21: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:50:40.89 ID:ldlfMP+C0
6/27
終わりなき探究の末、千夜の機嫌が良好であるかどうかを見極められつつあった。
といっても、ちとせとの合同レッスンがある日しか拝めないので、機嫌の良い理由は明白である。
22:6/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:52:00.49 ID:ldlfMP+C0
「封筒? 何ですかこれ」
「女子寮の方に届けなきゃいけない書類が入ってます。今日中に、とのことなので、どうぞよろしくお願いします♪」
「えっ、そんな、ええっ!?」
23:6/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:53:50.38 ID:ldlfMP+C0
「まだ帰ってなかったのか」
どことなく渋い顔をしている千夜を隠すように、こちらに気付いたちとせが一歩前へ出る。
「せっかくだから途中まで一緒に歩こうと思って。たまにはどう?」
24:6/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:54:45.87 ID:ldlfMP+C0
「ぎゃああああああ!? なん、目が、目がああああああああ!!」
おそらく催涙スプレーの類を食らわされたようだ。防犯グッズの定番の餌食によもや自分がなろうとは。
あまり長く使われなかったのが幸いしたか、そこまで苦しみを味わうことにはならなかった。加減されてこれならいざという時頼りになるだろう。問題は今がいざという時だったのかどうかである。
25: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:55:48.13 ID:ldlfMP+C0
6.5/27
「お嬢さまはあの者に気を許し過ぎではありませんか?」
26: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:57:00.32 ID:ldlfMP+C0
7/27
ちとせがレッスンで不在の中、ソファに座り主人の帰りを待つ千夜はただの一言も発さなかった。
これまでも用が無ければ特別言葉を交わすこともなかったとはいえ、顔を合わせても挨拶すらなく、ひたすら黙ってちとせを待っている。
27:7/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:58:03.24 ID:ldlfMP+C0
「……お前は、ずるい」
振り絞るようにそれだけ言うと、千夜はそのまま押し黙る。言葉が上手くまとまらないのか、口を開いては俯きながら手で覆って出掛かった声を飲み込む、そんなことを繰り返していた。
様子のおかしい原因は見当もつかない。ただ今は、千夜を苛ませている何かを知るのが先決だとプロデューサーは感じ取る。
28:7/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:59:12.72 ID:ldlfMP+C0
「だけどお前は、そうじゃない。たとえ何かを見失って逃げ出したとしても、ずっと待ってくれている人がいる」
「だから……ずるい?」
「……私にもよくわかりません。ただ、お前の夢に見せられた人たちにとっても、今のままでいいはずはないでしょう」
29: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:00:01.07 ID:ldlfMP+C0
8/27
2人がユニットデビューを果たす日も差し迫り、合同レッスンを中心にスケジューリングしてある。最後にそれぞれ受けさせていたオーディションの合否はまだ発表されておらず、それを確認出来たら残った空白を確定する次第だ。
30:8/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:01:35.83 ID:ldlfMP+C0
ちとせの体力を考慮し、ダンスパートは千夜に比重を置き、その分の歌唱パートをちとせが受け持つ。それぞれの長所を活かした変更、といえば聞こえはいいが。
反応を待つと、先に答えたのは千夜だった。
「お嬢さまのためになるなら、私は構いません」
31:8/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:02:39.80 ID:ldlfMP+C0
「――これを着ろと、いうのですか。……悪趣味な」
「えー、絶対可愛いよ千夜ちゃん♪ なんなら持って帰っちゃう?」
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