143:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:25:10.11 ID:1/ZkFkMM0
「お嬢様を、応援……」
アーニャさんは頷いた。
「チヨの言うこと、分かります。
144:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:27:26.68 ID:1/ZkFkMM0
合い鍵を使って部屋に入ると、奥に向かう廊下は真っ暗だった。
電気をつけ、居間へと進むと、お嬢様は座椅子に腰を下ろし、背の低い丸テーブルに顔を埋めて眠っていた。
「お嬢様……」
145:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:29:32.97 ID:1/ZkFkMM0
やはり、綺麗なお顔をされていると、改めて思う。
こんなご無理をなさらずとも、お嬢様は十分美しい。
ふと、アーニャさんの言葉を思い出した。
お嬢様のフェスに向けた努力は、美城常務からの一方的な指示だけでなく、お嬢様ご自身が望んで決めたことであると。
146:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:33:41.43 ID:1/ZkFkMM0
本州の、とりわけ雪とは無縁の地域に住む人がよく誤解をするのは、雪国は空気が乾燥することはないのではないか、ということだ。
雪という水分にあれだけ覆われているのだから、本州と比べれば、空気には湿気があるのではないかと。
しかし、そうではない。
本州の雪と北海道の雪は、大きくその性質が異なる。
147:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:36:51.50 ID:1/ZkFkMM0
お嬢様は、何をご覧になっていたのだろう。
無粋な真似とは思いつつ、リモコンを操作して音を消し、巻き戻して再生ボタンを押した。
148:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:38:45.37 ID:1/ZkFkMM0
「……千夜?」
振り返ると、凛さんが部屋の入口に立っていた。
手には、お見舞いの品と思われる小包と、クリアファイルに入った書類が握られている。
149:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:40:59.73 ID:1/ZkFkMM0
「凛さんも、ですか」
「え……?」
「あなたなら、理解を示してくれると思っていました」
150:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:42:47.86 ID:1/ZkFkMM0
しまった。
お嬢様の部屋、小窓を開けっ放しにしていたのを思い出した。
後で閉めようと思っていたのに、凛さんに気を取られてしまい、すっかり失念してしまっていた。
急いで戻りたい所だが、また凛さんと鉢合わせになるのも煩わしい。
151:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:49:30.32 ID:1/ZkFkMM0
「でも、凜ちゃんは千夜ちゃんのお願いに「いいよ」って言ってあげなかったね」
「…………」
「あはは、ゴメンゴメン。気を悪くしないで。
私を思ってのことだったって、分かってるよ。
152:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:56:51.91 ID:1/ZkFkMM0
「ちとせは、千夜のようになりたいって思ったの?」
「私、ワガママだったみたい。
欲しい物なんて無かったのに、叶う事なら自分の思うように生きたいと思ったの。
あの子が見たものを、私も見てみたい。ライブで得られる信じられない力、私も感じたいし、千夜ちゃんにも勝ちたいの。
153:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:59:06.74 ID:1/ZkFkMM0
――――。
私のステージが、事の発端だったというのか。
常務の過度な期待があったとはいえ、その身を削ってでもステージに立つのだという決意をお嬢様がされたのは――。
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