高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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15
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:49:07.30 ID:mOMWMpAw0
「じゃあ、わたしはわくわくジュースにするので、しろちゃんとは、後で分けっこしよう!」
「……いいの?」
「だから、かんごしさんは大人のドリンクね! だって、かんごしさんは大人だから!」
「ふふ、そうしましょうか」
「しろちゃんは、クリスマスのジュース! ……あれっ? かれんちゃんのジュースがないよ!?」
以下略
AAS
16
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:49:37.04 ID:mOMWMpAw0
「お待たせしました♪ ……そ、それはなんのポーズでしょうか」
3種類、4人分のドリンクを運んできた藍子が、ぱちくりと瞬きする。
「はい! のポーズっ」「……ですっ」
以下略
AAS
17
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:50:06.61 ID:mOMWMpAw0
「これ……。見た目より、甘い味なのね」
唇の先を濡らすように啜った看護師さんが、少しだけ目を見開いた。
「そうなんです。大人でも、今日は子どもの……クリスマスに、わくわくしたり、サンタクロースを心待ちにしていた頃に戻れるように。そんな想いを込めて、入れさせてもらいました」
以下略
AAS
18
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:51:38.10 ID:mOMWMpAw0
>>17
下から5行目の一部誤字を訂正させてください。
誤:そう言って手拭きを渡してあげた藍子は、以外にもあまり焦っているようには見えなかった。
正:そう言って手拭きを渡してあげた藍子は、意外にもあまり焦っているようには見えなかった。
以下略
AAS
19
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:52:07.88 ID:mOMWMpAw0
□ ■ □ ■ □
以下略
AAS
20
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:52:36.68 ID:mOMWMpAw0
「さて……」
これまでずっと後ろで見守ってくれていた看護師さんが、いつの間にか私のすぐ後ろにまで迫っていた。座っている私の上から、子供に絵本を読んであげる母親のような高い目線でメニュー表を見下ろす。
「そういえば、加蓮ちゃんの好きな食べ物を聞いていなかったわね」
以下略
AAS
21
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:53:07.28 ID:mOMWMpAw0
ホットケーキやパンケーキといったメニューには、すべて「みに」という言葉がついていた。
たぶん、しろちゃんが渡してもらったフォークと同じくらいの、私なら一口で食べれてしまうサイズ。
そーちゃんとしろちゃんは、まだどれを選ぶか迷っているみたい……というより、ほとんどが知らない名前っぽい。
入院患者にとって、カフェのメニューは全部テレビの向こうの物だもんね。
藍子もそこをちょっと気にしているみたいで、テーブルの下でこっそりメモを取っているようだった。
以下略
AAS
22
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:53:36.85 ID:mOMWMpAw0
好奇心が何度も爆発した結果、助け舟を出したのは藍子だった。
「実は、次のページにも用意しているんです。ほらっ」
そこには「♪藍子のオススメ♪」と、クレヨンで書いたような文字が。下には2枚の写真が貼ってあって、片方は2ページ目にもあった"みにホットケーキ"に、たっぷりとシロップをかけたもの。もう1枚は、やはりまるまった文字で「?」と書いてある。
以下略
AAS
23
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:54:06.89 ID:mOMWMpAw0
話を逸らせればなんでもよかった。でも脇道の選び方を間違えたかもしれない、そう思ったのは、そーちゃんが例の肘曲げポーズで手を上げて、その手の行き先を失った時だった。
「わたしのおはなし……」
看護師さんも、僅かに険しい顔になる。……病院の患者ならともかく、入院患者は自分の言葉をたくさんは持っていない。
以下略
AAS
24
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:54:36.91 ID:mOMWMpAw0
「うーん……。でもね……」
「……どうしたの? そーちゃん」
「おいしゃさん、ときどき家にかえってもいいって言うんだけど……。かえっても、たのしくないの。びょういんの方が、たのしい!」
一時帰宅の許可。確かクリスマス会で話した時にも、少し家に帰れるようになってて、おばあちゃんと話したとか言ってたっけ。
以下略
AAS
25
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:55:07.24 ID:mOMWMpAw0
実際のところ、実体験と記憶を全て取っ払って考えると、そーちゃんの考えも分からなくはない。
「加蓮ちゃんが最近、よくバラエティ番組に出るものだから。そーちゃん、真似し始めちゃうのよ。お陰ですっかり、手の焼く子になっちゃってねぇ」
「いやそんなこと言われても……。私だって色々やってみたいしっ。いいじゃん、患者さんの本音が聞きたいとか言ってたの看護師さんだし」
「だし!」「……しっ」
以下略
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