95:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:36:58.95 ID:1/ZkFkMM0
「今日は、ありがとう千夜。
アーニャだけじゃなくて、私まで誘ってくれて」
アイツとアーニャさんが私達を置いて先に行ってしまったのを見計らい、凛さんが改めて私に声を掛けた。
96:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:39:39.44 ID:1/ZkFkMM0
どうしても分からなかった。
あの『GOIN’!!!』で、私と凛さんのポジションは、確かに隣同士ではあった。
それに、一緒にレッスンを重ねてきていたし、複雑なライン移動もピッタリ呼吸を合わせてこなせるまでになっていた。
97:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:40:53.93 ID:1/ZkFkMM0
――?
理由になっていない。凛さんともあろう人が、随分と具体性に欠く、ナンセンスな回答だ。
「そういうものとは?」
「だからさ……」
98:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:42:41.94 ID:1/ZkFkMM0
彼女に倣い、私もそのバレエダンサーが描かれた絵画を見上げる。
ドガだろうかと当たりをつけてみると、案の定そうだった。
たぶん、思考の置き場に困った彼女が、適当な対象としてこれに視線を預けているに過ぎないと思った。
99:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:44:03.05 ID:1/ZkFkMM0
「分かりました」
「ほんとに分かってる?」
「いえ、分かっていません」
100:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:45:07.66 ID:1/ZkFkMM0
そう――付き添える時間を割かれているのは、私の方だけではない。
最近では、お嬢様の方も、ご不在の時が多くなっている。
長らく候補生の身に甘んじていたが、アイドルとしていよいよ始動し始めたということだろうか。
101:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:47:48.78 ID:1/ZkFkMM0
彼女が顎で指した方を見ると、アイツとアーニャさんだ。
通路の脇に退いて、電話で何やら話しているアイツを、アーニャさんが不思議そうに見つめている。
ほどなく電話が終わり、その場に合流した私達の下へ、アイツが戻ってきた。
102:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:49:21.31 ID:1/ZkFkMM0
「何か、千夜とプロデューサーのやり取りってさ……ヘンだよね」
「ヘン?」
首を傾げる私に、凛さんは苦笑しながら手を振るう。
103:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:50:53.30 ID:1/ZkFkMM0
観賞が終わり、三人で事務所に立ち寄った。
特に用は無かったのだが、アイツのことが気になると二人が言い出したため、様子を見に行くことになったのだ。
だが、シンデレラプロジェクトの事務室に行くと、そこにアイツはいなかった。
それどころか――。
104:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:55:17.77 ID:1/ZkFkMM0
プロジェクト解体の危機にある、とアイツから聞かされたのは、その日の夕方だった。
346プロの事務所棟の地下。
物置として放置されていた、埃まみれの部屋にメンバーの皆が集められた。
105:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 01:01:11.62 ID:1/ZkFkMM0
政府によって働き方改革なるものが提示され、昨今では某広告会社の社員の過労死がニュースでも取り沙汰された。
労働者の待遇改善と心身のケアは、経営者側にとって喫緊の課題であるという。
特に、業界でも大手の346プロは、その性質上マスメディアに対する露出も多く、揚げ足取りに近いスキャンダラスな追求がいつあってもおかしくはない。
クリーンなイメージを保つためには、ホワイトを演出する必要がある、ということのようだ。
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