152:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:56:51.91 ID:1/ZkFkMM0
「ちとせは、千夜のようになりたいって思ったの?」
「私、ワガママだったみたい。
欲しい物なんて無かったのに、叶う事なら自分の思うように生きたいと思ったの。
あの子が見たものを、私も見てみたい。ライブで得られる信じられない力、私も感じたいし、千夜ちゃんにも勝ちたいの。
分不相応だなんて、笑わないでね。夢を見るのは自由、でしょう?
千夜ちゃんも凜ちゃんも、自分だけ良い思いをして、私には「無理をするな」だなんて仲間外れにするの、人が悪いんだから、フフッ♪」
「ちとせが辛い思いをすると、千夜が悲しむから……」
「それは分かってる。呪わしいほどに弱い自分の身体も、私が一番……。
でも、私はアイドルを止める気はないよ。
千夜ちゃんを焚きつけておいて、自分だけ何も遺さないままなのは、格好がつかないもの。
何としてでも、アイドルとしてのあの子に勝つか……せめて、あの子に並ぶくらいにならないと、顔向けできないかなって、ね。
あ、千夜ちゃんには言わないでね、今の」
「分かってる……これ、薬。志希が真面目に作った、って。
ここに置いておくね……本当に、身体だけは壊しちゃダメだよ」
「ありがとう、凜ちゃん。
そこの窓、閉めてくれる? 千夜ちゃんが開けてくれたまま、忘れちゃったみたい」
「あ、うん」
カチャン――。
という音がして、それ以降、話し声は聞こえてこなかった。
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