58:15/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:32:19.18 ID:ldlfMP+C0
「深く考えなくていいよ。ユニットデビューの時もありのままでいいって言ったろ? 千夜がしたいようにしてるだけで、みんなにとってのアイドル白雪千夜像も出来上がっていくだけなんだから」
「……お前が私やお嬢さまを好きなようにさせているのは、そういう狙いがあってのことなのですか?」
「自分に嘘をつかせながらアイドルさせるのは、嫌なんだ。本人の個性を尊重したいから」
遠い過去に学んだことだ。アイドルとして輝くという意味でなら、従来の自分を抑えて新たなイメージを築き上げるのも間違いではない。
千夜の場合は逆で、普段からちとせの僕としてその枠に収まろうとしている。そのこともあり、せめてアイドル白雪千夜には自由に自身を表現してほしかった。
それがちとせの、千夜を千夜らしく、という願いを叶えることにも繋がると、そう信じたい。
会話が途切れ、静寂が辺りを包み込む。それを破ったのはプロデューサーでも千夜でもなく、外から響くノック音だった。
鍵は掛けられてるとはいえ、これでは外に出られない。そこでようやく千夜の協力者が誰なのかを聞いていないことに気が付いた。
「時間のようですね。……今のうちに謝っておきます」
「え、何を?」
返答はなく、千夜が静かに扉の方へと向かっていく。
そして、外にいる人物を招き入れるように鍵を外し扉を開く。千夜の言葉の意味がすぐに理解した。
そこにいたのは、氷像のように整った容貌をしながらこちらを真っ直ぐ捉える目がどこまでも澄んでいる、よく見知ったアイドルだった。
「ダヴノーニヴィージェリシ! あー、久し振りですね。プロデューサー?」
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