白雪千夜「足りすぎている」
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97:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:40:53.93 ID:1/ZkFkMM0
 ――?
 理由になっていない。凛さんともあろう人が、随分と具体性に欠く、ナンセンスな回答だ。

「そういうものとは?」
「だからさ……」
以下略 AAS



98:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:42:41.94 ID:1/ZkFkMM0
 彼女に倣い、私もそのバレエダンサーが描かれた絵画を見上げる。
 ドガだろうかと当たりをつけてみると、案の定そうだった。
 たぶん、思考の置き場に困った彼女が、適当な対象としてこれに視線を預けているに過ぎないと思った。


以下略 AAS



99:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:44:03.05 ID:1/ZkFkMM0
「分かりました」

「ほんとに分かってる?」
「いえ、分かっていません」

以下略 AAS



100:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:45:07.66 ID:1/ZkFkMM0
 そう――付き添える時間を割かれているのは、私の方だけではない。

 最近では、お嬢様の方も、ご不在の時が多くなっている。
 長らく候補生の身に甘んじていたが、アイドルとしていよいよ始動し始めたということだろうか。

以下略 AAS



101:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:47:48.78 ID:1/ZkFkMM0
 彼女が顎で指した方を見ると、アイツとアーニャさんだ。
 通路の脇に退いて、電話で何やら話しているアイツを、アーニャさんが不思議そうに見つめている。

 ほどなく電話が終わり、その場に合流した私達の下へ、アイツが戻ってきた。

以下略 AAS



102:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:49:21.31 ID:1/ZkFkMM0
「何か、千夜とプロデューサーのやり取りってさ……ヘンだよね」
「ヘン?」

 首を傾げる私に、凛さんは苦笑しながら手を振るう。

以下略 AAS



103:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:50:53.30 ID:1/ZkFkMM0
 観賞が終わり、三人で事務所に立ち寄った。
 特に用は無かったのだが、アイツのことが気になると二人が言い出したため、様子を見に行くことになったのだ。

 だが、シンデレラプロジェクトの事務室に行くと、そこにアイツはいなかった。
 それどころか――。
以下略 AAS



104:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:55:17.77 ID:1/ZkFkMM0
 プロジェクト解体の危機にある、とアイツから聞かされたのは、その日の夕方だった。

 346プロの事務所棟の地下。
 物置として放置されていた、埃まみれの部屋にメンバーの皆が集められた。

以下略 AAS



105:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 01:01:11.62 ID:1/ZkFkMM0
 政府によって働き方改革なるものが提示され、昨今では某広告会社の社員の過労死がニュースでも取り沙汰された。
 労働者の待遇改善と心身のケアは、経営者側にとって喫緊の課題であるという。

 特に、業界でも大手の346プロは、その性質上マスメディアに対する露出も多く、揚げ足取りに近いスキャンダラスな追求がいつあってもおかしくはない。
 クリーンなイメージを保つためには、ホワイトを演出する必要がある、ということのようだ。
以下略 AAS



106:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 01:02:52.20 ID:1/ZkFkMM0
 気の抜けた、しかし思いも寄らない意見が飛び出した方へ目を向けると、杏さんだった。

「え、あ……杏ちゃん、何言ってるのぉ?」
「要するにその常務って人は、杏達の活動の仕方に文句を言ってるだけで、アイドルとしての活動そのものを止めろって言ってるんじゃないんでしょ?」

以下略 AAS



107:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 01:05:08.36 ID:1/ZkFkMM0
 ――杏さんの言い分は、理にかなっている。
 というより、反論する必要が無いもののように思われた。

 少なくとも、私の当初の目的は、お嬢様に言われたとおり、アイドルをこなすこと。
 たまたま配属された先が、このシンデレラプロジェクトであっただけで、これにこだわる理由は無い。
以下略 AAS



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