白雪千夜「足りすぎている」
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96:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:39:39.44 ID:1/ZkFkMM0
 どうしても分からなかった。

 あの『GOIN’!!!』で、私と凛さんのポジションは、確かに隣同士ではあった。
 それに、一緒にレッスンを重ねてきていたし、複雑なライン移動もピッタリ呼吸を合わせてこなせるまでになっていた。

 だが、基本的には個の集合体であるはずのものだ。
 移動で導線が交わる以外は、私と凛さんは当然に各々別の場所で歌い踊っているにすぎない。

 いくら隣同士とはいえ、私が倒れようとした瞬間に手を伸ばして助けることなど、人間の反射神経ではまず不可能だ。
 それとも、私があそこで転ぶことを予め予測していたとでもいうのだろうか?


「あぁ……あれは」

 凛さんは、平静を装っているものの、気恥ずかしそうに頬を掻いた。
 そうして、「うーん……」と言葉を選びながら、悩ましげに俯いている。


「千夜は、納得しないかも知れないけど……そういうものなんだよ、きっと」



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