渋谷凛「ソールド・アウトマーク」
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6: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:09:39.45 ID:k2me14jR0

「思ったことずばーんって言ってもらえそう、っていうか。あっちの渋谷さんの方が素だと思うので、あっちを希望したいんですよ」

黙ったままの私に次々と追撃が来る。

なるほど、なんとなく意図は読めた。

彼は普段の私が遠慮をしていると感じているのだろう。

「……でも。プロデューサーは私のこと渋谷さん、って呼んでるし、それにまずプロデューサーが敬語なわけで……」

小さな声で、必死の反論を返す。

「んー、そうか……じゃあ……凛さん」

「さん、もいらないです」

「……えっと。凛」

「はい」

「………………仲良くしようね?」

「……あまりにもテキトーじゃない?」

あまりにも、あまりにもテキトーな話題の出し方に、ぽろっとタメ口が出てしまった。

「あ」と訂正しようとするも時すでに遅く、プロデューサーは「それを待ってたー!」と嬉しそうにしている。

どうやら掌の上で転がされていたようだが、もうどうでもいいか。どうでもいいよね、と諦めた。

「プロデューサーが良いって言うなら、私としては別にいいんだけど……」

「そうそう。そんな感じでお願いしま……したい。渋谷さ……凛はちゃんと場面に応じて言葉を使い分けられると思ってるから、その辺りも心配してないし。俺に対してはそんな感じだと嬉しいなぁ」

「ねぇ。言いだしっぺがめちゃくちゃぎこちないのどうにかならないの?」

「仕方ないだろ。今までずっと渋谷さん、渋谷さんって呼んでたんだから」

「あ、ちょっとムキになるとプロデューサーも口調がラフになるね」

「変な研究もしないで」

「ふふ。それで? あと二つくらい言いたいことあるんでしょ?」

「あっ、そうだった。二つ目は業務連絡です。その水着は買い上げたので、撮影が終わったら凛の私物になるから自己管理をよろしくお願いします」

「えっ、買い上げた? なんで?」

「それはまだ秘密」

「まだ私に話せない内容ってこと?」

「そういうわけではないんだけど、プライバシーがこう……あれになるので……」

「あれ? あれになるってなに?」

「あれはあれです」

「……確認するけど、業務に関係することで言えないわけではないんだよね?」

「うん」

「じゃあ教えてくれないともう口きかない」

「えー……それはちょっとずるくないですか……」

「ずるくないよ。ずるいのは隠し事するプロデューサーでしょ?」

「……絶対、引かないって約束してもらえます?」

「内容にもよると思うけど」



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