107:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 01:05:08.36 ID:1/ZkFkMM0
――杏さんの言い分は、理にかなっている。
というより、反論する必要が無いもののように思われた。
少なくとも、私の当初の目的は、お嬢様に言われたとおり、アイドルをこなすこと。
たまたま配属された先が、このシンデレラプロジェクトであっただけで、これにこだわる理由は無い。
「千夜は、その辺どう思う?」
不意に杏さんが私に話を振った。
いや、不意に、ではない――。
最近分かったことだが、彼女は無能な怠け者を装っているように見えて、その実非常に聡明で狡猾だ。
自ら省エネ運転を公言するくらいである。決して無意味で無駄な行動はしない。
私に話を振ったのは、何事にも合理性を求める私の考え方を熟知しているからだ。
自分のスタンスを、私なら否定することはないだろうと、杏さんは考えている。
「私は」
皆が私の言動を、固唾を呑んで見守っている。
ふと、隣に立っているアーニャさんにチラッと視線を向けると、非常に心配そうな表情をしているのが見えた。
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