高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/25(金) 20:49:07.30 ID:mOMWMpAw0
「じゃあ、わたしはわくわくジュースにするので、しろちゃんとは、後で分けっこしよう!」
「……いいの?」
「だから、かんごしさんは大人のドリンクね! だって、かんごしさんは大人だから!」
「ふふ、そうしましょうか」
「しろちゃんは、クリスマスのジュース! ……あれっ? かれんちゃんのジュースがないよ!?」
「ホントだよー。私のことも招待するってあんだけ言っておいて、ドリンクが3人分しかないってどういうことー?」

テーブルを挟んで向かい側、藍子が困ったように頬を掻く。

「ふふっ。私も大人なドリンクでいいよ。お願いね、藍子」
「……はいっ。では、少々お待ちくださいね」
「しょうしょう!」「……しょう?」
「すこし、待っててね」

……こんなことを考えるとまたポケットの招待状の角張りが気になっちゃいそうだけど、おもてなしをするのって難しいんだね。座布団のことも、メニューのことも。
そして、藍子らしくないミスだなって思ったから、からかったことをちょっとだけ後悔しちゃった。
緊張してるのかな……。私達の注文を受け、キッチンスペースへと向かう足取りも、心なしかレッスン漬けの後を思い出させる。

隣に並んであげて、何かアドバイスをしてあげたい。具体的に思いつかなくても、大丈夫、って声をかけてあげるだけで、心が安らぐだろうし。

「みて、みてっ。つぎのページは、ジュースをのんだ後なんだって! なにが書いてあるんだろ?」
「……だ、だろ?」
「しろちゃんも、気になるよねー?」
「ええと、ええと……」

ページのはしっこに手をかけたり離したりするそーちゃんは、結局ページをめくることはしなかった。

「かれんちゃんも、気になるよねー!」
「うん、気になっちゃうねっ。でも、ジュースを飲んだ後って書いてあるから、今は我慢だよ」
「はいっ!」
「……はいっ」
「ふふ、いい子」

そーちゃんが右手を上げれば、しろちゃんも真似する。肘のところで曲がっちゃった、少し控えめな挙手。
私も真似してあげると、そーちゃんが同じように肘を曲げて、きょとん、と首を傾げちゃった。
一瞬だけ黙り込んで。
あははっ! と、誰からともなく笑い声が起きた。


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