7: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2019/08/10(土) 00:12:33.31 ID:k2me14jR0
彼は大袈裟にすぅー、と息を吸い込んで、はぁー、と吐き出す。
それを何度か繰り返して「めちゃくちゃかわいかったし、渋谷さんに絶対に似合う。似合わないわけがないと思って経費をごにょごにょして買っちゃいました」と舌を出すのだった。
「………………」
「引かないって約束したじゃないですか……」
「約束はしてないでしょ」
「そうだっけ」
「うん。でも、それいいの?」
「問題はないはず。おかげさまで凛に使っていい予算は今年度は結構もらえたし」
「今年度、始まったばっかだけど」
「……それは、その。追々と考えましょうね……」
本当にこの男が担当プロデューサーで大丈夫なのだろうか。
そう思って仕方がない。
けれども、まぁ確かにかわいい水着だとは思っていたし私に損はないのだから、もらえるならばもらっておいてもいいかもしれない。
「……はぁ。……悪いコトしたわけじゃないし、まぁいっか」
「うんうん。凛はもらえてラッキーくらいに思ってもらえれば」
「理由はわかったけどさ、なんでまた買ってくれたの?」
「深い意図はないんだけどね。こう、記念になるかなぁ、って」
「記念?」
「そう。凛と一緒に仕事するのもちょうど一年くらい経つからさ、何か形に残るプレゼントしたいなぁ、と」
「……そっか」
この男はしれっとこういうことを言うから、侮れない。
格好をつけられるような人ではないことはもう十分わかってるし、寧ろ格好をつけようとすればするほど逆にダサくなってしまうような人だけれど、何気なくしてくれることは不思議と格好いいのだから、よくわからなくなる。
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