35: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:10:37.89 ID:Sev9O2YP0
戻っていったナースを見送り、プロデューサーは輝子に話しかける。
「親切な人が倒れた輝子を見て救急車を呼んでくれたみたいでな。
輝子の鞄に入ってた俺の名刺を見て、俺に連絡を入れてくれたんだ」
「そ、そうなん…ですか」
おどおどと挙動不審な彼女をじっと見つめる。
彼女は目を逸らす。目を合わせる事ができない。
「輝子、本当に大丈夫か?」
「ダイジョブ、大丈夫ですよー」
「何か悩みとかないか?」
「何もありませんよー」
「向こうのプロダクションで、楽しくやれてるか?」
「楽しい、ですよー」
オウム返し、感情の籠らない返答。
ただこの場をやり過ごそうとしている。
プロデューサーは困ったように溜息をつくと、輝子はビクッと震えた。
「ほんとに、ほんとに楽しいです、大丈夫、ですよ」
貼り付けたような笑みを浮かべ、慌てたように話す。
輝子はだんだんと泣きそうな顔になっていった。
何をやってもうまくいかない。どうやっても人を不快にしてしまう。
そう思い、震えながら俯いた。
プロデューサーはそんな輝子を見て、何かを考える。
輝子をじっと、じっと見つめたまま、眉間にしわを寄せ、考える。
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