35:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:28:25.12 ID:FQVp12gN0
Y イッツ・ソー・イージー
世界はいつだって美しくて雄大で、汚くて儚くて、そしてやっぱり素晴らしい。
36:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:29:11.65 ID:FQVp12gN0
《そこまでにしなさい》
背後から見知った声が割り入ってきた。冷静に、しかし多分に怒気をはらんだ声。メイドだった。
《私や事務所のプロデューサー様を介さず、しかもこんな夜に。ライラ様ご本人に直接アプローチするとは随分と礼儀知らずになったものですね》
《それも必要なことでしたので》
37:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:29:50.98 ID:FQVp12gN0
* * * * *
「アピール、でございますか」
「そう」
38:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:30:45.67 ID:FQVp12gN0
「♪ ♪ ♪」
「はいっ、オッケーです。とても綺麗ですよ。今の感覚を大切にしてください!」
「はいです。ありがとうございますです」
ようやくライラに笑みがこぼれる。ライブ曲に集中的に取り組んでいるここ最近。ようやく光明が差したようだった。
39:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:31:45.14 ID:FQVp12gN0
Z フロム・ミー・トゥー・ユー
そして私たちは魔法にかかる。いつだって、信じて立つそのステージで。
40:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:32:41.22 ID:FQVp12gN0
* * * * *
同時刻、事務所屋上。
41:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:33:28.98 ID:FQVp12gN0
《あなたはきっと今、ひとつの分岐点にいる。だからこそ慎重になるのはわかる。でもきっと、これを乗り越えたらまた次の、それを越えたらまたその次の分岐点は現れるし、ヤマ場は何度でもやってくるわ》
経験していけばわかること。人生は挑戦の連続だから、と。
《だから、悩みすぎないで。そして抱えすぎないで。完成度の高い答えを出そうとばかりしないで、今出せるものをどんどん周囲に見せて。そして磨かれながら、アプローチを続けてほしい》
含蓄のある言葉が続いた。みんながいるから、と。
42:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:34:24.98 ID:FQVp12gN0
* * * * *
「失礼しますですよー」
43:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:36:06.73 ID:FQVp12gN0
「何はともあれ、内容が決まったこと、エージェントにも話ができたことはよかった」
「そうでございますねー」
帰り道、車中。今日の振り返りをしつつ、話題はさっきの続きへ。
「何か、相談ごとがあったのかな」
44:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:37:07.67 ID:FQVp12gN0
「実は新しい企画が立ち上がっていて」
ライラが落ち着いたのを見計って、プロデューサーが切り出した。事務所のアイドルから数人が選抜され、みんなでいろんな未体験のものにチャレンジしてみる企画が不定期で行われている。その次回枠にライラを推薦していたら、話が通ったとのこと。
「たぶん、楽器に挑戦してみる機会になると思う」
この企画はその都度のスポンサーや取材先のさじ加減で内容も規模も大幅に変わるため、毎度色合いがかなり異なるものになる。そして、プロデューサーが彼女を推した今回の企画が「ロックバンドにチャレンジする」というもの。
45:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:37:53.20 ID:FQVp12gN0
[ ナッシング・ライク・ザ・サン
聞いていいことなら聞くから、なんでも話してくれよ。友達だからな。
63Res/192.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20