2: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/09(金) 23:53:46.49 ID:sTJbwKvU0
「おおー……」
「その……どう? ですか?」
3: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/09(金) 23:54:41.04 ID:sTJbwKvU0
今日は、撮影のお仕事で使用するという水着の試着と、そのお仕事に際しての諸々の確認をするべく事務所に呼び出されていた。
黒のビキニスタイルの水着に、白のショートパンツを合わせた至ってシンプルな水着だが、確かにセンスは悪くない。
胸の真ん中にあしらわれた大きなリボンはかわいいし、用意してくれているブレスレットや髪飾りなどの小物類も、私をイメージしてデザインされているだけあって特別感もひとしおだ。
4: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/09(金) 23:55:44.87 ID:sTJbwKvU0
裸足のまま、ぺたぺたと事務所の更衣室のタイルを歩き、ドアのもとへ。
疑っているわけではないが、まだプロデューサーとアイドルという関係になって一年程度なわけで、全幅の信頼を置けているかと言われると、そうではない。
5: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/09(金) 23:56:55.83 ID:sTJbwKvU0
「ああ、そういえばなんですけど、渋谷さんに言おうと思ってたことが三つくらいあって」
「? 私になにか」
6: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:09:39.45 ID:k2me14jR0
「思ったことずばーんって言ってもらえそう、っていうか。あっちの渋谷さんの方が素だと思うので、あっちを希望したいんですよ」
黙ったままの私に次々と追撃が来る。
7: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:12:33.31 ID:k2me14jR0
彼は大袈裟にすぅー、と息を吸い込んで、はぁー、と吐き出す。
それを何度か繰り返して「めちゃくちゃかわいかったし、渋谷さんに絶対に似合う。似合わないわけがないと思って経費をごにょごにょして買っちゃいました」と舌を出すのだった。
8: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:13:57.78 ID:k2me14jR0
ただ、ここはやはり素直にお礼を言っておかなければならないだろう。
「プロデューサー」
9: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:15:57.16 ID:k2me14jR0
■ 二章 夜に溶かす
10: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:17:40.87 ID:k2me14jR0
「ちゃんと聞いてる? 返事は? 危ないところには行っちゃダメだからな」
「聞いてるってば。……なんか最近、過保護な親みたいになってきてるよね。プロデューサー。敬語も出なくなったし」
11: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:19:23.95 ID:k2me14jR0
さて、と前置いてプロデューサーは大きく伸びをする。
「やるか」
12: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:21:48.09 ID:k2me14jR0
「うーん。恥ずかしさに負けたな」
肩で息をする私へ、追い討ちのように辛口評価が飛んできた。
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