49:13/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:23:01.11 ID:ldlfMP+C0
「でも、これだけ作れてどれも美味しいなんて、伊達にこの家のシェフは務まってないな」
率直な感想を述べるも、今の千夜には逆効果だった。なんだか頬が赤くなっているような、そうでもないような……。
「うるさい! 別に……お前みたいなのでも客は客、お嬢さまの顔に泥を塗るようなことがあってはなりませんから。それだけのことです」
50:13/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:23:48.73 ID:ldlfMP+C0
基本は仏頂面であることには変わらないが、ちとせの前でしか見せない顔を少しでも覗けている気分になる。ちとせの言う本来の千夜の笑顔がどのようなものか、いつか見てみたいものだ。
「……また変なことを考えていますね。そんなにお嬢さまに粗相を働きたいのですか」
「え、違う! 変なことなんて考えてないって!」
51: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:24:28.85 ID:ldlfMP+C0
13.5/27
52: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:26:27.57 ID:ldlfMP+C0
14/27
事務所全体で開催される大規模なアニバーサリーイベントのとある企画、そこにちとせと千夜も加わることが決定した。
53:14/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:27:05.10 ID:ldlfMP+C0
5枠の選抜メンバーの中にはあの城ヶ崎美嘉もいる。そして、他にもよく見知った名前が――
「ただいまー。あっ、ちひろさんも居るんだ。あは、ナイスタイミング♪」
ドアが開く音がすると、ちとせと千夜が戻ってきていた。
54: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:28:03.20 ID:ldlfMP+C0
15/27
2人が合宿に赴いている間、『Velvet Rose』としてではなく個人のアイドルとしてどうプロデュースしていくか、方針とその企画案を事務所の自室でひたすら立てていた。
55:15/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:29:16.71 ID:ldlfMP+C0
『ふっ……所詮私などその程度ということですか。やはり私に価値なんて……なかった』
「わーーー、待った待った!! 落ち着け、ふざけ過ぎた謝る! 今から行けばいいのか? 千夜、聞いてる!?」
そのまま電話を切られそうな雰囲気に耐えられず、挽回しようととにかく引き留めるためにまくし立てる。
56:名無しNIPPER[sage]
2020/02/04(火) 20:30:24.55 ID:ldlfMP+C0
周辺の地理に思考を巡らせていると、レッスン着の千夜が合宿所の玄関から目だけで辺りを探りながら出てきた。
「千夜、こっちだ」
「……どうも。話は後で、協力者がいますのでこちらへどうぞ」
57:15/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:31:38.03 ID:ldlfMP+C0
大事な話と聞いてそのセリフを聞かされてみれば、予想される展開はかなり絞られる。ただ目の前の少女が千夜なのでどうにか異なる可能性を模索出来た。
とりあえず、打開するためにも素直に返してみることにした。
「最近たまに可愛いと思える時が増えた、かな」
58:15/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:32:19.18 ID:ldlfMP+C0
「深く考えなくていいよ。ユニットデビューの時もありのままでいいって言ったろ? 千夜がしたいようにしてるだけで、みんなにとってのアイドル白雪千夜像も出来上がっていくだけなんだから」
「……お前が私やお嬢さまを好きなようにさせているのは、そういう狙いがあってのことなのですか?」
「自分に嘘をつかせながらアイドルさせるのは、嫌なんだ。本人の個性を尊重したいから」
59: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:33:15.81 ID:ldlfMP+C0
15.5/27
アイドルになる時、あいつに渡された携帯電話は事務所から支給されたものではなかった。
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