94:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:49:33.72 ID:YWfCY9A20
休み時間が待ち遠しいのは久しぶりのことだった。
抑揚の小さい数学教師の声をかき消すようなチャイムの音が聞こえて、授業を終わらせる号令を終えると、スマートフォンを持って沙綾は廊下に飛び出す。
95:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:50:10.46 ID:YWfCY9A20
「ごめんね、忙しかった?」
『う、ううん、平気だよ。今、有咲ちゃんの蔵にみんなといて、ちょっとお話してたから……』
96:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:51:08.81 ID:YWfCY9A20
『そっか……沙綾ちゃん……』
沙綾の話を聞き終えて、カスミは消え入りそうな呟きをポツリと落とす。きっと電話越しの顔には憂愁の影が差していることだろう。
97:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:52:14.47 ID:YWfCY9A20
7
サアヤにひとまずの問題解決の糸口を貰った香澄は、ずっと沙綾のための歌の歌詞を考え続けていた。
98:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:52:47.33 ID:YWfCY9A20
「師匠は考え過ぎなんだ。うちのようにしていれば、ビビっと、そのうち空から降りてくる」
「あんたが受信してるのは変な電波だけでしょ。かすみんにそんな電波はいらないわ。ボケナスはりみだけで十分よ」
99:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:53:52.43 ID:YWfCY9A20
りみとたえが今生の別れの寸劇をして、有咲がもはや無反応でそれをスルーして、それを傍目に相変わらずうんうん唸りながら自分の席へ腰かけた朝のひと時。
ホームルームで気の抜けた先生の挨拶を聞いて、一時間目の英語の授業を受けたひと時。
100:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:54:33.09 ID:YWfCY9A20
「何よ、恋のスタンプカードって?」
三時間目が終わると、隣の席の有咲が香澄の傍らに立って、相変わらずか細く揺れる声をかける。返事に困って、曖昧な照れ笑いを浮かべた。
101:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:55:18.68 ID:YWfCY9A20
「……かすみん」
「…………」
102:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:56:00.64 ID:YWfCY9A20
「あ、有咲ちゃん……?」
当惑した香澄に、指は眉間につけたまま、有咲は言う。
103:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:56:35.99 ID:YWfCY9A20
「やっぱりボケナスよ。今のかすみんも、違う世界に行った沙綾も」
しゅんと落ち込んだ香澄に、内容とは裏腹な柔らかい声を出して、有咲は指を眉間から離す。それから香澄に顔を寄せて、大きな瞳をしっかり覗き込んで、言葉を続ける。
104:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:57:14.78 ID:YWfCY9A20
「前はほら、ひとりで考えなさいって言ったけど……今回は違うでしょ? もうかすみんはしっかりと歌に向き合ってるし……ひとりじゃない。沙綾だってそう。あたしと、りみと、おたえがいるんだから」
「有咲ちゃん……」
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