100:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:54:33.09 ID:YWfCY9A20
「何よ、恋のスタンプカードって?」
三時間目が終わると、隣の席の有咲が香澄の傍らに立って、相変わらずか細く揺れる声をかける。返事に困って、曖昧な照れ笑いを浮かべた。
「それはだな、ベンケー殿」その有咲の背後からにゅっとりみが顔を出す。「春の頃、師匠が一ヵ月も先の授業内容をヨチしていたことがあったのだ。ケハイのカンゼンなシャダンといいミライヨチといい、やはり師匠はすごいと改めて思ったぞ」
「あー……なんとなく分かった」
「ベンケー殿はヒキコモリであったが故に、四月の師匠をてんで知らないんだな。ひとりでピコピコをやってる間にあった、師匠の目覚ましい活躍を……」
「ピコピコってあんた、お母さんか」
いつものように始まった漫才。香澄がそれに頓珍漢なツッコミを入れて有咲がため息を吐き出して……なんていうのがいつもの流れだけれど、今日の香澄はそれどころじゃなかった。有咲とりみから視線を外し、机の上を眺めながら、ずっと歌詞を考え続けていた。
分かった! わたし、頑張る! 沙綾ちゃんに元気を届けられるように! ……なんて昨日サアヤに威勢よく言ったけれど、どうすればいいのかという答えはまだまだ出そうにない。声にならない唸り声ならここ半年分は口から出て行ったけど。
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