高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:52:07.88 ID:mOMWMpAw0
□ ■ □ ■ □
ジュースを飲み終えたら、メニューの次のページへ。予想通り、そこにはいくつかの食べ物の名前と写真が載せられていた。
「あっ、これ見たことある! かれんちゃん、この前たべてたよねっ!」
「んー? うん、食べてたよ」
「すごい、すごいっ。わたしも、たべていいの? かんごしさん、だめって言わない?」
「ええ、今日はクリスマスだから」
「やったー!」
両手を上げてはしゃぐそーちゃんに対し、しろちゃんは顔をメニューにくっつけるほどの近さで写真を見つめていた。
「…………、」
「しろちゃん。しろちゃんは、どれが食べたいかな?」
「あ……。あの、わたし」
「うんうん」
「これが、ほしいです……っ!」
指差したのは2枚重ねのホットケーキ……の写真なんだけど、ちっちゃな指は写真の右端に映る、うさぎ柄のフォークへ向けられていた。
「え、こっちのが欲しいの? ホットケーキじゃなくて……」
「…………!」
「そっか……。藍子、このフォークは用意してる?」
「もちろん、ご用意していますよ。しろちゃん、いま持ってきますね」
程なくして、私の人差し指ほどの長さのフォークを渡されたしろちゃんは、目線の興味を写真から実物へと移す。
じぃ
と、全然喋らなくなってしまった姿に……少し不安そうに、藍子は看護師さんの方を見た。
「大丈夫よ。いつもこうなんだから、ね」
困っているような口ぶりだったけど、やっぱりどこか嬉しそう。藍子も、ほっとした顔になる。
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