95:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:50:10.46 ID:YWfCY9A20
「ごめんね、忙しかった?」
『う、ううん、平気だよ。今、有咲ちゃんの蔵にみんなといて、ちょっとお話してたから……』
電話越しのくぐもったカスミの声。その後ろから、何やらリミとアリサがいつもの言い合いをしているような騒がしい声が微かに聞こえる。言葉を断片的に拾うと、『獅子メタル殿とシュシュ殿はパンがある。しかしベンケー殿には何もない』とか『あんたの餌付けなんかしないわよ!』とか、それからタエの控えめな『あ、自分、きゅうり持ってきましょうか?』だとか。
「賑やかだね」
『うん。さっきまでは真面目な話、してたんだけど……』
「そっか」
きっともうひとりの私のことだな、と思いながら、沙綾は扉の窓から教室を覗き込み、壁にかけられた時計を窺う。休み時間はあと五分ほどだった。みんなの賑やかな声をもう少し聞いていたい衝動に駆られるけれど、そんな暇はなさそうだ。
「あのね、単刀直入に話すけどさ」
『うん』
「香澄……カスミちゃんのことじゃなくて、私の世界の方の香澄から、メッセージが届いてたんだ」
『え、本当っ?』
「うん。香澄の字は見間違えるわけないから、絶対本物」
『そ、それで……どんなことが?』
カスミの声に、沙綾は親友から届けられたメッセージをかいつまんで話す。サアヤがひとりで悩んでしまっていること、それをどうにかしたいと思っているけどどうにも出来ないこと、その悩みの内容が私には分かるということ。
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