5: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/09(金) 23:56:55.83 ID:sTJbwKvU0
「ああ、そういえばなんですけど、渋谷さんに言おうと思ってたことが三つくらいあって」
「? 私になにか」
「まず一つ、敬語じゃなくていいですよってことをずっと言いたかったんですよね」
「理由を聞いても……?」
「えっ、っと。ほら、最初にスカウトさせてもらったときに結構、渋谷さんフランクな感じだったでしょう。アレくらいラフに来てもらっても全然かまわないので」
「……あれは、その」
言葉に詰まってしまう。
実は私はこの男、プロデューサーにスカウトされたときに随分と随分な態度で接してしまった過去があったりする。
それ故に先程スカウトのことを思い出しかけた際に、無理矢理頭の隅に追いやったのだが、どうも簡単には忘れさせてくれないらしい。
もちろん、私だけに非があったとは思っていないし、この男の少ししつこいスカウト方法にも問題があったことは添えておきたいのだけれど、それでも私はこの男に割と強めの対応をしてしまっているのだ。
具体的にはアンタ呼ばわりしたり、キツめの言葉を言ってしまったりした。
したがってスカウトされたときの記憶は私、渋谷凛が普通の高校生からアイドルとなることになった重大な事件ではあるものの、綺麗な思い出とは言い難く、今でも思い返すと恥ずかしくなってしまうのだ。
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