ID:Sev9O2YP0
「そうだよな。こんな気持ち悪い趣味があるって知られたらドン引かれちまうもんな」

「だから、必死に趣味から距離を置いてたんだよな。自分にとってどうでもいいものになって欲しかったんだよな」

「可哀想になあ。せっかくお前みたいな奴と仲良くしてやってるのに、当の本人が全く心を開いてないんだから」

陽炎の声が脳に焼け付くように頭に響く。
耳を貸さないように、他の事に意識を向けようとした。
陽炎から目を逸らし、最初に思い出したのは地獄のような暑さだった。
気温は留まる事を知らず、更に暑くなっているようだ。
知らないうちに体から流れ落ちた汗は、地面に小さな水溜まりを作っている。
頭がジンジンと痛む。その上視界もぼやけているようだ。
次に気付いたのは鼓膜を破るような蝉の鳴き声だった。
その拷問のような騒音は、彼女に残った僅かな余裕を欠片も残さず砕いていく。
耳を塞ごうとしたが、腕が石のように動かなかった。
力を込め、とてつもなく重い腕を持ち上げ、頭を下げ、耳を塞ぐ。
蝉の声から逃げた先にいたのは、陽炎だった。

「裏切り者」

彼女は小さく呻き、ガクガクと震える脚でベンチから立ち上がる。
ふらつきながら、逃げるようにその場を離れようとする。

「裏切り者」

蝉の声が鳴り響き、頭の中で反響する。
日光が突き刺さり、彼女の視界を真っ白にする。
陽炎は絶え間なく彼女を罵倒する。

「裏切り者」

彼女は2、3歩、足を動かしたところでがっくりと膝を折った。
地面に片肘と額を付け、激しく息を切らす。
息を整えようと、大きく空気を吸った瞬間。

「う゛っぉおえ゛っ」

びちゃびちゃと水音が響いた。
彼女が自らの体から出したその液体は、今まで見た中で最も醜く、気持ち悪いものだった。


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