12:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:07:02.21 ID:FQVp12gN0
* * * * *
「少し掴めてきたようね。いい感じよ」
13:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:08:00.86 ID:FQVp12gN0
* * * * *
「お待たせしました」
14:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:08:41.34 ID:FQVp12gN0
「相川さん、いるんでしょ?」
プロデューサーがパーテーションの向こうに声を投げた。マグカップを持った相川千夏が顔を覗かせる。
「気づいていたのね。ごめんなさい、盗み聞きする趣味はなかったのだけど」
「いえ、相川さんなら話を汲んでくださるし、ありがたいです」
15:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:09:19.31 ID:FQVp12gN0
* * * * *
ライラはその日、父の夢を見た。敬愛する父の夢を。
16:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:10:00.26 ID:FQVp12gN0
そんな彼女の様子を誰より気づかっていたのが、側仕えのメイドだった。
ライラの日常に寄り添うようになってそれなりに年月が経つ。日々彼女の優しさ、暖かさ、好奇心など様々な魅力に触れてきた。仕える側にもかかわらず、むしろ自分の方がたくさんの幸せをもらえているようだとメイドは思っていた。それだけライラは素敵で、ライラは美しかった。
そんな折に訪れた縁談の話。
ライラは決して結婚を否定しないし、むしろ新たな出会いに興味すらある様子だった。それは父を安心させるに足る姿ではあったものの、真意はその限りではない。少しだけ儚さがにじむようになった彼女の横顔を、その理由を、父が気づくことはなかった。
17:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:10:51.05 ID:FQVp12gN0
V メッセージ・イン・ア・ボトル
この世は皆、おしなべて理不尽。それを愛せることが生きる秘訣。
18:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:11:32.83 ID:FQVp12gN0
* * * * *
「ずっと」や「きっと」は絶対じゃない。それを知るのが青春だ。 ―― そんなキャッチフレーズが昔どこかであったかもしれないが、何はともあれ現実は厳しいもの。きっとはきっと、とは限らない。
19:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:12:47.40 ID:FQVp12gN0
「佐藤さんと話し込んでいたみたいだけど、何か気になることはあった?」
別対応から戻ってきたプロデューサーと合流し、帰路につくライラ。今日のことを振り返る。
「いえ、アドバイスを頂いておりましただけですよー」
やっぱりとても魅力的な方でございますね。そうライラは続けた。
20:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:13:15.18 ID:FQVp12gN0
* * * * *
「やっぱりここよね」
21:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:14:24.16 ID:FQVp12gN0
W シンギン・イン・ザ・レイン
あいまいでも、まとまっていなくても、想いは口に出していいと思うんです。
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